富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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御堂 大統領選 Ⅶ

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 俺は嫌な予感を持て余していた。
 自分が何を見落としているのか分からず、敵の攻撃を察知出来ないことにいら立っていた。
 その時、「虎」の軍の通信端末に早乙女から俺に連絡が来た。
 今日は軽微に携わる全員が共通の「虎」の軍の同じ通信端末を持っている。
 警備体制を一元化するためだ。
 「皇紀通信」とは異なり、スマホ型で使い方も単純だ。

 「石神! 核爆弾だ!」
 「なんだと!」
 「今、佐野さんからの連絡だ! 中国の大使館員が日本に核爆弾を持ち込んだ!」
 「詳しく話せ!」

 その間に早乙女が通信端末で話しながら走って来た。
 あいつも慌てている。

 「たった今分かった。核爆弾の行方までは分からないが、轟がこの会場が狙わているんじゃないかと言っていた」
 「!」

 十分にあり得ることだ。
 轟は《ウィスパー》で感じたのだろうが、俺もすぐにそれだと確信した。
 中国がこの日本で核爆弾を使うとすれば、御堂と俺たち「虎」の軍を狙う以外に考えられない。
 先ほどからの嫌な感じがそれに合致する。
 俺の中で即座に対処が構築されて行く。

 「早乙女、誰もここに近付けるな! 通行を遮断しろ!」
 「無理だ! 検問を敷くには時間がかかる! でも出来るだけ急がせる!」
 「分かった!」

 俺はすぐにソルジャーとデュールゲリエの全員に半径5キロで車両を遮断するように命じた。
 《アイオーン》に状況を伝えて対策を命じる。
 その間にデュールゲリエのルーとハーを呼び、御堂をすぐに逃がせと命じた。
 二人が走っていく。

 (一体、どれほど時間は残っている!)

 「早乙女、核爆弾の大きさは分かるか?」
 「バスケットボールのサイズらしい。金属の球体のようだ。だがその大きさだとどう偽装されているのか分からない!」
 
 早乙女の言う通りだった。
 最新の核爆弾は最小サイズでバスケットボールだ。
 だが、敵はその姿のままで持ち運びしているはずがない。
 恐ろしく様々なものに偽装出来る。
 車両で運搬するにしても、乗用車のトランクにもシートの下にも隠せる大きさだ。
 バイク便の荷台にも詰めるだろう。
 なんなら自転車の配達でも可能だ。
 ある程度のサイズのリュックサックにも隠せる。
 そして半径2キロメートル以内で爆発した場合、生き残る者はいない。
 放射能の深刻な影響を考慮すると、半径5キロメートル圏内が危険領域だ。
 アザゼルは核爆弾の爆発でも御堂を守れるだろうか?
 仮に御堂は無事だったとしても、その他の人間は死ぬ。
 俺は様々なことを目まぐるしく考えていた。

 俺の戦場の勘は、まだ近くには設置されていないと判断した。
 これから持ち込まれるはずだ。
 既に設置されていたのならば、とっくに起爆している。
 何もここまで待っている必要はないのだ。
 それでは運搬は車両かバイクか自転車か徒歩か。
 半径5キロ以内に入られたら不味い。
 だから半径5キロの侵入を止めなければならないのだ。
 ソルジャーとデュールゲリエたちに指示を飛ばし、蓮花研究所とアラスカにも応援を頼んだ。
 「「虎」の軍法」を最大限に利用して、全通行を止める。
 デュールゲリエ全体に東大から出発させ。桜大隊に5キロ地点からの車両と通行人のチェックを始めさせた。
 「虎酔会」たちはここから外側に向けてとにかく調べて行くように指示した。
 電車での持ち込みもあり得る。
 バスも通っている。
 全然手が足りない。

 「おい、御堂はまだか!」

 御堂が避難した連絡が無く、ルーに確認した。

 「御堂総理は只今休憩を宣言しました」
 「休憩だと!」
 「はい、石神様を呼んでおられます」
 「あいつ、何のんびりしてやがんだぁ!」

 俺は安田講堂の中へ走った。
 御堂の控室のドアから飛び込む。

 「御堂! 何やってんだ!」
 「石神、落ち着けよ。事情は聴いたよ」
 「だったらすぐにここを出ろ!」
 「ダメだよ、石神」
 「バカヤロウ!」

 御堂を引っ張り出そうと近付いた。

 「石神、他の人間はどうするんだ?」
 「バカ! とにかくお前が先だ!」
 「僕は動かないよ。僕のために集まってくれた学生たちを見捨てることは出来ない」
 「お前ぇ!」

 御堂を担ぎ上げた。
 このバカは事態を分かってねぇ。
 俺の大事な親友をここで喪うわけには行かない。
 それに御堂には何としても大統領になってもらわなければならない。

 「石神! みんなを見捨てることは出来ない」
 「うるせぇ! 黙ってろ!」
 「ここで見捨てて逃げれば。僕は大統領にはならない! 総理大臣も辞任する!」
 「!」

 俺は怒りで御堂を床に放り投げた。
 ルーがすぐに御堂を抱き留めた。

 「いい加減にしろ!」
 「お前だよ、石神! 今から全員を避難させることは出来ないんだろう?」
 「だからお前を!」
 「ダメだ! 僕もここに残る」
 「この野郎!」
 「石神、お前が護ってくれるんだろう!」
 「だからお前を連れ出すって言ってんだろうがぁ!」
 「学生たちを見殺しにしてかい?」
 「御堂!」
 「僕は石神を信じている。だから討論会を続けるよ」

 御堂は頑なだった。
 こいつの頑固さは鉄壁だ。
 俺は床にひざまずいて頼んだ。

 「御堂、お願いだ! お前を死なせるわけには行かないんだ!」
 「石神、お前も逃げるのか?」
 「俺はここで指揮を執る」
 「前に言ったよね。石神のいない世界なんか僕は興味が無いって」
 「御堂、お願いだ……」
 「死ぬのならお前と一緒だ。そうだろう、石神?」
 「ばかやろう……」

 こいつは……

 「大丈夫だ、石神なら全てちゃんとやってくれる。僕は信じているよ」
 「てめぇ! 覚えてろよ!」
 「アハハハハハ、石神、それはお前に似合わないよ」
 「うるせぇ!」
 「僕はお前を信頼している。そうだろう、親友!」
 「俺に任せろ! このバカヤロウ!」
 「アハハハハハハハ!」

 俺は部屋を出た。
 絶対に何とかしてやる!
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