もう二度と乙女ゲームはしない

こうやさい

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「きっと恋はしない」

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「婚約者さまは、僕の教えている学園の特待生で、市井の出身でね」
 ハイ、シッテイマス。
「本来ならばきちんと当人を見ながら肖像画を描かなければいけないのだが、妃教育が遅れていて時間が取れないそうだ」
 実際は抱き潰されて絵のモデルをする体力がないんですね、あるいは抱き潰されているせいで教育が更に遅れているんですね。確かにこの年齢から教育開始って妃でなく貴族教育と考えても遅いかもしれないけど、ヒロインはやればパラメどこまでも上がるはずだし、ポテンシャル的には出来なくはないはず……やれれば。
「なので多少なりとも顔を知っている僕が、できる限りは見ないで描いて、当人が参加する時間を短縮することになった。画家が著名かどうかよりも重要らしい」
 画家にも見せたくないんですね、つまり。あなたは大丈夫ですか? 恨まれていませんか?
 って、反応が思わず丁寧語になってしまった。
 もう略奪したことを差し引いてもヒロインとうにんには同情しかない。……元々殿下ってメインヒーローのわりに好きじゃなかったし。

「それでいいの?」
 いや、殿下相手じゃいいも悪いもないんだろうけど。
「いいって?」
 練習もあったかもしれないけど、こんな綺麗に描いているのに。
「……こんなにはっきり顔を覚えているのに惹かれる気持ちは欠片もなかったの?」
 どれを見てもヒロインを描いているとはっきり分かる。
 それはずっと見ていたからじゃないの?

 そんな事を仮にも妻に聞かれたからか、困ったように、そしてどこか悲しそうに彼が微笑わらう。
「確かに彼女は美しいと思う。描いてみたいとは思うし、彫像だったならここに持ち帰って飾っていたかもしれない」
 ……うん、ゲームだと彫像じゃないのにやるよね。
「けれどそういう意味で聞いているのではないのだろう?」
 違うけど、やってたのスケッチと剥製化狙うって事はもしかして違ってない? バッドエンド以外。
「それを第一に求める相手とはきっと恋はしない」
 妙にきっぱりと言い切る。
「それ以外の時間に一緒にいたい人は別だし、その境目がなくなってしまったらきっとまた描けなくなる」
 そういえばメリハリの人だっけ。
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