富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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みんなで御堂家! Ⅳ

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 「オロチランド」には、今日も大ぜいの入場者で賑わっていた。
 ジャングルマスターの手腕もあり、開園以来、入園者数は上昇を続けている。
 「オロチホイール」「スーパードドンコ」を目玉に、ヴァーチャリリアリティ「トラファイター」も大人気アトラクションになっている。
 その他にも既存の遊戯施設にはない物も多い。
 ヴァーチャルリアリティも、レース物もあればシューティング物もある。
 シングルプレイも複数プレイもある。
 とにかくリアル感が途轍もないので、一度体験するとその面白さにはまってくれる。
 俺が子どもたちを探していると、双子が俺を見つけて駆け寄って来た。
 流石は霊能者と笑って手を振った。

 「タカさん! 先々週に怒貪虎さんが来たんだって!」
 「マジか!」
 「うん! 「スーパードドンコ」の先頭車両に跨ったって!」
 「マジ、やったか!」
 「係員が止めたら、多分虎白さんだろうけど刀を抜いたって!」
 「!」
 「でもすぐにタカさんの指示を思い出して係員が謝ったって!」
 「よかったなぁー」
 「「うん!」」

 俺が事前に、石神家の人間が来たら逆らわずに好きなようにさせろと指示していた。
 車両に跨る奴もいるが、事故は無いから大丈夫だとも。
 カエルみたいな奴が来るが、絶対に逆らうなと。
 俺が「カエルみたい」と言ったことは絶対に口にするなと。
 本当に来やがったかぁ。
 まあ、そう思ってはいたが。

 「虎白さんたちもやりたがって、12周したらしいよ」
 「……」

 なんなのか……
 でも、楽しんでいたようで良かった。
 今度、虎蘭に言って、そういう場合は俺にも連絡するようにさせよう。
 聞いてもしょうがねぇだろうが。
 この世界にあの人らを止められる奴はいねぇ。
 多分、「業」でも無理。

 双子と一緒に響子を探すと、柳と一緒に遊んでいた。
 比較的おとなしいアトラクションもあるし、体力を使わないヴァーチャルリアリティの施設もある。
 丁度、ヴァーチャルリアリティの施設「トラファイター」で遊んだところのようだった。
 響子が超戦士になって敵をガンガン斃したと興奮していた。

 「お前、腹筋も出来ないのにな」
 「出来るよ! 3回!」
 「おお!」

 御堂も澪さんと「スーパードドンコ」に乗って楽しんだようだ。
 御堂たちは地元なのだが、普段は東京で忙しくしているので、ここにはほとんど来ていない。
 澪さんが楽しそうにしているので、御堂も笑っていた。
 他の子どもたちも集まって来たので、みんなで《ミトラ祭壇》へ行った。
 ガイドがいて、詳しい説明をしてくれる。
 流石に専門であるだけに、俺たちが今まで気付かなかった見方を教えてくれ、様々な不思議なものを味わえた。
 ガイドは俺のことは知らないが、御堂のことはもちろん知っていて緊張していた。
 御堂を中心に丁寧に案内してくれた。
 みんなは一通り見て、下のカフェに入る。
 俺は少し残った。
 先ほどガイドの案内が終わった所なので他の観光客も下に降り、丁度俺以外には誰もいなかった。
 巨大で美しい《ミトラ》に話しかけた。

 「美虎、会いに来たぞ」

 美しい球体に触れ、優しく撫でた。

 「保奈美がお前を残してくれたんだな。今まで知らずにごめんな」

 あの保奈美との20年もの幸せな歳月を思い出し、愛おしく美虎に触れていた。

 「お前を愛している。お前はここを、俺たちを護ってくれるそうだけど、俺はお前がいてくれるだけで十分に幸せだ」

 俺がそう言った時、《ミトラ》が突然振動した。
 そして眩く輝きを増し、天空に向かって太い光の柱が伸びて行った。
 それが上空で光の輪になって拡がる。
 下にいたガイドが驚き、周囲の人々も見上げて叫んでいた。
 カフェに入った子どもたちも出て来る。
 御堂が澪さんを抱き締めているのが見えた。
 子どもたちが御堂たちと早乙女たちの前に立って、何かの場合に備えている。

 上空の光の環から、何かが降りて来た。
 前に観た天使のようだった。
 俺の前に来てひざまずく。

 「お前、美虎なのか?」
 「はい、お父様。あの時はきちんと名乗れずに申し訳ありません」

 すぐに、時空遡行があったので話せなかったのだろうと悟った。

 「いや、俺の方こそだ。自分の子に気付かずに済まなかった。保奈美と同じくお前を愛している」
 「私もお父様を。光の大天使様がお母様を甦らせ、私が生まれました」
 「お前は天使なんだな」
 「はい。天使の軍勢を率いられるように。お父様の敵からお父様の大切なものを護るために、天使の軍団を率いる存在として生まれました」
 「そうか」

 よくは分からない。
 でも、《光の大天使》という俺の最愛の存在が、愛する保奈美に天使を生ませてくれたのだ。
 自分がもう俺の傍におれず、俺を助けられないという保奈美の思いが、《美虎》を生ませた。
 俺は美虎を立ち上がらせて抱き締めた。

 「お前を愛している、美虎」
 「はい」
 「俺たちの間によくぞ生まれてくれた」
 「はい、無上の喜びです」
 「俺もだ。保奈美とは会えているのか?」
 「はい、常に光の大天使様と私と共にいらっしゃいます」
 「そうか」

 人間の親子とは違うことが、その言葉で分かった。
 霊的存在の在り方なのだろう。
 保奈美はもうこの世にはいない。
 でも、何らかの在り方で一緒にいてくれているのだ。
 奈津江と同じだ。

 「ここに来ればお前に会えるか?」
 「はい、いつでもお呼び下さい。わたくしもお父様にお会いしたい……」

 俺は一層抱き締めた。
 美虎も俺に手を回して抱き締めてくれた。
 俺が嗅いだことの無い、優しく香る芳香があった。
 感触も人間のそれとは異なる。

 「じゃあ、またな。また会いに来る」
 「はい」

 美虎がゆっくりと飛び去って消えた。
 下に降りると、みんなが俺を見ていた。
 亜紀ちゃんが興奮している。

 「タカさん! 何があったんですか!」
 「お前たちには見えなかったか」
 「見えません! 真っ白な光の球体があっただけで! タカさんが大丈夫かって!」

 亜紀ちゃんが泣き出した。
 心配だったのだろう。

 「大丈夫だ。あそこで俺がどうにかなるはずがない」
 「そう思ってましたけど! でも!」
 
 亜紀ちゃんを抱き締めた。
 柳や双子も俺に寄って来る。

 「心配するな。さて、帰るか」
 
 響子が俺を見ていた。
 俺が抱き上げると、耳元で囁いた。

 「美虎、嬉しそうだったね」
 「お前には見えたか」
 「うん。綺麗な天使」
 「ああ、俺と保奈美の子だからな」
 「そうだね!」

 自分の子を天使に例える人間は多い。
 保奈美はあの世界で、俺を守る子を求めていた。
 求めてくれていたのだ。
 俺との幸せな時を過ごしながら、俺の本当の運命も知っていた。
 だから美虎を求めた。
 その思いが天使を生んだ。
 途轍もなく強い、そしてこの上なく美しい天使を。
 あいつの思いが眩しい。
 
 保奈美、美虎、愛しているぞ。
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