富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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東富士演習場

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 御堂家から帰った翌日。
 俺たちは自衛隊の東富士演習場に向かった。
 俺と亜紀ちゃん、ルーとハーの四人だ。
 午前7時50分出発。
 午前7時53分現着。

 今回は敢えて「飛行 鷹閃花」で飛んだ。
 自衛隊員に俺たちの力を見せるためだ。

 空から降下する俺たちを、500人の自衛隊員が驚愕しながら見ていた。

 「トラ兄さん!」

 左門とリーが駆け寄って来る。
 二人は自衛隊内に新たに設立した「対特殊生物防衛隊」の指揮官と副官だ。

 俺たちは「Ωスーツ」を脱いで、タイガーストライプのコンバットスーツで部隊の前に進んだ。
 左門が俺たちを紹介する。

 「これは事前に説明した通り、機密事項となる! 彼らのことや今日見たことは、一切の口外を禁ずる!」

 俺たちは、アメリカで「業」の侵攻を撃破し、先日の大規模な「太陽界」のテロを鎮め、また御堂家での怪物たちとの戦いに勝利した超国家的軍事組織であると紹介された。
 顔も隠していない。
 「虎」の軍は、徐々に表に出始めている。
 それは驚異的な「業」の軍勢の活動が明らかになって来ているためだ。
 直接の被害を受けたアメリカ、日本は俺たちの力を欲しがっている。

 今日、自衛隊の前に現われたのは、自衛隊との連携を実現するためだ。
 そのために、自衛隊に俺たちの力の一部を見せる必要があった。
 それは、自衛隊の中にも「業」の超絶的な戦力を疑っている人間がいるためだ。

 「時間を無駄にしたくない。早速、格闘戦でもやるか」
 「はい!」

 左門が希望者を募る。
 数人の男が前に出た。

 「よし、ルーからだ」
 「はーい」

 相手の男は、細身のルーに戸惑っていた。
 俺が相手になるのだろうと勝手に考えていたのだろう。
 左門の方を向く。

 ルーは、その一瞬で顎にアッパーをかまし、男の身体が宙に浮いた。
 男は失神していた。

 「何こいつ? やりたいって言ってたはずだけど、何でよそ見してんの?」

 ルーが挑発的に言った。
 これで、他の人間に油断は無くなった。

 「全員で来い!」

 5人の男たちが一斉にルーを襲った。
 その攻撃は一つもルーに触れることなく、全員が吹っ飛ばされた。
 自衛官たちは全員が圧倒されていた。

 俺は亜紀ちゃんとハーに合図した。
 二人はニヤリと笑い、並んでいる自衛官たちに襲い掛かる。

 「トラ兄さん!」
 「俺は格闘戦をやると言った。存分にやるぞ」
 「無茶苦茶だ!」

 応戦が始まったが、亜紀ちゃんたちに敵うわけがない。
 ルーも加わり、5分程で全員が地面に転がって呻いていた。

 一応、最初の男以外は骨折などはない。
 最初の男も、顎にヒビが入った程度だ。
 左門とリーが部下たちを見て回る。

 「全員立て! 次は砲撃戦だ! 寝ている奴は死ぬぞ!」

 全員が立った。
 左門とリーも、その場に直立する。

 「亜紀ちゃん、200メートル先に「トールハンマー」だ」
 「はい!」

 それで加減は亜紀ちゃんにも通じる。
 「トールハンマー」としては、随分と小さなサイズだ。
 200メートル先の地面に激しい雷光が突き刺さる。
 深さ20メートルに渡って地面が抉れ溶解した。

 「ルー、亜紀ちゃんが抉った場所に空中から「虚震花」」
 「はい!」

 ルーが飛び上がり、撃ち込む。
 地面が爆散し、深さ100メートルを抉った。

 「ハー、1キロ上空に特大の「轟閃花」。やれ!」
 「はーい!」

 上空が紫色に染まり、激しい雷撃が飛び交った。

 自衛官たちは、呆然とそれを見ていた。

 「お前ら、こいつらをどう思う?」

 俺は呆けている自衛隊員たちを指差して、子どもたちに聞いた。

 「使えませんね」
 「いらないと思う」
 「やっちゃおうか?」

 「よし、こいつらに「轟閃花」を撃て」

 「待って待って待ってぇー! トラ兄さん! 頼むから待ってぇー!」

 俺たちは笑った。

 「おい、俺たちをバカにする奴はもういないか?」
 「いないよ! だからぁー!」

 「左門、じゃあお前が受けろ」
 「はい?」
 「こんなクソ虫を見せるためにわざわざ俺たちを呼んだんだ。冗談じゃねぇ。俺たちはヒマじゃねぇんだ」
 「すみません!」
 「左門! お前には俺たちの戦いを見せたはずだ! こいつらにも見せたんだろう!」
 「はい!」
 「だったらどうしてこんな腑抜けを集めやがった! お前らが一瞬で死ぬ戦いだと分かってねぇのか!」
 「申し訳ありません!」

 「許さん! お前が責任を取れ! お前がバラバラになって死んで、こいつらに思い知らせろ!」
 「はい!」

 自衛官たちは、突然の流れに戸惑っていた。

 「ハー! 撃て!」
 「はーい!」

 ハーが構えた。
 左門は目を閉じている。

 「てめぇら! 上官が命を懸けてるのに、黙って見ているのかぁ!」

 リーが左門の前に立ちふさがった。
 数人の男たちがその前に立つ。
 やがて、全員が左門の周囲に集まった。

 「ルー、ハー、思い切りやれ!」
 「「はい!」」

 二人が「手当」をしていく。
 双子の両手から見えないエネルギーが伸び、男たちを包んで行く。

 「あれ?」
 「おい、これって」
 「痛くないぞ!」
 「なんだ、これは!」

 ルーが最初の男の顎に直接手を当てた。

 「ごめんね、ちょっとやり過ぎちゃった」
 「い、いえ」

 男は口が利けるようになった。




 俺は全員を地面に座らせ、俺たちの模擬戦を見せる。
 俺と亜紀ちゃんが戦い、目で追えないスピードでの攻防に、全員が驚く。
 ルーとハーの戦闘も同じだった。
 男たちは、度々激しい衝撃波を浴び、先ほどの格闘戦が手加減されていたことを知る。

 「俺たちの攻撃は、人間の身体を文字通り粉砕する。銃砲も戦車も無意味だ。航空機もな。「業」の戦力もそうだ。だから俺たちはこの技「花岡」を身に着け、磨き上げて来た」

 全員が黙って聞いている。

 「アメリカの軍事基地が二つ、一瞬で壊滅した。空軍がスクランブルで戦闘機や戦闘ヘリを飛ばしたが、全て撃墜された。ミサイルもだ」
 
 一人の男が手を挙げた。

 「核はどうなんでしょうか!」
 「ミサイルが途中で撃墜されるか、攻撃範囲から離脱する。音速を越えて移動出来るからな」

 その男の質問で緊張が解けたか、幾つも俺に聞いて来る。
 答えられるものは答えてやった。

 「左門!」
 「はい!」
 
 「そろそろ食事にしてくれ。こいつら、そろそろ腹が減って暴れ始めるぞ」
 「は、はい!」

 俺たちはリーの運転するジープに乗って移動した。
 他の自衛官たちはトラックに乗り込む。




 広い食堂で全員で食事をした。
 一人ずつ、200gのステーキがついている。
 子どもたちも同じだ。
 左門が、俺からのものだと説明した。
 全員から礼を言われる。
 俺は、食事は戦いだと言った。

 自衛官たちは、うちの子どもたちの悪魔的な食欲に、また驚いていた。
 子どもたちはほとんどの人間からステーキを奪い取って食べた。
 怖がって、ほとんど誰も抵抗しなかった。
 抵抗した数人が殴り飛ばされ、その後はまったく為すがままだった。




 「「「ギャハハハハハ!」」」
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