富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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素晴らしい贈り物

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 「山が好き!」(シロピョン)
 「海が好き!」(どうしたのですか、クロピョン?)
 「山が好き!」(動物好きのタカトラ様に、これまで様々な動物を献上してきたのだ)
 「海が好き!」(そうなのですか)
 「山が好き!」(だがな、気に入って頂けるものがなくてな)
 「海が好き!」(そうですか)
 「山が好き!」(そこでな。次はシロピョンに是非頼みたいのだ)
 「海が好き!」(私がですか?)
 「山が好き!」(そうだ。何かタカトラ様が気に入る動物はないものだろうか)
 「海が好き!」(海洋生物では、すぐに陸に上げれば死んでしまうでしょう)
 「山が好き!」(それはそうだな)
 「海が好き!」(ああ、丁度いいのがいますよ!)」
 「山が好き!」(ほんとうか!)
 「海が好き!」(ペンギンなどはどうでしょう?)
 「山が好き!」(ああ、あの可愛らしい連中か!)
 「海が好き!」(どうです?)
 「山が好き!」(いいと思うぞ!)
 「海が好き!」(それでは早速)




 ぐるぐる
 「アァー!」
 パシャン、ポーン
 パシッ(キャッチ)
 そろそろ~
 トン
 「アァー!」




 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■




 12月半ばの木曜日。
 そろそろ起きようと思っていると、ハーが部屋に飛び込んで来た。

 「タカさん!」
 「どうした?」

 慌ててはいるが敵襲ではない。
 俺が何も感知していないからだ。

 「庭に!」
 「またかよ」

 またろくでもないモノが来たか。
 気配を感じないから、弱い妖魔なのだろうと思った。

 「ペンギンなの!」
 「え?」

 え?

 「どこから入ったか分からないの! でも、ペンギンがいるの!」
 「あ、ああ」

 とにかく行くことにした。
 ペンギンに偽装した何かかもしれない。
 と言うか、本来はそれ以外にうちの庭に侵入できるはずもないのだが。

 ウッドデッキに出た。
 他の子どもたちも集まっている。
 ロボも見ている。

 子どもたちから離れた場所に、そのペンギンはいた。

 「いるな」
 「言ったじゃん!」

 ハーが怒っている。

 「だってよ」

 俺がハーと話していると、ペンギンが近寄って来た。
 体長は90センチほどか。

 「やっぱタカさんだー!」
 「なんだよ!」

 こいつ、警戒心がねぇ。
 俺に近づいて、臭いを嗅いだかと思うと、身体をすりつけてきた。

 「やっぱタカさんだー!」
 「もういいよ!」

 取り敢えず、危険な感じは無い。
 妖魔でもなさそうだ。
 しかし、それならどうしてうちの庭に入った?

 でも、思い出してみると、これまでうちの庭には様々な動物が来ている。
 牛や馬、キリンまでいたか。
 面倒なので、ほとんど「佐藤家」に放り込んで来た。
 たまに警察に届けて回収してもらったりした。

 「警察を呼べよ」
 「「「「「えぇー!」」」」」
 「なんだよ!」
 「カワイイですよ?」

 亜紀ちゃんが言った。

 「石神さん、うちで飼えないですかね?」
 
 柳も気に入ったようだ。
 
 「そんなこと言ってもよ。どこで飼うんだよ?」
 「えーと、この辺で」
 「おい、こいつ結構臭いぞ?」
 「え?」

 亜紀ちゃんと柳が近寄って来て臭いを嗅いだ。

 「「くさい!」」
 「な?」
 「でも、カワイイんだけどなー」
 「やめとけって」

 ルーとハーが俺の両袖を引っ張っている。
 
 「タカさん、食べていい?」
 「おい!」

 亜紀ちゃんと柳が頭を引っぱたいた。
 何でこの二人は見たら食べたがるのか。

 「とにかく警察に届けろ。誰かが飼っていたのかもしれんぞ」
 「はーい」

 俺はシャワーを浴びて病院へ向かった。
 朝食を食べ損ねた。




 午前のオペが終わると、俺のデスクに伝言があった。
 皇紀からだ。
 家にいる皇紀が警察への手配をしたらしい。
 電話した。

 「おう、ペンギンはどうなった?」
 「それがですね。一度来てはくれたんですが、すぐには引き取れないということになって」
 「なんだと!」
 
 俺が怒鳴ったので、皇紀が脅えた。

 「あの、ペンギンは特別な環境が必要で、警察では飼育する環境がないということで」
 「知ったことか! うちだってねぇよ!」
 「そこはですね、うちの庭は広いから、そのまま放置でも大丈夫みたいです。気温は丁度いいらしいですよ?」
 「お前、調べたのかよ!」
 「しょうがないですよ。死んじゃったらカワイソウですから」
 「おまえなー」

 「とにかく、警察では飼い主を調べてくれてます。でも、キングペンギンという種類らしくて、日本では生育していないんですよ」
 「マジか!」
 「はい。動物園や水族館では皆無で。ですけど、個人で飼育というのもあり得ないようでして」
 「まいったな。あー! やっぱ最初に早乙女の家に放り込んでいれば良かったぁ!」
 「ダメですよ!」
 「あそこ、広いじゃん」
 「うちもそうですけどね」
 「あいつら、優しいじゃん」
 「まあ」
 
 「おし! 皇紀! すぐに持ってけ!」
 「ダメですって! それに警察でうちにいるって分かっちゃったんですから!」
 「チィッ!」

 参った。
 早乙女に電話した。

 「石神!」
 「よう!」
 「何かあったか!」
 「いや、あのさ。お前こないだ酒を飲んだ時にさ、ペンギンが飼いたいって言ってたじゃん」
 「え?」
 「ほら、言ってただろう!」
 「俺、そんなこと言ったか?」
 「言ったよ!」
 「いつのことだ?」

 警察官は猜疑心が強いや。

 「まあ、それは俺も曖昧なんだけどさ。でも、やっと手に入れたから」
 「なんだ?」
 「今、うちの庭に届いてるんだ。夜に持ってくな!」
 「何を言ってるんだ! 困るよ、それは!」
 「え? 折角手配したのに?」
 「困るって!」
 「困ったなぁ」
 「石神、お前おかしいぞ!」
 「あんだよ!」
 「お前がいきなりそんな話をするわけはない!」
 「え、えーとー」
 「嘘だろう!」
 「おい」

 「お前、また面倒事を!」
 「アハハハハハ!」

 電話を切った。
 最近、あいつも響子と同じで騙されなくなった。
 一江を見た。
 目が合った。

 「私、ペンギンなんて頼んでませんからね!」
 「……」

 俺は食事をし、午後のオペに入った。
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