富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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ヒーちゃんのクリスマス

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 12月。
 今月はタカさんが忙しく、家にいないことも多かった。
 特にレジーナ様とモスクワをぶっ潰しに行き、その後で捕虜のことや救出した方々のことで全然家にいなかった。
 その後では《轟霊号》の進水式。
 《轟霊号》のことは私たちも知らなかったので驚いた。
 超巨大移動要塞ということで、私たちも映像を見せてもらった。
 タカさんは本当にいろんなことを考えてるなー。

 ヒマだったので、またヒーちゃんの所へ遊びに行った。
 月に一度は行っている。
 今回は柳さんと、真夜と真昼も誘った。
 ルーとハーは念のためにお留守番。
 まあ、二人も忙しいから仕方ない。

 「Ωコンバットスーツ」を着てアラスカへ。
 びゅーん。




 
 ヒーちゃんの山に下りた。
 歩きながら真夜が言った。

 「前に一度連れて来てもらいましたけど、随分大きなヒグマですよね?」
 「うん、またおっきくなったよ」
 「そうなんですか」

 真夜は昨年一緒に来たが、柳さんと真昼は初めてだ。

 「ちょっと早いけど、クリスマスの雰囲気にしようと思うの」
 「それでこんなの持って来たんですね?」
 「亜紀ちゃん、私たちがいても大丈夫かな?」
 
 柳さんは心配そうだ。

 「大丈夫ですよ。私が連れて来るのはみんな友達だって分かってますから」
 「そ、そうなんだ」

 多分ね。

 ヒーちゃんの洞窟の前で、ヒーちゃんを呼んだ。

 「ヒーちゃん! 来たよー!」
 「ガウガウ!」

 ヒーちゃんがいつも通り嬉しそうに走って出て来た。
 私も走って行って抱き締めてあげる。

 「ヒーちゃん!」
 「ガウガウ!」
 「「「でっか……」」」

 ヒーちゃんは今は5メートルになってる。
 世界最大級かなー。
 私に駆け寄り、嬉しそうに抱き締めてくれる。
 ヒーちゃんのお腹のお日様の匂いが嬉しい。

 「亜紀ちゃん、ちょっとおっきくない?」
 「そうですかね?」
 
 ヒーちゃんが四つん這いになり、私が頭をポンポンすると、嬉しそうに目を細めた。

 「ヒーちゃん、今日は柳さんと真夜と真昼、連れて来たよ!」
 「ガウガウ!」

 ヒーちゃんが三人を見て、ちょっと頭を下げた。

 「「「挨拶したぁ!」」」
 「ガウガウ」

 三人を手招きし、ヒーちゃんを撫でさせた。
 ヒーちゃんは大人しく、気持ちよさそうに撫でられている。

 「大丈夫ですね」
 「そりゃね」
 「なんかカワイイね」
 「目を閉じてるよ!」
 「フサフサですね」

 みんなヒーちゃんの可愛さが分かってくれて嬉しい。
 一通りみんなで撫でると、ヒーちゃんは私から離れなくなった。
 おぶってあげると、一番喜ぶ。
 最初の「アラスカ・ハンティングマラソン」での出会いを思い出すからだろう。
 私はヒーちゃんを背負いながら、山の中を駆け巡る。

 「ガオガオ!」

 背中でヒーちゃんが喜ぶ。

 「なんかスゴイ絵面だね」
 
 みんなが笑っていた。
 私がヒーちゃんと遊んでいる間に、みんなが食事の準備をしてくれた。
 ヒーちゃんのお土産を真夜と真昼がセッティングしてくれる。
 パネルは洞窟の壁に、地面に配線してツリーに。
 今日はクリスマスも近いので、鳥肉を結構持って来ている。
 もちろん、牛肉もだ。
 ヒーちゃんは赤身が好きだ。
 他に海鮮もあるぞー!

 バーベキュー台で柳さんがどんどん焼き、真夜と真昼はどんどんカットしていく。
 みんなでどんどん食べた。

 「はい、ヒーちゃんの!」
 「亜紀さんが他人にお肉をあげてる!」
 「お姉ちゃん、気を付けて! すぐに反動が来るよ!」
 「なによ!」

 真夜と真昼が脅えていたが、ヒーちゃんに食べさせるために持って来たんじゃん!
 ヒーちゃんが美味しそうに焼いた様々なものを食べて行く。
 ヒーちゃんはちょっと焼いた方が好きになって来た。
 ヒーちゃんは鶏は食べ慣れないせいか、それほど食べなかった。
 私があげると嬉しそうに食べるんだけど、牛肉とかに顔を向ける。
 その時、急速に接近する大きな波動を感じた。
 
 「あ!」
 「この波動はワキンだよ!」

 私がすぐに悟り、上空から大きな極彩色のワキンが降りて来た。

 《みなさんがいらっしゃっているので、ちょっと顔を出しました》

 「いらっしゃーい!」
 「「「……」」」

 柳さんと真夜、真昼はビビってる。

 「ワキンも食べてきなよ」
 《よろしいのですか?》
 「一杯あるからね!」
 《では」》

 私が余っていた丸ごと焼いた鶏をワキンの前に置いた。

 《……》

 ワキンは目を閉じて丸のみした。
 真昼が牛肉をあげると、喜んで食べた。
 ワキンも鳥だからなー。

 《美味しいですね、これまで食べたことがありません》
 「松坂牛ですよ」
 《これはいい。脂身が甘いですね》
 「よかった!」

 真昼が貝や海鮮もワキンにあげて、ワキンが物凄く喜んだ。
 ヒーちゃんはワキンを見詰めている。

 《この者はなかなか良い山の主になってきました。そのうちに、もっと広い場所を守護するようになるでしょう》
 「そうなんだ! スゴイね、ヒーちゃん!」
 「ガウガウ!」

 ワキンは食事の礼を言い、また飛び去って行った。
 暗くなって来て、ヒーちゃんを洞窟の脇に連れて行った。
 さっき真夜たちが植えたモミの木がある。

 「ヒーちゃん、これお土産ね。クリスマスツリーって言うんだよ?」

 私がスイッチを入れた。
 地面に植えたモミの木に飾った電飾が輝き出す。
 ヒーちゃんが私に抱き着いて喜んだ。
 私の顔を舐めて、それから電飾をジッと見詰める。
 本当は「ヴォイド機関」にしたかったんだけど、流石に機密のものをここに置くわけには行かない。
 だから太陽光パネルで充電するようにした。
 洞窟脇の壁の高い所にパネルをセットして、地面を潜った電線で植えたモミの木の根元からLEDに繋がってる。
 ヒーちゃんがパネルや電線を壊さないようにだ。
 キラキラ光っている電飾に、ヒーちゃんがうっとりとした顔で見ていた。
 喜んでもらえて良かった。

 後片付けをして、帰ることにした。

 「じゃあ、ヒーちゃん、そろそろ帰るね」
 「ガウガウ!」
 「ね、また来るからね」
 「ガウガウ!」

 ヒーちゃんが悲しそうな顔をする。
 いつも帰る時はそうだ。
 雰囲気で分かるのか、私に抱き着いて放してくれない。

 「ほら、ヒーちゃん、め!」

 私が優しく腕を放し、ヒーちゃんが悲しそうな顔をする。
 私も悲しい。
 強く抱き締めて、ヒーちゃんの額にキスをしてあげた。

 「じゃあね、また来るからね!」
 「ガウガウガウ!」





 私たちは空中へ上がり、ヒーちゃんがいつまでも見詰めていた。
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