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竹流と馬込、石神家へ Ⅵ
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「ケロケロ」
虎白さんが吹っ飛んで気絶していた竹流に駆け寄り、抱き起した。
俺も竹流の状態を確認したが、意識は無い。
「おめぇ、凄かったぜ」
虎白さんが俺に状態を確認させてから、竹流を抱きかかえた。
竹流の全身は酷い状態だったが、右上腕の骨折の他はそれほど深い傷は無かった。
血飛沫は、恐らく血流が高圧になっていたために生じていただろうことが分かった。
小さな傷口から噴出していたのだ。
それほどの圧力は脳や内臓を破壊するが、相当特殊な状態だったのだろう。
俺が「石神ヘッジホッグ」の中に運んで処置した。
剣士たちの中にも負傷した者がいるので、そっちも処置した。
そいつらは虎白さんたちに「だらしない」と説教されていた。
昼休憩になり、虎白さんと怒貪虎さん、真白も一緒に食事した。
俺たちは豚の角煮とキノコの味噌汁で、怒貪虎さんはカールとファンタだ。
怒貪虎さんは目を細めて嬉しそうに飲み食いしている。
真白が俺の隣に座ろうとして、虎蘭が俺にぴったりくっついて守ってくれた。
反対側の聖を俺は抱き寄せた。
「ちぃ!」
真白は舌打ちして反対側に座った。
また胡坐をかいて俺に下着の無い奥を見せながら食べる。
わざわざ裾をまくってよく見えるようにする。
なんなんだ、こいつは。
虎白さんに聞いた。
「「鬼斬り」っていうのは、極限まで能力を引き上げるものだったんですか?」
「まあ、それもあるけどな。むしろ「鬼」にするっていうかよ、要は化け物にすんだよ」
「化け物ですか」
「ああ。そいつの可能性っていうかな、幾段も上の未来を見せてよ、そいつ自身に無理矢理悟らせるっていうな」
「なるほど」
その人間が持っている潜在能力のようなもの、ほぼ確実に到達出来る未来を見せることで、一挙に体得させる技術のようだ。
「虎白さんもやったことが?」
「いや、ねぇよ。あれは一握りの天才だけしかやれねぇ。そいつ自身に既にある程度見えている高い未来がある奴だけだ。しかも、その未来を確定することで、更に先の未来も与える」
「凄いですね」
だから滅多にやらないのか。
普通は積み上げて行くしかねぇ。
俺などは典型的な、そういうタイプだ。
「ケロケロ」
なんて?
怒貪虎さんが真白に話しかけた。
「はい、竹流は大した者でございました。また怒貪虎様に凄まじいものを見せて頂きました」
「ケロケロ」
「え、馬込ですか?」
「ケロケロ」
「ああ、そういうことだったのですか、高虎が。はい、分かりました」
虎白さんが驚き、真白が返事した。
なんだ?
虎白さんにも指示する。
「ケロケロ」
「はい、そういうことですか。分かりました。おい、高虎」
「なんですか?」
「お前、馬込にお前の血をやったそうだな」
「!」
「お前の血は特別だそうだ。怒貪虎さんが調整してくれるってよ!」
「エェーー!」
怒貪虎さんには全てがお見通しのようだ。
昼食の後、怒貪虎さんと真白が話していた。
「ケロケロ」
「はい、分かっております」
「ケロケロ」
「そうですね、本当に高虎も厄介なことを」
「ケロケロ」
「え、そっちの方向ですか。はい、出来るだけやってみます」
「ケロケロ」
「いいえ、とんでもございません。怒貪虎様の仰る通りに」
なんて?
馬込が下着だけにされ、全身に鍼を打たれた。
身体が何度も硬直し、反り返る。
相当な激痛のためか、声も出せないようだ。
汗まみれになっていくが、真白も膨大な汗を垂らしていた。
集中しているのが分かる。
他の剣士たちは既に鍛錬を始めており、俺と虎白さんだけが見ていた。
竹流はまだ眠っている。
「終わったよ」
全身を濡らし、真白が地面に座り込んだ。
馬込が呻きながら立ち上がる。
「おし、行くぞ」
虎白さんが声を掛け、裸の馬込を怒貪虎さんの所へ連れて行った。
馬込は「虎地獄」の時ほどではないが、全身にまた激痛があるようだ。
一歩ごとに全身が震え、顔は激痛に耐えて紅潮し歪んでいる。
怒貪虎さんが馬込の前に立ち、舞のような動きをした。
「!」
怒貪虎さんの手が馬込の方へ動き、時折身体に触れる。
あれは千石の技ではないのか!
千石は自分の習得した技を、相手に伝えることが出来る。
しかしそれは千石固有の能力であり、まさか怒貪虎さんが出来るとは思えないのだが。
でも実際に怒貪虎さんが同じような動きをしている。
千石のものとは若干違うのだが、俺には同様のものだと感じられた。
もしかしたら、千石の能力を遙かに上回る……
最後に怒貪虎さんの五指が馬込の頭部を何度か突いて終わった。
馬込は呆然と突っ立っている。
「終わったな」
「虎白さん、今のは何だったんですか!」
「あ、知らねぇ? 俺も初めて見たぞ」
「そうなんですか!」
俺は虎白さんに千石の能力のことをまた話した。
「あいつなんかのレベルじゃねぇよ。多分、今朝の「鬼斬り」に似た体系のものだ。まあ、今度のはそいつの中にある未来じゃなくて、何か別な能力を授けるみたいなものだと思うけどな」
「そういうもんですか」
流石に虎白さんには見ただけで何が起こったのかが感じられているようだった。
「さっき真白に怒貪虎さんが話していたのを聞いたか?」
「え、えーと……」
「お前しっかりしろ! 怒貪虎さんは真白に、馬込の脳を改造しろって言ってただろう!」
「は、はい、そうですね!」
知らんがなー。
「意味は俺には分からんけどな。多分、馬込は頭が良くなった、うーん、そういうんじゃねぇか。まあとにかく思考が変わったはずだ。お前は馬込に特殊な部隊を任せるつもりなんだろう?」
「ええ、絶体絶命の状況でも何とかする部隊にしたいんですけどね」
《ハイドラ》のことは虎白さんにも話している。
「だからだろうな。戦闘力は俺らに任せてもらえば何とかすらぁ。でも、指揮官としての能力はどうにもならねぇ。だから怒貪虎さんが何とかしてくれたんだろう」
「そうなんですか!」
まったく予想外のことだが、怒貪虎さんの底知れない洞察力を理解した。
俺とは次元の違う、世界の運命に対する戦いを遙かな昔からして来た人なのだ。
カエルだが。
口には出せないが。
俺は馬込の指揮官としての教育は別途考えていた。
ルーとハー、そして一江や大森に施して来た戦術の教育に加え、超量子コンピューターによる特殊な教育も用意している。
それらももちろん行なうつもりだが、多分相当な底上げが怒貪虎さんによってもたらされたのだろう。
この後、竹流は凄まじい戦神として多くの戦場で常勝無敗の英雄となった。
そして馬込は《ハイドラ》を率いて、どんな戦況でも奇策でもって敵を撃破し、全ての「虎」の軍の作戦行動を成功させるようになった。
もうしばらく後の話だ。
虎白さんが吹っ飛んで気絶していた竹流に駆け寄り、抱き起した。
俺も竹流の状態を確認したが、意識は無い。
「おめぇ、凄かったぜ」
虎白さんが俺に状態を確認させてから、竹流を抱きかかえた。
竹流の全身は酷い状態だったが、右上腕の骨折の他はそれほど深い傷は無かった。
血飛沫は、恐らく血流が高圧になっていたために生じていただろうことが分かった。
小さな傷口から噴出していたのだ。
それほどの圧力は脳や内臓を破壊するが、相当特殊な状態だったのだろう。
俺が「石神ヘッジホッグ」の中に運んで処置した。
剣士たちの中にも負傷した者がいるので、そっちも処置した。
そいつらは虎白さんたちに「だらしない」と説教されていた。
昼休憩になり、虎白さんと怒貪虎さん、真白も一緒に食事した。
俺たちは豚の角煮とキノコの味噌汁で、怒貪虎さんはカールとファンタだ。
怒貪虎さんは目を細めて嬉しそうに飲み食いしている。
真白が俺の隣に座ろうとして、虎蘭が俺にぴったりくっついて守ってくれた。
反対側の聖を俺は抱き寄せた。
「ちぃ!」
真白は舌打ちして反対側に座った。
また胡坐をかいて俺に下着の無い奥を見せながら食べる。
わざわざ裾をまくってよく見えるようにする。
なんなんだ、こいつは。
虎白さんに聞いた。
「「鬼斬り」っていうのは、極限まで能力を引き上げるものだったんですか?」
「まあ、それもあるけどな。むしろ「鬼」にするっていうかよ、要は化け物にすんだよ」
「化け物ですか」
「ああ。そいつの可能性っていうかな、幾段も上の未来を見せてよ、そいつ自身に無理矢理悟らせるっていうな」
「なるほど」
その人間が持っている潜在能力のようなもの、ほぼ確実に到達出来る未来を見せることで、一挙に体得させる技術のようだ。
「虎白さんもやったことが?」
「いや、ねぇよ。あれは一握りの天才だけしかやれねぇ。そいつ自身に既にある程度見えている高い未来がある奴だけだ。しかも、その未来を確定することで、更に先の未来も与える」
「凄いですね」
だから滅多にやらないのか。
普通は積み上げて行くしかねぇ。
俺などは典型的な、そういうタイプだ。
「ケロケロ」
なんて?
怒貪虎さんが真白に話しかけた。
「はい、竹流は大した者でございました。また怒貪虎様に凄まじいものを見せて頂きました」
「ケロケロ」
「え、馬込ですか?」
「ケロケロ」
「ああ、そういうことだったのですか、高虎が。はい、分かりました」
虎白さんが驚き、真白が返事した。
なんだ?
虎白さんにも指示する。
「ケロケロ」
「はい、そういうことですか。分かりました。おい、高虎」
「なんですか?」
「お前、馬込にお前の血をやったそうだな」
「!」
「お前の血は特別だそうだ。怒貪虎さんが調整してくれるってよ!」
「エェーー!」
怒貪虎さんには全てがお見通しのようだ。
昼食の後、怒貪虎さんと真白が話していた。
「ケロケロ」
「はい、分かっております」
「ケロケロ」
「そうですね、本当に高虎も厄介なことを」
「ケロケロ」
「え、そっちの方向ですか。はい、出来るだけやってみます」
「ケロケロ」
「いいえ、とんでもございません。怒貪虎様の仰る通りに」
なんて?
馬込が下着だけにされ、全身に鍼を打たれた。
身体が何度も硬直し、反り返る。
相当な激痛のためか、声も出せないようだ。
汗まみれになっていくが、真白も膨大な汗を垂らしていた。
集中しているのが分かる。
他の剣士たちは既に鍛錬を始めており、俺と虎白さんだけが見ていた。
竹流はまだ眠っている。
「終わったよ」
全身を濡らし、真白が地面に座り込んだ。
馬込が呻きながら立ち上がる。
「おし、行くぞ」
虎白さんが声を掛け、裸の馬込を怒貪虎さんの所へ連れて行った。
馬込は「虎地獄」の時ほどではないが、全身にまた激痛があるようだ。
一歩ごとに全身が震え、顔は激痛に耐えて紅潮し歪んでいる。
怒貪虎さんが馬込の前に立ち、舞のような動きをした。
「!」
怒貪虎さんの手が馬込の方へ動き、時折身体に触れる。
あれは千石の技ではないのか!
千石は自分の習得した技を、相手に伝えることが出来る。
しかしそれは千石固有の能力であり、まさか怒貪虎さんが出来るとは思えないのだが。
でも実際に怒貪虎さんが同じような動きをしている。
千石のものとは若干違うのだが、俺には同様のものだと感じられた。
もしかしたら、千石の能力を遙かに上回る……
最後に怒貪虎さんの五指が馬込の頭部を何度か突いて終わった。
馬込は呆然と突っ立っている。
「終わったな」
「虎白さん、今のは何だったんですか!」
「あ、知らねぇ? 俺も初めて見たぞ」
「そうなんですか!」
俺は虎白さんに千石の能力のことをまた話した。
「あいつなんかのレベルじゃねぇよ。多分、今朝の「鬼斬り」に似た体系のものだ。まあ、今度のはそいつの中にある未来じゃなくて、何か別な能力を授けるみたいなものだと思うけどな」
「そういうもんですか」
流石に虎白さんには見ただけで何が起こったのかが感じられているようだった。
「さっき真白に怒貪虎さんが話していたのを聞いたか?」
「え、えーと……」
「お前しっかりしろ! 怒貪虎さんは真白に、馬込の脳を改造しろって言ってただろう!」
「は、はい、そうですね!」
知らんがなー。
「意味は俺には分からんけどな。多分、馬込は頭が良くなった、うーん、そういうんじゃねぇか。まあとにかく思考が変わったはずだ。お前は馬込に特殊な部隊を任せるつもりなんだろう?」
「ええ、絶体絶命の状況でも何とかする部隊にしたいんですけどね」
《ハイドラ》のことは虎白さんにも話している。
「だからだろうな。戦闘力は俺らに任せてもらえば何とかすらぁ。でも、指揮官としての能力はどうにもならねぇ。だから怒貪虎さんが何とかしてくれたんだろう」
「そうなんですか!」
まったく予想外のことだが、怒貪虎さんの底知れない洞察力を理解した。
俺とは次元の違う、世界の運命に対する戦いを遙かな昔からして来た人なのだ。
カエルだが。
口には出せないが。
俺は馬込の指揮官としての教育は別途考えていた。
ルーとハー、そして一江や大森に施して来た戦術の教育に加え、超量子コンピューターによる特殊な教育も用意している。
それらももちろん行なうつもりだが、多分相当な底上げが怒貪虎さんによってもたらされたのだろう。
この後、竹流は凄まじい戦神として多くの戦場で常勝無敗の英雄となった。
そして馬込は《ハイドラ》を率いて、どんな戦況でも奇策でもって敵を撃破し、全ての「虎」の軍の作戦行動を成功させるようになった。
もうしばらく後の話だ。
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