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聖とトゥアハー・デ・ダナン星系
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「石神様、このままトゥアハー・デ・ダナン星系まで行ってもよろしいでしょうか?」
「ああ、そうしてくれ」
聖と《虎星》で鍛錬を終えた後、俺たちはトゥアハー・デ・ダナン星系へ行った。
聖には一度宇宙規模の異変というものを見せておきたかった。
聖がどのように感ずるのかは分からないが、俺は聖には見せておこうと思った。
10分ほどで、俺たちはトゥアハー・デ・ダナン星系に到着する。
グランマザーから報告は受けているが、最初に観た時よりも、確実に拡大している。
そして、数か月前、正確には皇紀と双子が修学旅行で「ヘヴンズ・フォール」により巨大な水晶の塊を降らせてからだ。
明らかにトゥアハー・デ・ダナン星系のエネルギー体が形を取り始めた。
「虎」だ。
同時にミレー星系の方も何かの形を成してきた。
まだはっきりとはしないが、どうやら九頭龍だ。
9本の頭を持つ龍の姿であった。
どうして地球から遠く離れた場所で虎や龍の姿になるのかは分からない。
ただ、一つ言えることがある。
それは、俺たちはこのことを知っているが、「業」は知らないということだ。
だから、俺たちはこの宇宙的現象を観測し、また僅かながらにせよ、先に介入することが出来る。
それがどれほどのアドバンテージになるのかは分からないが。
「石神様。あの《リア・ファル》を投下してもよろしいでしょうか?」
「ああ、やってくれ」
真夜がうちの庭で掘り起こした《リア・ファル》と呼ばれる秘宝を俺はグランマザーに回収させた。
《リア・ファル》がトゥアハー・デ・ダナン族の秘宝とされることから、俺は異常な現象を来しているトゥアハー・デ・ダナン星系にこれを射出しようと考えた。
何か確信があったわけでは、もちろんない。
全くのジョークのようなつもりですらあった。
名前が通じたから。
ただそれだけである。
トゥアハー・デ・ダナン星系に生まれた金色に輝く虎の姿に、俺は半分ヤケのように突然庭に現われたアレをくれてやるのだ。
宇宙のことなどに俺を巻き込んだ反発でもある。
だが、不思議と自分のその行ないが間違っていないという予感もあった。
俺は宇宙の運命など担うつもりはさらさら無いが、舞い込んだものであれば役立つように考えないでもない。
使えるものならば使え、という程度のことだ。
別に無駄に終わっても構わない。
マザーシップから、《リア・ファル》が打ち出された。
望遠カメラの映像が俺たちの眼前に映り込み、トゥアハー・デ・ダナン星系の虎に向かって《リア・ファル》が宇宙空間を進んでいく。
「現在、光速の2倍のスピードで飛翔しております」
「そうか」
ミレー星系の方も常に監視網が備わっている。
グランマザーがようやく破壊されない観測装置を開発し、それによって日々の変化を観測出来るようになった。
もちろん光や電波のような電磁波の他にも重力や様々なエネルギーを観測している。
もしもこちらで変化があれば、向こうでも何かの変化があるかもしれない。
大スクリーンの中で《リア・ファル》がどんどんトゥアハー・デ・ダナン星系に進んでいる。
美しいクリスタルの輝きをゆっくりと回転させながら、宇宙空間を進んでいた。
「石神様、そういえば一つ報告がございました」
グランマザーが俺に言った。
「なんだ?」
「《虎星》のことでございます」
「ああ」
「あの星で、魔素が生じました」
「魔素?」
なんのことだ?
「石神様の神素が、あの大技によって変化し膨大に増加しましたものが魔素でございます」
「なんだよ、それ?」
「神素は石神様のような特別な方でなければ身に入れることは適いません」
「あ?」
「しかし、魔素に変化すると、全ての生命体の中に受け入れることが可能となります」
「ん?」
「ですので、あの惑星の生命体は、今後徐々に変化していくと思われます」
「どういうことだ?」
話がさっぱり分からん。
「つまりですね、今よりも強大な生命体が生まれると思われます」
「そうなのか」
「それに、知的生命体も出現することでしょう」
「ほう」
「それにですね」
「まだあんのかよ」
「恐らく、地球で言う所の魔法が誕生すると思われます」
「なんだと?」
「まだ確定はしておりませんが、魔素を操ることで炎の塊を生み出したり出来るようになるかと」
「そんなことがあんのかよ!」
地球で想像された魔法が使えるようになるのか!
「人間型の知的生命体が出て来るかはまだ分かりません。でも、ほ乳類の中から高度な知性を有する生命体が出て来ることは間違いないでしょう」
「おい、すげぇな。どのくらい先になるんだ?」
「これだけ生態系が出揃っておりますので、そう遠いことではないかと。恐らく数百年」
「そんなに早いのかよ!」
「はい。魔素というものは神素に似通っておりますので、生命体の変革は早いかと」
「おい、そういうことは早く教えてくれよ」
「申し訳ございません。あの魔方陣の研究の過程で、大気中に大量の魔素が生じたものですから。一定量の濃度になり、急速に生命体の改変が進むと確定いたしました」
「そうかぁー」
誰かと一緒に驚きたいのだが、聖は普通にしている。
全く興味がないのだ。
「そういうことで石神様」
「なんだ?」
「念のために管理の者を置きたく思います」
「管理?」
「はい。以前にも稀ではございましたが、魔素のある惑星は存在しました。そこでは魔素の偏りによって、惑星の知的生命体を大量破壊する者が生まれました」
「魔王みたいだな」
「まさしく! さすがは石神様でございます!」
「まーなー」
聖が嬉しそうな目で俺を見ていた。
俺が褒められると嬉しいという変わった奴だ。
「そこで管理者でございます。魔王の出現を察知し、それに対抗出来る配置を行なう者が必要なのです」
「なるほどな」
「石神様の星でございますので、石神様の御許可を得てからと」
「ああ、分かった。あまり目立たないような管理者にしてくれな」
「かしこまりました。一応、地球で言う所の妖精のような姿を考えております」
「ああ、いいんじゃないか?」
「体長40センチほどで、背中に4枚の羽根を付けます」
「ほうほう」
「言葉を喋るようにします。可愛らしい女の子の容姿ではいかがでしょうか?」
「お前に任せるよ」
「ありがとうございます!」
何か、どこかで記憶が……
「これもお願いなのですが」
「ああ」
「一応は管理者であるので、なまなかな攻撃では斃されないようにしたいのです」
「ああ、それは必要だろうな。魔法がある星ならば、それにも耐えられるようにしないとな」
「はい。あの、「花岡」も耐えて宜しいでしょうか?」
「ん? ああ、いいんじゃないか。まあ、俺たちが管理者と敵対することはないだろうけどよ」
「はい、ではそのようにさせていただきます」
「……」
何か引っかかるようなことがあるのだが、別段不都合はないと考えた。
「そのうちに俺にも会わせてくれ」
「もちろんでございます。実際に管理者として稼働する前に、ご紹介させていただきます」
「ああ、頼むな」
グランマザーと話している間に、《リア・ファル》がトゥアハー・デ・ダナン星系に到達したようだ。
「おい! 結界と防御システムを最大にしろ!」
俺は強烈なプレッシャーを感じていた。
聖も同時に反応している。
グランマザーは一瞬の遅滞なく、俺の言う通りに動いた。
その数秒後に、トゥアハー・デ・ダナン星系から、強烈な眩い光が来た。
大スクリーンが白光に覆われる。
「トラ!」
「大丈夫だ! しばらくすれば収まる!」
「分かった!」
1分ほどで、白光は消えた。
俺はマザーに合図し、結界のレベルを下げさせた。
「石神様、何が起きたのでしょうか!」
グランマザーの解析が追いついていない。
「あの、どうしてお二人はあの現象の前に感知されていたのでしょうか?」
もっともな質問だ。
「俺と聖は戦闘でプレッシャーを感じるんだ」
「はい、以前にそのようにお聞きしましたが」
「プレッシャーはよ、始まる前に感じるんだよ」
「!」
「そうじゃなきゃ対応出来ない。だからな」
「それは、予言と同様かと」
「まあ、広義に言えばそうなるな。俺たち自身でも意識はないが、様々な現象を自然に解析しているのかもしれん。俺たちはそこから導き出される危険の可能性を感じているのかもな」
「なるほどでございます」
グランマザーは納得したようだった。
しかし、その眼は深い憂鬱に染まっていた。
そして、トゥアハー・デ・ダナン星系に到達した《リア・ファル》は、途轍もない現象を生み出していた、
星系に現われた黄金の虎が口に細長いものを咥えていた。
「トラ、あれは刀に見えるぜ!」
「!」
確かに聖が言った通りだ。
それに、その姿は見覚えがある。
ミトラだ!
「グランマザー! 星系の周囲を周回出来るか!」
「はい、やってみます!」
「虎の映像は常に流してくれ」
「はい!」
黄金の虎を中心に、マザーシップが移動した。
水平に円を描きながら廻って行く。
「石神様! 刀剣のようなものの姿が変わりました!」
「ああ、角度によって見えるものが変わるんだ」
「そうなのですか!」
グランマザーも本気で驚いている。
これまで、そうした現象は経験が無いのだろう。
「ミレー星系で、拡大が縮小に転じました!」
「そうか」
俺はトゥアハー・デ・ダナン星系でのこの現象を見たので、相互に影響があると考えていた。
やはり、《リア・ファル》はトゥアハー・デ・ダナン星系に大きな革新を及ぼしたのだ。
今後のことは分からないが、俺たちは正しいことをした確信を持った。
「トラ、俺にはもう理解出来ないよ」
「そうだな」
聖が黄金の虎に見入っていた。
聖は諦めたかのような言葉を吐いたが、多分何かを考えている。
このことが俺に関わることだと信じているので、こいつは何かをやろうと思っているに違いない。
俺と聖は戦友だ。
俺もまだ覚束ないが、聖と一緒に戦って行くことは確かだ。
聖は絶対に俺を放り出さない。
だからいつの日か、必ず何かをやる。
それは今は全く見えないことだ。
しかし、きっとそうなる。
それが俺と聖だ。
「ああ、そうしてくれ」
聖と《虎星》で鍛錬を終えた後、俺たちはトゥアハー・デ・ダナン星系へ行った。
聖には一度宇宙規模の異変というものを見せておきたかった。
聖がどのように感ずるのかは分からないが、俺は聖には見せておこうと思った。
10分ほどで、俺たちはトゥアハー・デ・ダナン星系に到着する。
グランマザーから報告は受けているが、最初に観た時よりも、確実に拡大している。
そして、数か月前、正確には皇紀と双子が修学旅行で「ヘヴンズ・フォール」により巨大な水晶の塊を降らせてからだ。
明らかにトゥアハー・デ・ダナン星系のエネルギー体が形を取り始めた。
「虎」だ。
同時にミレー星系の方も何かの形を成してきた。
まだはっきりとはしないが、どうやら九頭龍だ。
9本の頭を持つ龍の姿であった。
どうして地球から遠く離れた場所で虎や龍の姿になるのかは分からない。
ただ、一つ言えることがある。
それは、俺たちはこのことを知っているが、「業」は知らないということだ。
だから、俺たちはこの宇宙的現象を観測し、また僅かながらにせよ、先に介入することが出来る。
それがどれほどのアドバンテージになるのかは分からないが。
「石神様。あの《リア・ファル》を投下してもよろしいでしょうか?」
「ああ、やってくれ」
真夜がうちの庭で掘り起こした《リア・ファル》と呼ばれる秘宝を俺はグランマザーに回収させた。
《リア・ファル》がトゥアハー・デ・ダナン族の秘宝とされることから、俺は異常な現象を来しているトゥアハー・デ・ダナン星系にこれを射出しようと考えた。
何か確信があったわけでは、もちろんない。
全くのジョークのようなつもりですらあった。
名前が通じたから。
ただそれだけである。
トゥアハー・デ・ダナン星系に生まれた金色に輝く虎の姿に、俺は半分ヤケのように突然庭に現われたアレをくれてやるのだ。
宇宙のことなどに俺を巻き込んだ反発でもある。
だが、不思議と自分のその行ないが間違っていないという予感もあった。
俺は宇宙の運命など担うつもりはさらさら無いが、舞い込んだものであれば役立つように考えないでもない。
使えるものならば使え、という程度のことだ。
別に無駄に終わっても構わない。
マザーシップから、《リア・ファル》が打ち出された。
望遠カメラの映像が俺たちの眼前に映り込み、トゥアハー・デ・ダナン星系の虎に向かって《リア・ファル》が宇宙空間を進んでいく。
「現在、光速の2倍のスピードで飛翔しております」
「そうか」
ミレー星系の方も常に監視網が備わっている。
グランマザーがようやく破壊されない観測装置を開発し、それによって日々の変化を観測出来るようになった。
もちろん光や電波のような電磁波の他にも重力や様々なエネルギーを観測している。
もしもこちらで変化があれば、向こうでも何かの変化があるかもしれない。
大スクリーンの中で《リア・ファル》がどんどんトゥアハー・デ・ダナン星系に進んでいる。
美しいクリスタルの輝きをゆっくりと回転させながら、宇宙空間を進んでいた。
「石神様、そういえば一つ報告がございました」
グランマザーが俺に言った。
「なんだ?」
「《虎星》のことでございます」
「ああ」
「あの星で、魔素が生じました」
「魔素?」
なんのことだ?
「石神様の神素が、あの大技によって変化し膨大に増加しましたものが魔素でございます」
「なんだよ、それ?」
「神素は石神様のような特別な方でなければ身に入れることは適いません」
「あ?」
「しかし、魔素に変化すると、全ての生命体の中に受け入れることが可能となります」
「ん?」
「ですので、あの惑星の生命体は、今後徐々に変化していくと思われます」
「どういうことだ?」
話がさっぱり分からん。
「つまりですね、今よりも強大な生命体が生まれると思われます」
「そうなのか」
「それに、知的生命体も出現することでしょう」
「ほう」
「それにですね」
「まだあんのかよ」
「恐らく、地球で言う所の魔法が誕生すると思われます」
「なんだと?」
「まだ確定はしておりませんが、魔素を操ることで炎の塊を生み出したり出来るようになるかと」
「そんなことがあんのかよ!」
地球で想像された魔法が使えるようになるのか!
「人間型の知的生命体が出て来るかはまだ分かりません。でも、ほ乳類の中から高度な知性を有する生命体が出て来ることは間違いないでしょう」
「おい、すげぇな。どのくらい先になるんだ?」
「これだけ生態系が出揃っておりますので、そう遠いことではないかと。恐らく数百年」
「そんなに早いのかよ!」
「はい。魔素というものは神素に似通っておりますので、生命体の変革は早いかと」
「おい、そういうことは早く教えてくれよ」
「申し訳ございません。あの魔方陣の研究の過程で、大気中に大量の魔素が生じたものですから。一定量の濃度になり、急速に生命体の改変が進むと確定いたしました」
「そうかぁー」
誰かと一緒に驚きたいのだが、聖は普通にしている。
全く興味がないのだ。
「そういうことで石神様」
「なんだ?」
「念のために管理の者を置きたく思います」
「管理?」
「はい。以前にも稀ではございましたが、魔素のある惑星は存在しました。そこでは魔素の偏りによって、惑星の知的生命体を大量破壊する者が生まれました」
「魔王みたいだな」
「まさしく! さすがは石神様でございます!」
「まーなー」
聖が嬉しそうな目で俺を見ていた。
俺が褒められると嬉しいという変わった奴だ。
「そこで管理者でございます。魔王の出現を察知し、それに対抗出来る配置を行なう者が必要なのです」
「なるほどな」
「石神様の星でございますので、石神様の御許可を得てからと」
「ああ、分かった。あまり目立たないような管理者にしてくれな」
「かしこまりました。一応、地球で言う所の妖精のような姿を考えております」
「ああ、いいんじゃないか?」
「体長40センチほどで、背中に4枚の羽根を付けます」
「ほうほう」
「言葉を喋るようにします。可愛らしい女の子の容姿ではいかがでしょうか?」
「お前に任せるよ」
「ありがとうございます!」
何か、どこかで記憶が……
「これもお願いなのですが」
「ああ」
「一応は管理者であるので、なまなかな攻撃では斃されないようにしたいのです」
「ああ、それは必要だろうな。魔法がある星ならば、それにも耐えられるようにしないとな」
「はい。あの、「花岡」も耐えて宜しいでしょうか?」
「ん? ああ、いいんじゃないか。まあ、俺たちが管理者と敵対することはないだろうけどよ」
「はい、ではそのようにさせていただきます」
「……」
何か引っかかるようなことがあるのだが、別段不都合はないと考えた。
「そのうちに俺にも会わせてくれ」
「もちろんでございます。実際に管理者として稼働する前に、ご紹介させていただきます」
「ああ、頼むな」
グランマザーと話している間に、《リア・ファル》がトゥアハー・デ・ダナン星系に到達したようだ。
「おい! 結界と防御システムを最大にしろ!」
俺は強烈なプレッシャーを感じていた。
聖も同時に反応している。
グランマザーは一瞬の遅滞なく、俺の言う通りに動いた。
その数秒後に、トゥアハー・デ・ダナン星系から、強烈な眩い光が来た。
大スクリーンが白光に覆われる。
「トラ!」
「大丈夫だ! しばらくすれば収まる!」
「分かった!」
1分ほどで、白光は消えた。
俺はマザーに合図し、結界のレベルを下げさせた。
「石神様、何が起きたのでしょうか!」
グランマザーの解析が追いついていない。
「あの、どうしてお二人はあの現象の前に感知されていたのでしょうか?」
もっともな質問だ。
「俺と聖は戦闘でプレッシャーを感じるんだ」
「はい、以前にそのようにお聞きしましたが」
「プレッシャーはよ、始まる前に感じるんだよ」
「!」
「そうじゃなきゃ対応出来ない。だからな」
「それは、予言と同様かと」
「まあ、広義に言えばそうなるな。俺たち自身でも意識はないが、様々な現象を自然に解析しているのかもしれん。俺たちはそこから導き出される危険の可能性を感じているのかもな」
「なるほどでございます」
グランマザーは納得したようだった。
しかし、その眼は深い憂鬱に染まっていた。
そして、トゥアハー・デ・ダナン星系に到達した《リア・ファル》は、途轍もない現象を生み出していた、
星系に現われた黄金の虎が口に細長いものを咥えていた。
「トラ、あれは刀に見えるぜ!」
「!」
確かに聖が言った通りだ。
それに、その姿は見覚えがある。
ミトラだ!
「グランマザー! 星系の周囲を周回出来るか!」
「はい、やってみます!」
「虎の映像は常に流してくれ」
「はい!」
黄金の虎を中心に、マザーシップが移動した。
水平に円を描きながら廻って行く。
「石神様! 刀剣のようなものの姿が変わりました!」
「ああ、角度によって見えるものが変わるんだ」
「そうなのですか!」
グランマザーも本気で驚いている。
これまで、そうした現象は経験が無いのだろう。
「ミレー星系で、拡大が縮小に転じました!」
「そうか」
俺はトゥアハー・デ・ダナン星系でのこの現象を見たので、相互に影響があると考えていた。
やはり、《リア・ファル》はトゥアハー・デ・ダナン星系に大きな革新を及ぼしたのだ。
今後のことは分からないが、俺たちは正しいことをした確信を持った。
「トラ、俺にはもう理解出来ないよ」
「そうだな」
聖が黄金の虎に見入っていた。
聖は諦めたかのような言葉を吐いたが、多分何かを考えている。
このことが俺に関わることだと信じているので、こいつは何かをやろうと思っているに違いない。
俺と聖は戦友だ。
俺もまだ覚束ないが、聖と一緒に戦って行くことは確かだ。
聖は絶対に俺を放り出さない。
だからいつの日か、必ず何かをやる。
それは今は全く見えないことだ。
しかし、きっとそうなる。
それが俺と聖だ。
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