富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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「アドヴェロス」合同演習 Ⅱ

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 マザーシップの広間(?)で桜大隊と「アドヴェロス」が挨拶する。

 「早乙女さん、今日は宜しくお願いします」
 「こちらこそ! お手数をお掛けしますが、本当に宜しくお願いします!」

 早乙女が各メンバーを紹介していく。
 
 「君が磯良君だね。噂は聞いているよ」
 「いいえ、俺なんて。桜さん、宜しくお願いします」
 「俺たちも石神家本家には行っているんだ。君とはすれ違いになってしまったけどね」
 「そうなんですか!」
 「虎白さんから君のことはいろいろと聞いている。今日は一緒に演習が出来て嬉しいよ」
 「俺の方こそ!」

 ルーとハーも桜大隊の面々とは親しい。
 雪野さんと成瀬には強化外骨格「朧」を着てもらった。
 ロボが珍しい雪野さんの姿に興奮して、何度も頭突きをしている。
 自分の匂いを移しているのだ。
 
 20分も話していると、「虎星」へ到着した。
 あ、説明してなかったや。
 全員を集めた。

 「これから降りるのは「虎星」という惑星だ。大気の組成は地球と同じだから心配いらないぞ」
 「石神、その「虎星」ってなんなんだ?」
 「ああ、説明すると長くなるんでな。俺が「大銀河連合」から譲り受けた惑星なんだ。「テラフォーミング」をしているから、俺たちが行っても問題ない。ああ、凶暴な生物も多いから注意してな。俺の指定した範囲以外にはあまり行かないように」
 「惑星! それに生物までいるのか!」
 「そうだよ。テラフォーミング」だって言ったろ? 生き物がいなきゃ生きて行けねぇだろう」
 「あ、ああ……」

 もう通じていると思ったが、早乙女は宇宙に出ているとも思ってなかったようだ。
 まあ、そうなるかぁー。
 もちろん「テラフォーミング」の意味も分かってないだろう。
 こいつは『テラフォーマーズ』も読んでねぇだろうからなぁ。

 「じょ、じょーじ」
 「?」

 どうでもいいが。
 でかい降下艇に乗り込んで、地表に降りた。
 敢えて「虎星」を周回し、様々な景色を見せる。
 「アドヴェロス」のハンターたちも、ソルジャーたちも目を見開いて驚いていた。
 時々グランマザーが望遠で地表の詳細を見せる。
 幾つか集落があった。
 人間と同じ姿の者がおり、また獣の特徴のある人間もいた。
 あの耳の長い連中はなんだ?
 俺はどこかで見た記憶があるが、自分でも理由が分からない。
 俺はあんな連中は知らない。
 集落では、農作物をこさえているような場面もあった。
 小さな集落で数十人単位だが、明らかに文明が芽生えている。
 非常に粗末まものだが住居らしきものまであった。
 以前に見た時とは大違いだ。

 「おい、知的生命体が育ってんのかよ!」
 「はい、以前に申し上げた通りに。石神様の「神素」が「魔素」に変換され、生物に多大な影響を及ぼしております」
 
 なんか聴いた気はする。

 「集落があるな?」
 「そのようですね。わたくしも今回初めて目にしました。順調に進んでおりますね」
 「順調ってなんだよ!」
 「オホホホホホ」

 笑うとこかよ!

 「こうなるとよ、俺たちの訓練は場所を選ばないとなぁ」
 「さようでございますね。でも誰もいない地域は幾らでもございますから」
 「そうなのかよ」

 まあ、任せるしかねぇ。
 折角(?)育った文明の芽を摘みたくはねぇ。
 今後どういう発展をするのかは分からんが、邪魔はしたくない。
 降下艇は岩の多い荒れ地に着陸した。
 確かに周囲に人間の気配は無い。
 全員が地表に降り、準備を始めた。

 「早乙女さん、ここはすげぇですね」

 早霧が感嘆していた。
 いきなり地球以外の惑星に来たのだ。
 月着陸でさえも普通の人間には驚異的な体験だが、ここは外宇宙の惑星だ。
 人類であり得ないことだが、残念ながら前人未到ではない。
 俺も聖も、俺の子どもたちも石神家の連中も来ている。
 ソルジャーたちには事前にちゃんと話してはいるが、やはり戸惑っていた。
 だが、実を言うとそれほどの実感はない。
 たかだか20分程の移動なのが主な原因だ。
 秒読みも煩雑な機械操作も強烈な加速Gもなく、楽しく談笑している間にここまで来てしまった・
 戸惑いの多くは、まさか自分たちが距離すら想像できない場所に来ていることの認識だ。
 まあ、それでもやることは決まっている。

 「それじゃあ始めっぞ!」
 『はい!』

 ルーが訓練全体の総指揮を執る。
 ハーは演習中に危険なことが無いかを監視する。
 早乙女と雪野さん、成瀬は俺と一緒に見ている。
 みんな装備の準備などを始めた。
 そしてデュールゲリエたちが簡単に周囲の地形を確認に飛んで行った。

 「石神、あのさ」
 「あんだよ!」
 「俺には雪野さんとかみたいに、強化外骨格はないのか?」
 「お前はモハメドがいんだろ!」
 「あ、ああ、そうか」
 「ふん!」

 なんか着たかったらしい。
 雪野さんと成瀬は「朧」のスムーズな動作を楽しんでいる。
 ハーに動き方を教わってもう空も飛んでる。
 早乙女がうらやましそうに見ていた。

 まずは互いの戦力を知ることだ。
 ソルジャーたちは「花岡」の第3階梯の「ブリューナク」や「トールハンマー」を出させる。
 出力は抑えているが、大勢でのことなので周囲は凄まじいことになっている。
 次いでハンターたちの戦力だ。
 そちらは最大出力で出させる。
 やはり磯良と愛鈴が別格だった。
 溜めはあるが、磯良の奥義はすさまじい。
 マントラを唱える時間さえ確保できれば、《地獄の悪魔》に対抗出来るようになるだろう。
 愛鈴は全身のメタモルフォーゼで技を放った。
 こちらも若干の集中の溜めの時間が必要だが、磯良と同じく、《地獄の悪魔》を撃破出来るようになるかもしれない。
 羽入は石神家の剣技を見せた。
 剣技に才能があると虎白さんにも言われている。
 「連山」で3キロ先まで斬り刻んでいく。
 羽入には磯良と同じく真言を使った奥義があるのだが、自分の身体を破壊するので今日は使わせない。
 あの技であれば、やはり《地獄の悪魔》を殺せると感じた。
 紅と共に鍛錬に励んで来た男だ。
 その紅は「バハムート装備」で前面を激しく破壊していく。
 面制圧の凄まじさを全員が感じた。
 早霧は巨大な岩を破壊する技で、葛葉もそれなりの威力だ。
 だが、二人は強い妖魔を相手にはまだ厳しい。
 ライカンスロープであれば難なく撃破出来るだろう。
 もう《デモノイド》にも遅れは摂らないことが分かった。
 桐谷と麻生は逆に妖魔特化の技だった。
 こちらはデュールゲリエの解析で威力がある程度は分かる。
 まあ、まだ中級妖魔がせいぜいだろう。
 だが早霧、葛葉、桐谷、麻生の四人もまだ成長するだろう。
 石神家本家に送ることに決めた。
 鏑木には「魔法陣」をルーが指導している。
 出力は小さめのものを教え、とんでもない威力に本人も驚いていた。
 もっと出力の大きな「魔法陣」を教えれば、《地獄の悪魔》にも対抗できるようになるだろう。
 獅子丸はメタモルフォーゼして、手足の攻撃で岩を砕いて行く。
 まあ、知ってる。
 以前に比べて格段に動きがいいのは、ゴールドに刺されたからだ。
 ライカンスロープ相手であれば、負けることはないだろう。
 妖魔にどこまで通用するのかは分からん。
 ロボがトコトコと獅子丸に近寄った。

 「ロボさん、危ないですよ」

 獅子丸が屈んでロボを抱き上げようとした。
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