富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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真冬の別荘 Ⅶ: ニューヨーク恋物語 Ⅳ

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 俺が話し終わると、みんなが笑っていた。
 亜紀ちゃんと双子が、特に聖とジャンニーニが出て来たので嬉しそうだった。

 「まあ、ジャンニーニはマフィアだからな。所詮端から目はねぇんだ」
 「そうですよね」
 「でも惚れちまったもんだから、自分でもどうにもできなくて困ってたんだよな。結局ケリをつけたかったんだよ。だから俺と聖に頼んだ」
 「上手く行かなくても良かったと?」
 「まあ、そうだな。もちろん上手く行きたかったんだろうけど、それが無理なのは自分でも分かってた。俺たちもな」
 「だから最後まで付き合ったんですね」
 「そうだ。ジャンニーニにはいろいろと迷惑をかけていたしな。それに俺たちもジャンニーニが大好きだしな」
 「いい友情ですね」

 亜紀ちゃんが言った。

 「響子も失恋したら慰めてやるからな」
 「いいよ」
 「そうか?」
 「だってしないもん」
 「アハハハ!」
 「タカトラは私にベタ惚れだもんね」
 「そうだよな!」

 みんなが笑った。

 「ジャンニーニさん、その後は?」
 「なんだよ、亜紀ちゃんは興味あるのか?」
 「そりゃ、私も大好きですから」
 
 亜紀ちゃんが微笑んだ。

 「あの5年後くらいかな。結婚したんだ」
 「そうなんですか!」
 「ああ、子どもも二人いるのかな。一緒には住んでいないけどな」
 「どうしてですか!」

 俺は笑った。

 「お前らも突っ込んだだろう! 時々聖があの屋敷を襲うからだよ! 危なくて家族をいさせられねぇんだ」
 「あぁ!」

 亜紀ちゃんと双子が大笑いした。

 レイが死んだ時、聖がジャンニーニを呼んでくれた。
 あの日のように、俺たちは三人で朝まで飲んだ。
 ジャンニーニも俺に付き合ってくれた。
 俺たちは、ちょっと変わっているかもしれないが、そういう関係だ。

 俺は解散だと言い、いたい奴は一度片付けてからいろと言った。
 響子を部屋に連れて行く。

 「楽しいお話だった」
 
 響子がベッドに入って言った。
 
 「そうか。まあニューヨークの話だったしな」
 「うん」
 「いつか一緒に行こうな」
 「うん!」
 「俺を案内してくれよ」
 「うん! でも、私はタカトラの傍ならどこでもいいんだよ?」
 「そうか」
 「おやすみ」
 「ああ、おやすみ、響子」

 俺は響子の額にキスをした。
 響子はすぐに眠った。
 ロボに頼んで、俺は屋上に戻った。




 亜紀ちゃんと鷹が残っていた。
 亜紀ちゃんがノートパソコンを持って来ていた。

 「あ、タカさん! 見つけましたよ!」

 俺にニュースの画面を見せる。
 
 《ニューヨーク レストラン銃撃事件》

 英語版の記事だった。

 「新聞には「勇敢な客が撃退」って書いてありましたけど」
 「ああ、俺たちは表に出たくねぇからな」
 「警察にも行ったんですか?」
 「聖がな。俺は一応聖の部下ってことで、聖が全部話した。まあ、大した話じゃねぇしな」
 「はぁー」

 亜紀ちゃんはちょっと不満げだ。
 俺が活躍して評価されてた方が良かったのだろう。

 「あの、ソフィアさんはその後石神先生とは?」
 
 鷹が聞いた。

 「ああ、特にはな。俺が一週間しかいられないのを知って、二日後に契約書の草稿を送って来た。俺も目を通したし、専門家にも見させて問題が無かったからな。だからもう会わなかったよ」
 「そうですか」
 「電話が来たけどな。お礼をしたいって。俺がもう帰ると言うと、そのままになった。まあ、ジャンニーニとももちろん何も無い。それはしょうがないよな」

 「今の「セイントPMC」の場所は、その時に決まったんですね?」

 亜紀ちゃんが言う。

 「そうだ。周囲に何もねぇから、亜紀ちゃんたちがバンバンやってもどこからも文句は来ない。いい場所を買わせてもらったんだよ」
 「そうですねー」

 亜紀ちゃんが思い出しているようだ。
 微笑んでいる。


 俺たちはちょっと移動して庭を見下ろした。
 双子が作ったカニの雪像が見えた。
 三人で笑った。





 俺は酒はここまでにして、茶を飲もうと言った。
 鷹が下で淹れて来てくれた。

 「本当に静かですね」
 「ああ。真冬の別荘もやっぱりいいもんだな」
 「はい」
 「鷹、寒くはないか?」
 「はい、ありがとうございます」

 「亜紀ちゃん、ちょっと寒いかなー」
 「嘘つけ!」

 三人で笑った。

 「ところで、ジャンニーニさんはどうやって奥さんと?」

 亜紀ちゃんが聞いた。

 「ああ、シマのキャットハウスでな」
 「ネコカフェ!」

 俺は笑った。

 「まあ、ちょっと違うんだけどな」
 「はい?」
 「アメリカの隠語で売春宿のことなんだ」
 「「!」」

 亜紀ちゃんと鷹が驚く。

 「もちろん非合法のものだよ。ジャンニーニの傘下の店だ。そこで客に怪我させた女がいた。生憎相手が他のファミリーの偉い人間でなぁ。それでケジメを付けなきゃならなくなった」
 「はぁ」
 「ジャンニーニが女に会ったわけだけど、また一目惚れでな」
 「まあ!」

 「相手が女を渡せと言っていた。まあ、タマを潰されちまったからな!」
 「アハハハハハ!」
 「でもジャンニーニが渡さなかった。戦争になりかけたけど、聖に頼み込んで収めたんだ」
 「タカさんは?」
 「俺は何も。聖から聞いただけだ。ファミリーは壊滅して、聖も金が入ったな」
 「それでその女の人と結婚したんですね?」

 亜紀ちゃんが嬉しそうに笑っている。
 ジャンニーニが本当に大好きなのだ。

 「そうだけどな。でも、ジャンニーニは最初は女をどうこうとは考えて無かった。助けてやったからヤラせろ、なんて考えない男だよ」
 「そうなんですね!」
 「今度は女の方から惚れた。ジャンニーニはその女をキャットハウスには戻さなかった。真っ当な店で働かせるようになってな」
 「へぇー!」

 「パン屋だったんだ。ケーキも売ってるな。高級店で、ジャンニーニが手土産にするような店だ。そこで女は一生懸命に働いた」
 「そうなんですか!」
 「ある日、女がジャンニーニの屋敷にケーキを持って来た。当然門前払いだけど、後からジャンニーニがそれを聞いた。慌てて女の店に行ったんだ」
 「来たぁー!」

 亜紀ちゃんが興奮した。

 「女に会って、ケーキを持って来たことを聞いたんだと。女が奥から持って来て、「やっとジャンニーニさんのお陰でこういうものが作れるようになりました」ってな。ジャンニーニがその場で泣き崩れたそうだよ」
 「ヤッタァー!」
 「アハハハハ。そこですぐにプロポーズしたそうだ」

 亜紀ちゃんが床で「ぐるぐる横回転」をした。
 鷹が大笑いした。

 「どういう女性なんですか?」
 
 鷹が俺に聞いた。

 「それがさ、俺も知らないんだよ。聖も話してない。前にジャンニーニの屋敷に行って飲んだ時に聞いたんだけどな。あいつは絶対に教えない。何でだって聞いたらさ」
 「はい」
 「「トラに会わせると女房が惚れる」だって。バカだよなぁ」
 「アハハハハハ!」
 「あ! お父さんと同じだ!」

 鷹が笑い、亜紀ちゃんが喜んだ。

 「まあ、そういうことで未だに知らない。聖と一緒に相当吐かせようとしたんだけどな。根性見せてゲロしなかった」
 「「アハハハハハ!」」

 「でも、奥さんと子どもの話をする時には、あいつ、幸せそうに話すんだよ」
 「そうですかー」

 亜紀ちゃんも幸せそうに笑った。
 山中を思い出しているのだろう。





 ジャンニーニが俺たちに家族を隠しているのは、別に俺たちだけのことだけではない。
 あいつは裏社会にいる。
 敵もいる。
 だからだ。

 俺も、栞のことを思い出して微笑んだ。
 鷹が俺の顔を見て、同じように微笑んだ。
 鷹だけは栞の行き先を知っている。
 「飛行」で会いに行ける人間だからだ。
 「花岡」の技で行けば、枝は付かない。
 時々、会いに行ってもらうつもりだった。





 「元気にしてますかね」
 「大丈夫だよ」

 二人で笑った。

 「え、誰の話ですかー?」

 亜紀ちゃんが聞いて来た。
 二人で笑って教えなかった。
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