3 / 10
3
しおりを挟む
「王室からの招待状が届いたのだから行くに決まっているでしょう? 私たちは臣下なのよ? ブライアンだって、もし戦争が起きて召集されたら馳せ参じるんでしょ!」
最初から断る選択肢なんてないけれど、ブライアンに揶揄われるとついムキになってしまう。
「戦争とお茶会を一緒にすんなよ!」
「一緒よ。お茶会は女の戦場よ!」
ブライアンが頭を掻きむしりながらチッと舌打ちするのが聞こえる。
「じゃじゃ馬のミンディが王室のお茶会なんて行って、恥をかかないか幼馴染として心配してやってんのに!」
「ただの幼馴染なのに心配いただきありがとう!」
『幼馴染』
今までお互いに何度も発したその単語は鎖の様に私たちの関係をがんじがらめにする。
一歩進もうと思ってもその鎖に絡まって動くことができない。
私は深呼吸をして、ブライアンに向き合う。
「ねぇ、ブライアン。……本当に幼馴染として私の心配をしているの?」
「あぁ」
即答したブライアンは苦々しい表情を浮かべている。
ベリンダや周りの友達は、私とブライアンをくっつけようしてくれるけど。
……やっぱりブライアンは私に対してそんな気がない様にしか見えない。
「……じゃあ、ブライアンの忠告を聞いてお淑やかに振る舞って、王太子殿下に見染められてくるわ」
「…………っ! 恥をかかないか心配してやってるだけだ。王太子殿下がミンディなんかを見染める事なんてない」
「そんなことわからないじゃない!」
私はベリンダみたいに可憐でもないし、王太子殿下の元婚約者候補のご令嬢達に比べたらパッとしない。
そんな事私だってわかっているけれど、ブライアンの『ミンディなんか』という言葉は『誰も私のことを女として見るわけがない』って言っている様に聞こえる。
誰も……ブライアンも私のことを女として見ていない。
その事実に胸がズキズキと傷む。
私の苦しい気持ちには気がついていないブライアンはバカにした様な視線を私に落とすと鼻を鳴らす。
「王太子殿下は『男として不能』だってもっぱらの噂だぜ。王太子妃になりたいなら王太子殿下じゃなくて偉そうな王室のジジイ達に愛想を振りまいておくんだな」
「ちょっと! 何言ってるの王太子殿下に失礼よ! 聞こえたらどうする気? 私だけじゃなくて王太子殿下のことも揶揄うなんて不敬罪に問われるわよ!」
「ふんっ。ムキになって庇って。お前も王子様に憧れてるのか? 見た目にキャーキャー騒いでるお前は知らないだろうけど、信憑性のある噂だよ。残念だったな」
そりゃ王太子殿下は見目麗しくて、絵本の王子様みたいだから、王立学園の廊下ですれ違ったりすれば友達とみんなで騒ぐことはある。でも、それは恋とかそういう気持ちじゃない。
だって私はずっとブライアンが好きなのだもの……
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 本当に王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
私の気持ちも知らずに揶揄ってばかりのブライアンについ心にもない事を言うと、私はその場から逃げ出してしまった。
最初から断る選択肢なんてないけれど、ブライアンに揶揄われるとついムキになってしまう。
「戦争とお茶会を一緒にすんなよ!」
「一緒よ。お茶会は女の戦場よ!」
ブライアンが頭を掻きむしりながらチッと舌打ちするのが聞こえる。
「じゃじゃ馬のミンディが王室のお茶会なんて行って、恥をかかないか幼馴染として心配してやってんのに!」
「ただの幼馴染なのに心配いただきありがとう!」
『幼馴染』
今までお互いに何度も発したその単語は鎖の様に私たちの関係をがんじがらめにする。
一歩進もうと思ってもその鎖に絡まって動くことができない。
私は深呼吸をして、ブライアンに向き合う。
「ねぇ、ブライアン。……本当に幼馴染として私の心配をしているの?」
「あぁ」
即答したブライアンは苦々しい表情を浮かべている。
ベリンダや周りの友達は、私とブライアンをくっつけようしてくれるけど。
……やっぱりブライアンは私に対してそんな気がない様にしか見えない。
「……じゃあ、ブライアンの忠告を聞いてお淑やかに振る舞って、王太子殿下に見染められてくるわ」
「…………っ! 恥をかかないか心配してやってるだけだ。王太子殿下がミンディなんかを見染める事なんてない」
「そんなことわからないじゃない!」
私はベリンダみたいに可憐でもないし、王太子殿下の元婚約者候補のご令嬢達に比べたらパッとしない。
そんな事私だってわかっているけれど、ブライアンの『ミンディなんか』という言葉は『誰も私のことを女として見るわけがない』って言っている様に聞こえる。
誰も……ブライアンも私のことを女として見ていない。
その事実に胸がズキズキと傷む。
私の苦しい気持ちには気がついていないブライアンはバカにした様な視線を私に落とすと鼻を鳴らす。
「王太子殿下は『男として不能』だってもっぱらの噂だぜ。王太子妃になりたいなら王太子殿下じゃなくて偉そうな王室のジジイ達に愛想を振りまいておくんだな」
「ちょっと! 何言ってるの王太子殿下に失礼よ! 聞こえたらどうする気? 私だけじゃなくて王太子殿下のことも揶揄うなんて不敬罪に問われるわよ!」
「ふんっ。ムキになって庇って。お前も王子様に憧れてるのか? 見た目にキャーキャー騒いでるお前は知らないだろうけど、信憑性のある噂だよ。残念だったな」
そりゃ王太子殿下は見目麗しくて、絵本の王子様みたいだから、王立学園の廊下ですれ違ったりすれば友達とみんなで騒ぐことはある。でも、それは恋とかそういう気持ちじゃない。
だって私はずっとブライアンが好きなのだもの……
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 本当に王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
私の気持ちも知らずに揶揄ってばかりのブライアンについ心にもない事を言うと、私はその場から逃げ出してしまった。
254
あなたにおすすめの小説
幼馴染と夫の衝撃告白に号泣「僕たちは愛し合っている」王子兄弟の関係に私の入る隙間がない!
佐藤 美奈
恋愛
「僕たちは愛し合っているんだ!」
突然、夫に言われた。アメリアは第一子を出産したばかりなのに……。
アメリア公爵令嬢はレオナルド王太子と結婚して、アメリアは王太子妃になった。
アメリアの幼馴染のウィリアム。アメリアの夫はレオナルド。二人は兄弟王子。
二人は、仲が良い兄弟だと思っていたけど予想以上だった。二人の親密さに、私は入る隙間がなさそうだと思っていたら本当になかったなんて……。
手放したくない理由
ねむたん
恋愛
公爵令嬢エリスと王太子アドリアンの婚約は、互いに「務め」として受け入れたものだった。貴族として、国のために結ばれる。
しかし、王太子が何かと幼馴染のレイナを優先し、社交界でも「王太子妃にふさわしいのは彼女では?」と囁かれる中、エリスは淡々と「それならば、私は不要では?」と考える。そして、自ら婚約解消を申し出る。
話し合いの場で、王妃が「辛い思いをさせてしまってごめんなさいね」と声をかけるが、エリスは本当にまったく辛くなかったため、きょとんとする。その様子を見た周囲は困惑し、
「……王太子への愛は芽生えていなかったのですか?」
と問うが、エリスは「愛?」と首を傾げる。
同時に、婚約解消に動揺したアドリアンにも、側近たちが「殿下はレイナ嬢に恋をしていたのでは?」と問いかける。しかし、彼もまた「恋……?」と首を傾げる。
大人たちは、その光景を見て、教育の偏りを大いに後悔することになる。
恋人でいる意味が分からないので幼馴染に戻ろうとしたら‥‥
矢野りと
恋愛
婚約者も恋人もいない私を憐れんで、なぜか幼馴染の騎士が恋人のふりをしてくれることになった。
でも恋人のふりをして貰ってから、私を取り巻く状況は悪くなった気がする…。
周りからは『釣り合っていない』と言われるし、彼は私を庇うこともしてくれない。
――あれっ?
私って恋人でいる意味あるかしら…。
*設定はゆるいです。
【完】幼馴染と恋人は別だと言われました
迦陵 れん
恋愛
「幼馴染みは良いぞ。あんなに便利で使いやすいものはない」
大好きだった幼馴染の彼が、友人にそう言っているのを聞いてしまった。
毎日一緒に通学して、お弁当も欠かさず作ってあげていたのに。
幼馴染と恋人は別なのだとも言っていた。
そして、ある日突然、私は全てを奪われた。
幼馴染としての役割まで奪われたら、私はどうしたらいいの?
サクッと終わる短編を目指しました。
内容的に薄い部分があるかもしれませんが、短く纏めることを重視したので、物足りなかったらすみませんm(_ _)m
伯爵令嬢の婚約解消理由
七宮 ゆえ
恋愛
私には、小さい頃から親に決められていた婚約者がいます。
婚約者は容姿端麗、文武両道、金枝玉葉という世のご令嬢方が黄色い悲鳴をあげること間違い無しなお方です。
そんな彼と私の関係は、婚約者としても友人としても比較的良好でありました。
しかしある日、彼から婚約を解消しようという提案を受けました。勿論私達の仲が不仲になったとか、そういう話ではありません。それにはやむを得ない事情があったのです。主に、国とか国とか国とか。
一体何があったのかというと、それは……
これは、そんな私たちの少しだけ複雑な婚約についてのお話。
*本編は8話+番外編を載せる予定です。
*小説家になろうに同時掲載しております。
*なろうの方でも、アルファポリスの方でも色んな方に続編を読みたいとのお言葉を貰ったので、続きを只今執筆しております。
姉妹同然に育った幼馴染に裏切られて悪役令嬢にされた私、地方領主の嫁からやり直します
しろいるか
恋愛
第一王子との婚約が決まり、王室で暮らしていた私。でも、幼馴染で姉妹同然に育ってきた使用人に裏切られ、私は王子から婚約解消を叩きつけられ、王室からも追い出されてしまった。
失意のうち、私は遠い縁戚の地方領主に引き取られる。
そこで知らされたのは、裏切った使用人についての真実だった……!
悪役令嬢にされた少女が挑む、やり直しストーリー。
我慢しないことにした結果
宝月 蓮
恋愛
メアリー、ワイアット、クレアは幼馴染。いつも三人で過ごすことが多い。しかしクレアがわがままを言うせいで、いつもメアリーは我慢を強いられていた。更に、メアリーはワイアットに好意を寄せていたが色々なことが重なりワイアットはわがままなクレアと婚約することになってしまう。失意の中、欲望に忠実なクレアの更なるわがままで追い詰められていくメアリー。そんなメアリーを救ったのは、兄達の友人であるアレクサンダー。アレクサンダーはメアリーに、もう我慢しなくて良い、思いの全てを吐き出してごらんと優しく包み込んでくれた。メアリーはそんなアレクサンダーに惹かれていく。
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる