富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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皇紀 in 風花

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 月曜日に、フローレスさんが迎えに来た。
 
 「おはようございます!」
 「おはようございます。あれ、もういらっしゃらないかと」
 「どうしてですか? 今日もコウキさんをご案内しなければなりません」
 「そうですかー」

 まだあるのかー。
 いつものハンヴィに乗り込んだ。
 まあ、ここまで来れば、どこまでもお付き合いしようと思った。
 
 「ところでコウキさん、随分と有名になりましたね!」
 「やめて下さいよ!」
 
 運転しながらフローレスさんが嬉しそうに話した。

 「今日もここに来るまでに、何人もそのヘアスタイルを見ましたよ!」
 「そうなんですか!」
 「はい! 最近では、私もそのヘアスタイルがちょっといいかと思ってます」
 「え、じゃあ、前はやっぱり!」
 「ええ、最初にお会いした時には、ちょっと頭のおかしい方なのかと」
 「エェーーー!!」

 「「ギャハハハハハ!」」

 ルーとハーが僕の両脇で大笑いしていた。

 「……」

 やっぱりそうだったのかー。

 「でも、一緒にいて分かりました。コウキさんは、ご自分が標的になるために、わざとそんなおかしな頭にしていたのですね!」
 「おかしいですか!」

 みんながまた笑った。
 真岡さんまで笑っている。
 それに、僕には標的になるつもりなんて、まったくなかったんだけど。

 「まあ、いいですよ。それで、今日はどんな相手なんですか?」
 「は? 軍事基地の候補地ですけど?」
 「もう!」

 フローレスさんが笑って答えた。
 まあ、どんな相手でも構わないのだが。




 20分ほど走った。
 途中で見覚えがある景色を通った。

 「あれ? ここは……」
 「はい、ここがやはり宜しいのではないかと」

 初日に来た、麻薬を育てていたギャングのアジトがあった場所だ。
 山の中腹にあった屋敷や畑は既に無い。
 残骸も片付けられ、整地作業が始まっている。
 重機が何台か動いていた。
 僕たちがハンヴィを降りると、向こうから走って来る人がいた。

 「皇紀さーん!」

 手を振って走っている。

 「東雲さんじゃないですか!」
 「ハァハァ、皇紀さん、待ってましたよ!」
 「なんで!」
 「虎の旦那に、ここを「虎」の軍の軍事基地にどうかって。あっしによく見ろって言われましてね」
 「そうなんですかぁ!」
 「はい。皇紀さんもいいんじゃないかと言ってたって。今日あたり来るから、一緒に話し合えってことで」
 「エェー!」

 東雲さんは笑いながら、仮設のプレハブの建物へ連れて行ってくれた。
 緑茶が出て、僕は懐かしくそれを飲んだ。
 フローレスさんが改めて話してくれた。

 「「虎」の軍には、お好きな場所を提供するつもりだったんです」
 「そうなんですか」
 「一応こちらも候補地を探してはみたのですが、ここもその一つで」
 「随分物騒な連中がいましたよね!」
 「アハハハハ! でも、みなさんには何ほどのこともございませんでしたでしょう?」

 フローレスさんが笑った。

 「御希望があれば、別な場所でも。でも、ここであれば、山全体をお使い頂いて結構ですから」
 「そうなんですか」

 フローレスさんが僕に頭を下げた。

 「「虎」の方にはお引き受け頂いていたのですが、この国は幾つも大きな利権を求める勢力がございました。最大のものは、昨日対応いただいた中国のマフィアです。他にも軍人や国内のマフィアなどが。基地建設が始まっても、恐らく様々な妨害や邪魔をしていたと思います」
 「はい、それは「虎」からも先日聞きました」
 「コウキさんは御存知ないとのことでしたが、それでも私たちに最後までご協力を頂きました。お詫びと深い感謝を」
 「いいんですよ。僕も仕事で引き受けたことです」
 
 フローレスさんが不意に僕を抱き締めた。

 「私の両親と妹は、マフィアに殺されました。コウキさんはその連中を……」
 「そうだったんですか」
 「ありがとうございます」
 「いいえ」

  



 僕はその三日後に日本へ帰った。
 改めて顕さんのお宅へ行き、ご馳走になったり、また大統領夫妻とも会食した。
 フローレスさんが、一番美味しい中華のお店に連れて行ってもくれた。

 「タイガーファング」が迎えに来て、驚いたことにタカさんも乗っていた。

 「おう! ご苦労!」
 「タカさん!」

 タカさんが僕を抱き締めてくれた。

 「よく頑張ったな」
 「いいえ!」

 荷物を載せて、僕たちは飛び立った。

 「あー、早くみんなに会いたいですよ」
 「ああ、でもちょっと大阪でゆっくりしろよ」
 「え?」
 「疲れを癒してから戻って来い。風花には話しているしな」
 「タカさん!」
 「お前も会いたいだろう?」
 「はい!」

 もちろんだった。
 この2か月、まったく風花さんと話すことも出来なかった。

 20分後、大阪の風花さんの屋敷に降り立った。
 「タイガーファング」が発着できる広い場所がある。
 風花さんがそこで待っていてくれた。
 後部の扉が開き、僕は駆け出した。

 「風花さん!」
 「ギャハハハハハハ!」
 「!」

 風花さんが爆笑し、タカさんも後ろで大笑いしていた。

 「ああ! これが見たかったぁ!」
 「……」

 風花さんはしばらく大笑いし、タカさんが僕たちの写真を撮った。
 ルーとハーが僕に近づいて来た。

 「皇紀様、楽しゅうございました!」
 「皇紀様、またどこかの戦場でお会いしましょう!」
 「なんだよ、時々遊びに来てよ!」

 二人が顔を見合わせた。

 「「はい!」」

 二人が僕を抱き締めてくれ、笑って別れた。

 「皇紀さん、本当に大変でしたの……ワハハハハハハ!」
 「もう……」

 風花さんを抱き締めた。
 ポンパドールが風花さんの髪を押し上げ、また笑われた。
 しばらく、キスは出来なかった。




 でも、本当に嬉しかった。
 お風呂に入り、風花さんが僕の髪と格闘して洗ってくれた。
 
 やっとキスが出来た。

 「お帰りなさい」
 「ただいま戻りました」

 本当に嬉しかった。
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