富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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焼き肉屋の野薔薇

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 風花の家に戻ると、みんなで楽しくお茶を飲んでいた。

 「お帰りなさい! どうでした?」
 「ああ、なんとかな」
 「いしがみさん……」

 取り敢えず、俺たちも紅茶とケーキを貰った。
 外で稽古をしていた「絶怒」の連中が、インターホンを押して来た。

 「どうしました?」
 「風花の姐さん! 大阪港が大変なんですよ!」
 「え?」

 「おーし! お前らぁ! 俺が折角来たんだから、ちょっと揉んでやらぁー!」
 「い、石神さん!」
 「行くぞー!」

 俺は玄関から急いで外に出て、「絶怒」の連中を叩きのめした。
 まあ、中でやっぱりよしこが全部話していた。

 


 「石神さん、ちょっと」
 「ワハハハハハ!」

 風花に睨まれた。
 響子はキョトンとしている。
 事態が分かっていない。

 「まあ、ちょっとな。反省はしてるんだ」
 「ほんとですか?」
 「そうだよ! なあ、六花! 俺が反省してる時の顔だよな!」
 「そうです!」
 「お姉ちゃん!」
 「ワハハハハハ!」
 「もう!」

 六花が美しい顔で微笑むので、風花も諦めた。

 「タカさんは、こういう人ですから」

 皇紀の頭をグリグリしてやる。

 「石神さん、もう辞めて下さいね」
 「分かったよ! 悪かった。被害を受けた人たちにはちゃんと詫びを入れるから」
 「はぁ」

 だって、「シロピョン」じゃん!
 まあ、俺も悪かった。

 夕飯はみんなで焼き肉屋に行った。
 俺の隣に響子と皇紀が座り、対面に六花を中心によしこと風花だ。
 
 「そう言えば、野薔薇はどうした?」

 焼肉を食べながら俺が風花に聞いた。
 皇紀が響子に野薔薇のことを話す。
 一応護衛はもう必要無くなったが、その後のことは聞いていない。
 タヌ吉を呼べばいいのだが、あいつも忙しいだろうと軽くは呼ばないようにしている。

 「ああ、今は私の安全のために周辺の妖魔たちを締めるんだって」
 「締める?」
 「はい。一昨日から出掛けてまして」
 「なんだ、まだいたんだ」
 「ええ。良かったら、このまま一緒にいてもいいですか?」
 「もちろん構わないけど。野薔薇と一緒にいたいのか?」
 「はい! いい子ですよ! 話してても楽しいし」
 「そうか。じゃあ好きにしろよ。俺も風花の傍に野薔薇がいると安心だ」
 「はい!」

 六花とよしこは野薔薇のことを知らないので説明する。

 「まー、なんだ。大妖魔のタヌ吉と俺がアレでな。俺の子になってるんだよ」
 「なんすか、それ?」

 よしこが突っ込んで来る。

 「ヤったんですね!」
 「うん!」

 六花は理解が早い。
 風花が呆れて俺を見ていた。
 響子が睨んでいる。
 カワイイ。

 「あのなぁ。妖魔との付き合いって結構大変なんだよ。人間と妖魔とは思考の形式が違うからな。概念も違う。ああ、ヤったって言っても、人間のセックスとは違うんだからな!」

 大変気持ちいい。

 「そうなんですか!」
 「そうだよ。でも、そういう関りって言うの? そうしたら子どもが出来たってなぁ。トラちゃんびっくり」
 「へぇー。大変なんですね」
 「そうなんだよ!」

 なんか片付いた。

 「あー、折角来たんだから、野薔薇にも会いたかったなー」
 
 俺がそう言うと、みんなが俺を見ていた。

 「「「「「!」」」」」

 「ん?」

 「おとーさまー!」

 野薔薇がいつの間にか俺の隣に座っていた。
 ご丁寧に、一人分皇紀が移動させられていた。

 「おお! 野薔薇!」
 「はい!」
 「お前もどんどん喰え!」
 「はーい!」

 なんなんだ、こいつ。

 俺は動揺を隠して肉を焼いて野薔薇に食べさせた。
 野薔薇の取り皿まで用意してあった。

 「美味しいです!」
 「そうか!」

 野薔薇は自分で肉を焼き始める。

 「お前、周辺の妖魔をまとめてくれてるんだって?」

 何とか話し掛けた。

 「はい! お父様の大事な風花さんを守るのに必要かなって。私はいつ呼び戻されるかわかりませんし」
 「ああ、そのことなんだけどな。風花がお前と一緒にいたいって言うんだけど、どうだ?」
 「え! ほんとですか! もちろん私も嬉しいです!」
 「そうかよ。じゃあ、しばらく頼むぜ」
 「はい!」

 野薔薇が嬉しそうに風花を見た。
 風花もニコニコしている。

 「野薔薇は風花が好きか?」
 「はい! 綺麗ですし優しいですし、いい匂いがいたします」
 「いい匂い?」
 「はい! 風花さんはいい匂いです!」
 「どういうことなんだ?」

 理解出来ないことは、ちゃんと把握しておく必要がある。
 妖魔は人間とは違うからだ。

 「綺麗な魂を持った人の匂いです。お母様がお好きな人間の匂いですよ。だから私も大好きです!」
 「そうか」
 「光の女王の周りにいる人の匂いですね。「虎王の真の主」であるお父様に通じる匂いです」
 「そうなのか」

 野薔薇が立ち上がって響子に向かって頭を下げた。
 よくは分からないが、まあ、悪いことにはならないようだ。
 
 「お父様はここにも大切な方々がいらっしゃいますのね?」
 「その通りだ。だからここも守りたい」
 「はい! わたし、頑張ります!」
 「ああ、宜しくな」

 「じゃあ、わたしはこの辺で」
 「おい、いいじゃないか。もっと食べて行けよ」
 「いいえ。もう十分です。お父様の御優しさを頂きましたので」

 俺は野薔薇を抱き締めた。
 野薔薇が驚いていた。

 「おい、お前は正真正銘、俺の大事な娘だ。遠慮なんかするな」
 「お父様!」

 野薔薇の顔が輝いた。

 「ほら、お前の兄弟だ」

 俺はベビーベッドで眠っている吹雪を野薔薇に見せた。

 「わあ! なんて綺麗な子!」
 「吹雪だ。お前の弟にあたる」
 「はい! こんな綺麗な弟なんて! わたし、嬉しいです!」
 「そうか。お前が喜んでくれると俺も嬉しいよ」
 「もうお二人の神様が祝福されてるんですね!」
 「ん?」
 「それはそうですよね! お父様の子どもなんだし!」
 「お、おう」
 
 なんのことだ?

 「じゃあ、本当にそろそろ。今日はお父様にお会い出来て嬉しいです!」
 「おう! 俺もだ!」

 野薔薇はちゃんと個室の出口から出て行った。
 その後は知らんが。

 「おい、お前らもどんどん喰えよ」
 「いや、あの」
 「皇紀! どうした! 兄弟がいないとダメか?」
 「いえ、そうじゃなくってですね、今の、あの……」
 「なんだよ! ほら、俺が焼いてやるよ!」

 

 
 なんで次々いろんな妖魔が来るんだよ!
 泣きたくなった。
 まあ、野薔薇は本当にカワイイのだが。
 俺は一生懸命に肉を焼いた。
 響子が食べすぎて苦しいと言った。
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