富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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《エアリアル》訪問 Ⅳ

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 夕飯は「虎酔花」に《エアリアル》さんたちを招待した。
 「紅六花」の全員が集まり、店は貸切にしてある。
 《エアリアル》さんが「紅六花」が大好きなのだとおっしゃったからだ。
 総長はVIPルームを指示されたが、セキュリティのこともあり、後から貸切に変更になった。
 総長が吹雪、そして銀世まで連れて来られた。

 「「リッカランド」は楽しんでいただけましたか?」
 
 今回はデュールゲリエが通訳に付いているので、総長も日本語で会話した。

 「はい、存分に。やはり想像していた通りに素敵な場所でした。カリンやキッチさんたちが大変に親切で。ね、カリン?」

 《エアリアル》さんが私を呼んで微笑んでくれた。
 優しいお方で、私が大失敗したことを気遣って、総長の前で親しく話しかけて下さっているのだ。
 
 「いえ、自分などは!」

 総長も笑って私を見ていた。
 《エアリアル》さんの気遣いを分かって下さっている。

 「そうですか、それは良かった」
 「アトラクションも素晴らしかったのですが、それ以上にスタッフの方々が親切で優しかった。私が外国人とみると、何か困っていないかと何度も尋ねられました」
 「ああ、みんな楽しんでもらいたいと思っていますので。わずらわしくはありませんでしたか?」
 「そんなことは! 本当に良くして頂きました」
 「そうですか」

 総長は流石だった。
 「虎」の軍の中でも大変な重要人物であったのだが、臆することなく笑顔で会話している。
 《エアリアル》さんが明るく優しい人であるのはあったのだが、機嫌を損ねては絶対にいけないお方だ。
 そもそもが、あたしが最初に大変な失礼を働いていたのだ。
 それを取りなしてくれ、更に《エアリアル》さんを喜ばせ、今も楽しく話している。
 話題は《エアリアル》さんの方が多いが、総長はあの美しい笑顔で頷いている。

 「よう!」

 突然貸切の「虎酔花」に誰かが入って来た。
 いや、このお声は!
 全員が姿勢を正して起立し、石神さんをお迎えした。
 石神さんが笑顔で歩いて来られた。
 カッチョイイ白のスーツを着ていらっしゃる。

 「よう、エアリアル、突然に来やがってよ!」
 「タイガー! 会いたかったぁー!」
 「おう、まあいいや。元気そうだな?」
 「うん! お仕事も頑張ってるよ!」
 「あんたは頑張り過ぎだぁ! まあ、今日は楽しんでいるようで良かったぜ」
 「ああ、リッカがとても親切でね! カリンやキッチさんたちが「リッカランド」も「紅バギー」も案内してくれたの!」
 「そうか」

 石神さんは笑って総長の隣に座られた。
 すぐにミカさんが料理と酒を持って来た。

 「六花、エアリアルをどうもな」
 「と、トラぁー」

 突然総長が目を潤ませた。

 「おい、どうした?」
 「ふぅー」
 「おい、六花! しっかりしろ!」

 みんなが慌てて気絶しそうになった総長をソファに寝かせた。
 総長は泣き顔で石神さんに抱き着いた。

 「おい、なんだよ!」
 「だってぇー! 《エアリアル》さんなんて超大事な人じゃん!」
 「おう、まあそうだな」
 「だからぁ! 絶対に失礼なことが出来ないじゃん!」
 「お、おう」
 「滅茶苦茶緊張してたんだよぉー!」
 「ワハハハハハハハ!」

 みんなも笑った。
 そうだったんだ、総長はあたしらのために必死だったんだ。
 総長、お疲れ様です!

 落ち着いた総長が石神さんと席に戻り、楽しく《エアリアル》さんと話した。
 本当に石神さんは楽しいお人で、終始《エアリアル》さんが大笑いしていた。
 総長も石神さんがいらしたお陰で緊張も解け、本来の明るさで笑っていた。

 「リッカ、あなたとシオンさんとのお話は知っています。本当に、最高に美しいお話! だからここに来たかった! でも、まさかリッカにまで会えるなんて!」
 「そうなんですか!」
 「六花は出産のためにここに帰って来てたんだよ。アラスカでも機密事項でな。だから関係者以外は知らされていないんだ」
 「そうなんだ。でもラッキーだった」
 「吹雪を公園で見たんだってな?」
 「うん、リッカ、ごめんなさい。あまりにもカワイイ子だったんで、つい近づいてしまったの」
 「い、いいえ! パティは悪くないよ! うちの連中が知らなかったから!」
 「アハハハハ、そりゃそうだよ。私こそ最高機密だもんね」

 石神さんが驚いていた。

 「おい、お前、本名を教えたのかよ!」
 「うん、リッカはいい人。一目で分かった。「クリムゾン・リッカ」の人たちも大丈夫!」
 「驚いたなぁ」
 
 石神さんが、《エアリアル》さんがとんでもない偏屈な人なのだと話した。
 《エアリアル》さんが笑っていた。

 「本名を知ってるのは。世界中に何人もいねぇぞ」
 「そうなの!」
 「私の仕事柄ですよ。いろんな人間に狙われて来たの。タイガーに「虎」の軍に誘われた時は嬉しかった。これでビクビク生きないでも良くなったものね」
 「そうかよ」
 「本当よ! だからこうやってまた日本で観光も出来たし! こんなこと何十年振りよ!」
 「ああ、そうだったな」

 石神さんがお話ししてくれた。

 「エアリアルはある超兵器を開発してな。それ以来常にいろんな国や組織から狙われていたんだ」
 「そうなんですか」
 「ロックハート家でアルが一時匿っていてな。その縁で再会したんだ」
 「え、再会ってどういう……」
 「ああ、ジャングルマスターの奥さんでな! 俺が小学校の時に会ってたの」
 『ゲェェェェェーーー!』

 全員で驚いた。
 こんなお綺麗な方がジャングルマスターさんの奥さんということと、石神さんが小学生って!
 石神さんが、小学生の遠足の時にジャングルマスターさんや《エアリアル》さんたちに鎌倉で会っていたということを話して下さった。
 ジャングルマスターさん、《エアリアル》さん、パピヨンさん、スナークさんは今や「虎」の軍の中枢にいる方々だ。
 情報操作、兵器開発、都市建設、資産運用の超ベテランだ。
 この人たちが「虎」の軍の根幹を支えていると言ってもいい。
 資産に関してはルーさんとハーさん、それに響子さんも凄まじいのだが。

 「ぱ、パティ、やっぱあたし、名前で呼ぶのは!」
 「ダメよ、リッカ! あなたとは友達になりたいの。だから、ね?」
 「でもぉー!」

 総長は石神さんが来てから、普段通りになっていた。
 まあ、倒れられるよりはいい。
 あたしらのために、恐ろしい緊張に耐えていらっしゃったのだろう。

 「六花、いいじゃねぇか。エアリアルに気に入られるなんて滅多にないんだぞ?」
 「トラぁー!」
 
 石神さんは笑って総長を抱き寄せた。
 総長がお好きな唐揚げを口元へ持って行き、総長がニコニコして食べていた。
 流石だ。
 《エアリアル》さんが笑って見ていた。
 石神さんは総長と吹雪、それに《エアリアル》さんを連れて、銀世を見に行った。
 銀世は起きていて、石神さんが抱き上げると嬉しそうに身体を動かした。
 
 「カワイイ……」
 「そうだろう? 吹雪も銀世も、六花の血を引いてとにかくカワイイんだ」
 「トラの血だよ!」
 「お前だよ!」
 「トラだよ!」

 二人で言い合いながら笑っていた。
 《エアリアル》さんも大笑いしていた。
 石神さんがおむつを調べて、自ら替えていた。
 それを見て、《エアリアル》さんが微笑んでいた。

 「銀ちゃん、カワイイでしょ?」
 
 吹雪が《エアリアル》さんに言った。

 「そうね! ほんとにキレイな赤ちゃんだね。フブキ、あなたもね!」

 総長が通訳して吹雪に伝えた。

 「ありがとうございます!」

 吹雪が嬉しそうに笑い、《エアリアル》さんの手を握ってテーブルに戻った。
 深夜までみんなで楽しく話し、解散した。

 《エアリアル》さんは「紅リゾート」へよしこさんがお送りした。
 石神さんは泊まって行かれた。
 翌朝、朝食を食べた後で、石神さんも帰られ、《エアリアル》さんたちも「タイガーファング」で飛んで行かれた。
 蓮花さんの研究所だ。
 もちろん、そちらは事前に予定を話されていた。
 うちらにも教えてほしかったなぁー。

 まあ、でも!
 万事上手く片付いたかぁ!





 一応、みなさんが帰られた後で、よしこさんとタケさんにしっかり説教された。
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