富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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《虎星》: ロボと鍛錬! Ⅱ

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 マザーから途轍もない事象を見せられても、当初は俺に何かをする思いは無かった。
 俺に出来ることは、俺たちのの戦いに備え、準備するだけだ。
 しかし、その戦いに於いて、「業」の軍勢が莫大な数に上ることが分かって来た。
 地球の全人口を遙かに超える、千兆を超えて京に上る以上の数もあり得る。
 「業」と同化した《大羅天王》は、凄まじい数の妖魔をその身に宿しているらしい。

 俺たちはロシアでの移民移送作戦で、数億の妖魔を差し向けられた。
 あの戦いで、俺は数の脅威を身をもって知った。
 いくら俺たち一人一人の戦力が高くとも、数に押された場合にどれほど苦戦するのかを。
 だから俺は考えを改めた。
 数の差の問題はもうどうしようもない故に、今の戦力を大きく高める必要がある。
 千石仁生の加入は、大いに有難かった。
 千石の他者へ技を伝える能力は、「虎」の軍の底上げになった。
 そしてもう一つが石神家本家の参戦だ。
 最強の剣技で、妖魔相手に戦える集団が加わったことは、俺にとって僥倖だった。
 全世界から「虎」の軍へ入りたいと言う希望者が増えたことももちろんだ。
 
 だが、まだまだ数の問題は解決出来ていない。






 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■






 佐野さんを送って家に戻ると、丁度お茶の時間になった。
 今日は双子の花壇のスイカをみんなで食べながらアイスコーヒーを飲む。
 双子が石神家での出来事を亜紀ちゃんと柳に話していく。

 「私たちね! 「虎相」が出せたんだよ!」
 「ほんとに! えぇ、私も出来るかな!」
 「うん。でも、真白さんの施術がやっぱり必要かなぁー」
 「そうなんだ」

 亜紀ちゃんが出来るようになりたいようだ。
 まあ、「虎相」が出せたからどうということも無いのだが。
 あれは石神家の剣技に関わる技だ。
 むしろ「花岡」などの技は、異なったエネルギーを纏うために邪魔にもなることが多い。
 俺がそう話すと亜紀ちゃんは諦めたが、柳がどうしても欲しいと言った。

 「スーパーミドウ人になるんです!」

 柳は『ドラゴンボール』が好きだった。
 スーパーサイヤ人に似た、石神家の「虎相」を身に纏いたいのだろう。
 なるほどね。

 「じゃあ、いつかな」
 「ほんとですか!」
 「ああ」

 いつになるか分からんが、柳が喜んだ。
 そう言えば、前に夢で先祖の虎之介が御堂家の娘を嫁に貰うとかなってた。
 あれが現実のことかは分からんが、もしかしたら御堂家にも石神家の血が入っているかもしれない。

 俺は少し眠ることにした。
 ロボが付いて来て一緒に寝る。





 夕飯はカレー大会だった。
 また秋になると御堂家から大量の米が届くので、今から減らしておかなければならない。
 いつもながらにうちのカレーは美味い。
 子どもたちはガンガンカレーを食べて行った。
 よしよし。

 食事を終えて風呂を済ませ、今日はのんびりとリヴィングで酒を飲んだ。
 子どもたちも全員が一緒に飲む。
 俺と亜紀ちゃんは冷酒を飲み、柳と双子はビールだ。
 つまみは各種刺身とナスの煮びたし、生ハム、それに大量の唐揚げだ。
 ロボもマグロの刺身で冷酒を呑む。

 「タカさん、あの」

 亜紀ちゃんが申し訳なさそうに俺に聞いてくる。

 「なんだ?」
 「あのですね、お庭のアレなんですけど」
 「ああ、俺が何とかするよ」
 「本当にすみません」
 「いいよ。もしかすると役立つ物なのかもしれん」
 「そうなんですか?」

 《トゥアハ・デ・ダナーン》と聞いた時から、俺に一つ宛が出来た。
 それはグランマザーとの関りだ。
 子どもたちにはまだ話していない。

 亜紀ちゃんと柳が多少暗くなったので、双子が話題を変えてまた石神家本家の話をした。
 御坂や千鶴の奮闘を話し、亜紀ちゃんと柳もようやく笑っていた。
 それに俺が話した斬の凄まじい鍛錬の話もして、亜紀ちゃんと柳は目を輝かせた。

 「あのね、そういえばタカさんって「花岡」をいつの間にか身に付けてたんじゃないかって言ったんだよね?」
 
 そういう話も出た。

 「タカさん、私たちが「花岡」を解析する前から、自分で何か分かってたんじゃないの?」
 「ああ」
 「ねぇ、ほんとにどうだったのかなー」
 「まあ、俺も自分で考えながらやってたよ」
 「やっぱ!」
 「そうだったんだね!」
 
 双子が興奮し、亜紀ちゃんと柳は驚いていた。

 「相当ヤバい拳法だったからな。対抗手段を持たなきゃならないとは思ったよ」
 「だからだぁ! タカさん、すぐに覚えたっていうか、最初から何か出来てたよね!」
 「まあな」

 もう隠す必要は無い。
 本来は子どもたちを守るために、俺自身が考え練習していたことは確かにある。
 
 「もちろん、お前らの解析が大いに役立ったのは事実だ。あれが無ければこれほど早くは身に付かなかったからな」
 「でも、タカさんはいつも私たちよりも上だったじゃないですか」
 「それはお前らよりも鍛錬したからだよ」
 「そんな! いつやってたんですか!」
 「どうでもいいだろう」
 「えぇー!」

 親父としての威厳だ。
 俺はこいつらの壁になってやらなければならん。

 「あぁ、そうだぁ!」
 「どうしたのハー?」
 「タカさん、魔法陣の解析ってどうやったの!」
 「えぇ!」

 虎白さんに強制されて、《地獄の悪魔》を斃せる技を考えろと言われた。
 咄嗟に「魔法陣」を使うことを思いついた。

 「ルーン文字を入れ替えて出力調整って言ってたよね!」
 「あぁ! そうだった!」
 「あんなこと、相当検証しなきゃ出来ないよ!」
 「そうだ! でも、検証ってどうやって?」
 「出来ないよ!」
 「異次元の怪物が出るもんね!」

 双子が大騒ぎし、亜紀ちゃんたちもようやくその騒ぐ理由に気付く。

 「タカさん! 一体どうやったの!」
 「いつやったの!」
 「うるせぇな」

 「「「タカさーん!」」」
 「石神さん!」

 全員が俺に叫ぶ。

 「「業」との戦いは俺が始めたことだ。お前たちを巻き込んではいるが、本来は俺が何とかしなければならない戦いなんだ」
 「でも、私たちだって!」
 「分かってるよ。だけど、戦いの根幹は俺が常に考えてなきゃいけない。だから有用な戦い方や技術は俺も本気でやってるだけだ」
 「それをいつ、どこで……」
 「はぁー」

 子どもたちにも、そろそろ話していいかもしれない。
 もう「魔法陣」の検証は済んでいるので、これからこいつらも覚えて行っていいだろう。

 「グランマザーに頼んでる」
 「「「「エェェェェェーーー!」」」」
 「ルーとハーが偶然に見つけた「魔法陣」は、途轍もない威力がある。だから一度は封印したが、「業」との戦いであれが必要だと考えるようになったんだ」
 「石神家でも、《地獄の悪魔》や《神》まで殺せる威力になったよね!」
 「タカさんが「魔法陣」をものにしてたからだよね!」
 「そうだ。もう信頼できる人間には公開してもいいと思う。お前らにもそろそろな」
 
 子どもたちが興奮する。
 柳は「オロチストライク」に使えるのではないかと考えているだろう。

 「前に「大銀河連合」の《天下一ぶ……》に出ただろう?」
 「はい、優勝しましたよね!」
 「そうだ。あの時に賞品として惑星のテラフォームを提案されたのを覚えているか?」
 「もちろん! タカさんは断りましたけど」
 「あれをもらった」

 「「「「エェェェェェーーー!」」」」

 とんでもなく驚く。

 「俺が「魔法陣」の研究をするためだ」
 「そんな! じゃあ、地球上では危険だから……」
 「そういうことだ。《虎星》と名付けた場所で、俺がロボと一緒にやってきたんだ」
 「知らなかった……」

 知られないようにやったんだ。
 俺はグランマザーとの連携を子どもたちに話した。
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