富豪外科医は、モテモテだが結婚しない?

青夜

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七年後 Ⅲ

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 「士王がね、凄かったよ!」
 「そうなんだ」
 「私たちも見たかったな!」

 私はパリから戻って、ルーとハーと一緒に食事をした。
 以前から二人は「虎の穴」で各地の作戦指揮を執っている。
 一江さんと大森さんも作戦本部に詰めて、同じことをしている。
 世界中で戦闘が繰り返され、みんな忙しい。
 私は主に戦地に行って戦っているが、真夜と真昼を同行することも多い。
 戦闘は私と真夜と真昼、竹流、それに石神家の皆さんが主力となっている。
 斬さんは主に遊撃的な行動で、自分で好きな戦場に飛んで行く。
 もちろん各地の拠点にソルジャーやデュールゲリエたちが配備されているので、「業」の攻撃にも対処出来ている。
 それでも《ニルヴァーナ》の出現で、徐々に戦闘も変わって来た。
 2年前にポルトガルで初めて運用された。
 まだ「Ωワクチン」が無く、多くの人々が死んだ。
 ポルトガルの実に3分の1もの国民が犠牲になったのだ。

 タカさんはもっと同時多発的に運用されると考えていたが、一箇所だけの攻撃であったためにワクチンの開発が早く完成出来た。
 タカさんは、恐らくワクチン開発が出来ないと考えられていたのだろうと言っていた。
 だから初期運用で《ニルヴァーナ》の威力を観測したのだろうと。
 私たちには「Ωカメムシ」という切り札があることを、「業」は知らなかったのだ。
 ざまぁ、「業」!
 《ロータス》の超絶の解析と組合せテストと共に、蓮花さん、ジェシカさん、稔君の必死の研究のお陰で、相当早く「Ωワクチン」が開発された。
 もちろん、蓮花さんたちがこれまで必死に研究し、準備を重ねて来てくれていたお陰だ。
 特に稔君の発想が素晴らしく、妖魔をウイルスに混入させた場合の様々な可能性を検討していた。
 逸早く人体の免疫機構では間に合わないことを予期して、ナノマシンの開発に取り掛かったのも稔君だ。

 タカさんは今後も変異種が出て来る可能性も考えており、みんながそれに備えている。
 それでも《ニルヴァーナ》が脅威であることには変わりがなく、今回のパリのように多数のバイオノイドにばら撒かれると厄介だ。
 2時間以内に「Ωワクチン」を使わないと、絶対に助からない。
 幸いにも妖魔が混入されているため、「霊素観測レーダー」で捉えられる、
 今では世界中に張り巡らされたネットワークで感知することが出来るようになった。
 しかし「ゲート」での突然の出現もあり、油断は出来ない。
 
 それに各地で本格的な「業」の軍との戦闘が繰り広げられて行った。
 もう「虎」の軍の拠点を襲うような攻撃は少なく、「業」は世界中各地の人間を襲うようになっていた。
 人類絶滅作戦が開始されたのだ。
 村や町が突然襲われ、「虎」の軍が救出に向かう。
 そんな戦争になって行った。
 戦闘の度に犠牲者が出る。
 タカさんはそれを憂い、濃密な「霊素観測レーダー」網と出撃の時間短縮に苦慮した。
 農村が襲われれば食糧が減少する。
 だから各地に「虎」の軍が常駐する農耕地帯を開発して行った。
 



 ルーとハーと久し振りに食事を一緒にし、私は自分の居城「キャッスル・ディアブロ」に戻って寝ていた。
 アラスカ「虎の穴」の最西端、最もロシアに近い場所に建てられている。
 私がこの基地の最前線なのだ。
 まあ、タカさんがいつもの悪ノリで、まるで魔王城みたいにいかついが。
 ここには私と真夜、真昼の三人で暮らしている。
 「カタ研」のみんなも蓮花さんの研究所に勤めていて、よく私の城に集まって食事会などをしているので、全然寂しくない。
 タカさんにも会えるし!
 ルーとハーは作戦本部のある「ヘッジホッグ」内に居室があり、一江さんと大森さんも同じだ。
 四人は作戦本部に詰めていることが多い。
 栞さんと士王たちはパリにいる。
 六花さんと吹雪たちは最南端の「キャッスル・クリムゾン」に「紅六花」の皆さんと一緒にいる。
 響子ちゃんも一緒だ。
 柳さんは南西の「キャッスル・ドラゴン」にいて、六花さんが出撃する時には柳さんが必ず響子ちゃんの護衛に入る。
 ちなみに柳さんの城は、柳さんが大好きな「シンデレラ城」を模している。
 鷹さんは北の「キャッスル・ホーク」にいるのだが、結構あちこちを飛び回っている。
 タカさんに次ぐ最速の戦士なので、救援には逸早く出撃しているのだ。
 それに偵察部隊「ブレイド・ハート」を率いるようになり、ますます忙しい。
 蓮花さんは研究所をアラスカへ移して、北東の広大な「レンカ・ラボラトリー」にいる。
 デュールゲリエや「マルドゥック」の量産工場が併設されており、各種武器や兵器も生産している。
 そして中核は「Ωワクチン」の製造工場だ。
 「Ωワクチン」は製造工程が複雑で、量産が追いついていない。
 今は急いで拡張中なのだが。
 そして聖さんは今もニューヨークにいる。
 「セイントPMC」は大々的に拡張され、ロックハート家と共にアメリカ全土を護ってくれている。
 もちろん戦場へもしょっちゅう出ている。
 聖さんの軍団は「虎」の軍の中でも最強だ。
 虎蘭さんは南東の広大な土地で「イシガミ・レギオン」の統括をしている。
 石神家の剣士は13万人にもなり、「虎」の軍のソルジャーとは一線を画している。
 それは「魔法陣」を扱う人間のいる軍団だからで、聖さんの「セイントPMC]と並んで最強だ。
 ただ、精鋭の剣聖8000人は望岡の石神家にいる。
 虎蘭さんはここで剣士たちを鍛錬し、指導しているのだ。
 虎水さんも一緒で、二人は仲良しだ。
 私もよく遊びに行ったり、鍛錬に混ぜてもらっている。
 アラスカ最強の集団なので、鍛錬は毎回身になる。
 ソルジャーの人たちも、よく来ている。
 みんな熱心だ。
 
 「亜紀さん、そろそろ時間ですよ」
 「うん、分かった。

 真夜が私を呼びに来た。
 これから「ヘッジホッグ」で中国の浄化作戦の作戦会議がある。
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