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西安 潜入調査 Ⅴ
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「ハオユー、この辺りから気を付けてね」
「うん」
マッハ2で移動しながら、《ハイヴ》周辺を偵察した。
まだ何の反応も無い。
5キロ地点までは来ていて、更に近づく。
通常の《ハイヴ》では、2キロ地点には哨戒監視の妖魔やライカンスロープたちが徘徊している。
しかし、そこまで近づいても何の反応も無かった。
「ズハン、《シャンゴ》を撃ってみよう」
「うん、分かった」
この殲滅戦装備には、超高熱爆弾《シャンゴ》がある。
まず僕が発射し、10秒後にズハンが撃ち込むことにした。
《ハイヴ》は表面を岩場に偽装しているが、位置は分かっている。
上空10キロに上がり、急降下で爆撃した。
すぐにズハンが同じコースを取り待機する。
表層の偽装がたちまちに剥がれ、周囲3キロが高熱で溶解していく。
おかしい。
もっと深く抉れるはずだった。
むしろ、地下へ向かうはずの高熱が周囲に拡散された結果、広い範囲で溶解現象が起きている。
《シャンゴ》の攻撃は観測衛星や霊素観測レーダーによって常時解析されている。
ズハンが僕と同じコースを降下して来た。
「ズハン! 回避だ!」
僕の「予感」が何かの危険を感じた。
ズハンは躊躇なくコースを逸れた。
その脇を何らかのエネルギーが駆け上って行く。
ズハンはギリギリでその攻撃をかわすことが出来た。
≪RENZAN≫
霊素観測レーダーが情報を寄越した。
石神家の剣技「連山」が使われたようだ。
やはりここに《刃》がいた。
恐らく《シャンゴ》の攻撃も、何らかの剣技で相殺されたのだろう。
凄まじい石神家剣技だ。
僕たちはすぐに離脱した。
もう、これ以上留まる必要は無い。
《刃》の存在が確認出来たのだ。
アラスカから通信が来た。
「ハオユー、中国軍が来る」
「ああ、完全に僕たちに敵対するつもりだね」
「ルーとハーから連絡。こっちへ来るって」
「じゃあ、中国軍は二人に任せようか」
「あいつ、追って来てるよね?」
「うん」
やはり、《刃》は僕たちを追って来ていた。
今50キロ離れているが、結構なスピードで移動していることが分かった。
恐らく西安を攻撃に向かっている「虎」の軍を捕捉しているのだろう。
僕たちを逃がしても、攻撃部隊を駆逐するつもりだ。
ルーとハーがこちらへ向かっている中国軍の空軍と陸軍を壊滅させた連絡が来た。
流石に素早い二人だ。
≪オペレーション「F」≫
アラスカから通信が来た。
僕とズハンは急いで離れた。
最高速のマッハ120で飛ぶ。
上空から眩い光のラインが地上に届いた。
攻撃衛星フェートンからの一撃だ。
半径200キロを数億度の高温に変え、更にその周囲100キロに甚大な被害をもたらす。
およそどのような存在も耐え切れない。
《刃》に関しては分からないが。
《シャンゴ》以上の、必殺の攻撃だった。
巨大な《ヴォイド機関》を暴走に近い状態までにし、高エネルギーのビームを地上に落とす。
連射は出来ないが、一撃必殺の攻撃だ。
500キロ離れたここからでも、西安が壊滅したことが分かった。
熱せられて膨張した大気が、暴風となってここまで届く。
「《刃》生存を確認。《ハイヴ》へ帰還した」
「「!」」
アラスカから連絡が入った。
やはりとは思っているが、驚きも隠せない。
一体、どのようにフェートンの攻撃に耐えたのか。
その解析は、今後《ウラノス》がやっていくのだろうが。
《刃》を斃すには、あれ以上の攻撃が必要なのだ。
僕たちはルーとハーと合流し、そのままアラスカへ戻った。
≪オペレーション「F」≫の発動と共に、こちらへ向かっていた攻撃隊も帰還している。
どれほどの成果があったのかは分からないが、僕たちの西安潜入調査は終わった。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「ハオユーとズハンが《刃》の存在を確認しました」
「そうか。やっぱりあそこで俺たちを誘ってやがるんだな」
岩手県盛岡の石神家鍛錬場。
俺は通信端末で連絡を受け、映像データを送らせた。
虎白さんたちに、ハオユーたちが捉えたデータをヘッジホッグの中で見せた。
みんながまず、ズハンを襲った技を見る。
「「連山」だな」
「間違いねぇ」
「威力が大きいですね」
「なに、大したことはねぇよ」
剣聖たちがそれぞれ感想を言っている。
その中に虎蘭もいた。
虎蘭は全身傷だらけだ。
通常であれば安静にしなければならないレベルだった。
道着の全身に血が滲んでおり、美しい顔にまで幾つもの深い切り傷がある。
本人はまったく気にしていないが。
次いで、攻撃衛星フェートンからの攻撃も見せた。
大きな都市が一瞬で蒸発し、その中で《刃》だけが動いて《ハイヴ》へ戻って行く。
その動きに一切の遅滞は無い。
ダメージを負っていないことが分かる。
あの数億度の灼熱地獄をどのように凌いだと言うのか。
およそ生き延びる生物はいないはずだが。
「ケロケロ」
「はい、そうですね」
「私もそう思います」
「……」
なんて?
「さてと。じゃあ、続きをやっか」
『おう!』
もう観るべきものは観たということか、剣士たちが外へ出る。
今は剣聖たちが剣士100名を一斉に相手にする鍛錬をしている。
剣士の数は800名を超えているそうだ。
だから8人の剣聖たちが同時に鍛錬していた。
怒貪虎さんも来ていて、指導している。
虎白さんが俺の隣に来て言った。
「高虎、どう見る?」
「はい、少々足りないかと」
「そうだな」
《刃》を剣士100人分と仮定した鍛錬だ。
しかし、実際の実力はそれ以上で、恐らく剣聖100人分にもなるだろう。
剣聖だった虎葉さんが妖魔の能力を得て奮っている。
しかも、虎葉さんは剣聖の中でも上位の実力者だった。
「足りなくてもよ」
「はい」
「俺たちは必ずやるぜ」
「はい」
「ウォォォォォーーー!」
虎蘭の雄叫びが響いた。
全身から血を噴き出しながら、100人の剣士を相手に戦っている。
虎白さんが笑いながら見ていた。
「あいつは死ぬな」
「そうですか」
「お前の嫁にとも思ったんだけどよ」
「もったいないですよ」
「まあ、勘弁しろ。今回ばかりは石神家の血筋は絶えるかもな」
「そうはなりませんよ」
虎白さんが獰猛に笑っている。
石神家の剣技を敵に盗まれたのだ。
何としても《刃》を斃さなければならない。
特に虎蘭にとっては虎葉さんの敵討ちでもあり、魂の鎮魂でもある。
その気持ちは分かるが、がむしゃらにやって何とかなるものでもあるまい。
それでも、この人たちはやる。
俺は凄絶な鍛錬を見ながら、考えていた。
「うん」
マッハ2で移動しながら、《ハイヴ》周辺を偵察した。
まだ何の反応も無い。
5キロ地点までは来ていて、更に近づく。
通常の《ハイヴ》では、2キロ地点には哨戒監視の妖魔やライカンスロープたちが徘徊している。
しかし、そこまで近づいても何の反応も無かった。
「ズハン、《シャンゴ》を撃ってみよう」
「うん、分かった」
この殲滅戦装備には、超高熱爆弾《シャンゴ》がある。
まず僕が発射し、10秒後にズハンが撃ち込むことにした。
《ハイヴ》は表面を岩場に偽装しているが、位置は分かっている。
上空10キロに上がり、急降下で爆撃した。
すぐにズハンが同じコースを取り待機する。
表層の偽装がたちまちに剥がれ、周囲3キロが高熱で溶解していく。
おかしい。
もっと深く抉れるはずだった。
むしろ、地下へ向かうはずの高熱が周囲に拡散された結果、広い範囲で溶解現象が起きている。
《シャンゴ》の攻撃は観測衛星や霊素観測レーダーによって常時解析されている。
ズハンが僕と同じコースを降下して来た。
「ズハン! 回避だ!」
僕の「予感」が何かの危険を感じた。
ズハンは躊躇なくコースを逸れた。
その脇を何らかのエネルギーが駆け上って行く。
ズハンはギリギリでその攻撃をかわすことが出来た。
≪RENZAN≫
霊素観測レーダーが情報を寄越した。
石神家の剣技「連山」が使われたようだ。
やはりここに《刃》がいた。
恐らく《シャンゴ》の攻撃も、何らかの剣技で相殺されたのだろう。
凄まじい石神家剣技だ。
僕たちはすぐに離脱した。
もう、これ以上留まる必要は無い。
《刃》の存在が確認出来たのだ。
アラスカから通信が来た。
「ハオユー、中国軍が来る」
「ああ、完全に僕たちに敵対するつもりだね」
「ルーとハーから連絡。こっちへ来るって」
「じゃあ、中国軍は二人に任せようか」
「あいつ、追って来てるよね?」
「うん」
やはり、《刃》は僕たちを追って来ていた。
今50キロ離れているが、結構なスピードで移動していることが分かった。
恐らく西安を攻撃に向かっている「虎」の軍を捕捉しているのだろう。
僕たちを逃がしても、攻撃部隊を駆逐するつもりだ。
ルーとハーがこちらへ向かっている中国軍の空軍と陸軍を壊滅させた連絡が来た。
流石に素早い二人だ。
≪オペレーション「F」≫
アラスカから通信が来た。
僕とズハンは急いで離れた。
最高速のマッハ120で飛ぶ。
上空から眩い光のラインが地上に届いた。
攻撃衛星フェートンからの一撃だ。
半径200キロを数億度の高温に変え、更にその周囲100キロに甚大な被害をもたらす。
およそどのような存在も耐え切れない。
《刃》に関しては分からないが。
《シャンゴ》以上の、必殺の攻撃だった。
巨大な《ヴォイド機関》を暴走に近い状態までにし、高エネルギーのビームを地上に落とす。
連射は出来ないが、一撃必殺の攻撃だ。
500キロ離れたここからでも、西安が壊滅したことが分かった。
熱せられて膨張した大気が、暴風となってここまで届く。
「《刃》生存を確認。《ハイヴ》へ帰還した」
「「!」」
アラスカから連絡が入った。
やはりとは思っているが、驚きも隠せない。
一体、どのようにフェートンの攻撃に耐えたのか。
その解析は、今後《ウラノス》がやっていくのだろうが。
《刃》を斃すには、あれ以上の攻撃が必要なのだ。
僕たちはルーとハーと合流し、そのままアラスカへ戻った。
≪オペレーション「F」≫の発動と共に、こちらへ向かっていた攻撃隊も帰還している。
どれほどの成果があったのかは分からないが、僕たちの西安潜入調査は終わった。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「ハオユーとズハンが《刃》の存在を確認しました」
「そうか。やっぱりあそこで俺たちを誘ってやがるんだな」
岩手県盛岡の石神家鍛錬場。
俺は通信端末で連絡を受け、映像データを送らせた。
虎白さんたちに、ハオユーたちが捉えたデータをヘッジホッグの中で見せた。
みんながまず、ズハンを襲った技を見る。
「「連山」だな」
「間違いねぇ」
「威力が大きいですね」
「なに、大したことはねぇよ」
剣聖たちがそれぞれ感想を言っている。
その中に虎蘭もいた。
虎蘭は全身傷だらけだ。
通常であれば安静にしなければならないレベルだった。
道着の全身に血が滲んでおり、美しい顔にまで幾つもの深い切り傷がある。
本人はまったく気にしていないが。
次いで、攻撃衛星フェートンからの攻撃も見せた。
大きな都市が一瞬で蒸発し、その中で《刃》だけが動いて《ハイヴ》へ戻って行く。
その動きに一切の遅滞は無い。
ダメージを負っていないことが分かる。
あの数億度の灼熱地獄をどのように凌いだと言うのか。
およそ生き延びる生物はいないはずだが。
「ケロケロ」
「はい、そうですね」
「私もそう思います」
「……」
なんて?
「さてと。じゃあ、続きをやっか」
『おう!』
もう観るべきものは観たということか、剣士たちが外へ出る。
今は剣聖たちが剣士100名を一斉に相手にする鍛錬をしている。
剣士の数は800名を超えているそうだ。
だから8人の剣聖たちが同時に鍛錬していた。
怒貪虎さんも来ていて、指導している。
虎白さんが俺の隣に来て言った。
「高虎、どう見る?」
「はい、少々足りないかと」
「そうだな」
《刃》を剣士100人分と仮定した鍛錬だ。
しかし、実際の実力はそれ以上で、恐らく剣聖100人分にもなるだろう。
剣聖だった虎葉さんが妖魔の能力を得て奮っている。
しかも、虎葉さんは剣聖の中でも上位の実力者だった。
「足りなくてもよ」
「はい」
「俺たちは必ずやるぜ」
「はい」
「ウォォォォォーーー!」
虎蘭の雄叫びが響いた。
全身から血を噴き出しながら、100人の剣士を相手に戦っている。
虎白さんが笑いながら見ていた。
「あいつは死ぬな」
「そうですか」
「お前の嫁にとも思ったんだけどよ」
「もったいないですよ」
「まあ、勘弁しろ。今回ばかりは石神家の血筋は絶えるかもな」
「そうはなりませんよ」
虎白さんが獰猛に笑っている。
石神家の剣技を敵に盗まれたのだ。
何としても《刃》を斃さなければならない。
特に虎蘭にとっては虎葉さんの敵討ちでもあり、魂の鎮魂でもある。
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