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そこが評価対象ですか?
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その日、アーネとマーイは王妃にお茶に招かれていた。
叱責される訳ではなく、ただ単に遊びに来ないかと誘われただけだが。
「お疲れ様、アーネちゃん、マーイちゃん」
王妃は普段は威厳にあふれているが、いや威厳にあふれているからこそ、私的な所では年齢よりもよほど幼くなる。まるで早くから王妃になってしまったために失くしてしまった少女時代を補うように。
特に今は問題行動を起こしていた王位継承者が追放され重荷が下りたのと、既に諦めていた子供という存在を授かった喜びに浮かれているので特に明るい。
「大変だったでしょう?」
姉妹の行動が、公に罪に問われることはなかった。
無論、やったことは噂になるし、見たことにどんな感情を持つかまでは制限できないので何もなかったことには出来ないが。
「困ったことはない? 恋人や新しい婚約者は出来た?」
これは相当うかれているなと、姉妹で顔を見合わせ苦笑する。
とはいえ、この間までつわりで苦しんでいた叔母がこんなに楽しそうなのだから、話くらい喜んで付き合おう。
「例えばうちの義息達の中なら誰が一番好み?」
だからといってそれはどうかと。
「大体でいいから背後関係とか婚約者の有無とかは考えないで」
王子ともなれば母親の実家が口を出してきたり、有力な家との繋がりを望み婚約をしたりするものだ。それを考えると例え話でも気軽に選べるものではない。なのでそう付け足したのだろう。
「そうですね、……強いて言うならわたくしはロマク様が」
アーネが答える。
「でしたらわたくしはウナン様が」
マーイが答える。
それを聞いて王妃が微妙な表情になる。
ロマクとウナンは王位を望まないことを欠点と考えないならば一二を争うほどまともな性格をしている。
ロマクは先頭に立つよりも、補佐になりたいと公言しており、そうなれる能力もある。王位を狙う王子の一部は彼を自分の下に付けたいと機会をうかがっている。
ウナンは出しゃばらないが、命じられたことに求めた以上の結果をたたき出すので、有能なのは間違いない。
ただウナンは兄弟の元婚約者に長年片想いしており、ロマクはその妹に惚れている。
つまり相手が逆である。
単なる世間話であり、具体的な方が分かりやすいから王子達を例に出しただけであり、あわよくばくっつかないかななどと思っていた訳ではないが、ここまで見事に反対では表情にも困る。
「ち、ちなみにどんなところが評価対象なのかしら?」
それでもいきなり話をそらすわけにもいかず、どことなく追い詰められた気分になりながら王妃は続ける。
「ロマク様はマーイに親切ですから好感が持てます」
「ウナン様はきちんとお姉様を評価して下さいますもの」
そして回答を聞いて固まる。
「そうね、やっと婚約破棄出来たばかりというときに振る話題じゃなかったわね」
しばらくして王妃が何か吹っ切ったような表情で言う。
ボンクーラに振り回され男を見る目が歪んだ上に、ずっと姉妹で支え合っていたのだから、恋愛対象よりもお互いの方が大事でも納得出来る。
周りが見えてくるのはまだまだこれからだろう。
それはそうとして、と王妃は思う。
好意が直接的に相手に届いていないと知ったなら、あの二人はさぞやへこむに違いない。
有能でもその辺りは違わない。
叱責される訳ではなく、ただ単に遊びに来ないかと誘われただけだが。
「お疲れ様、アーネちゃん、マーイちゃん」
王妃は普段は威厳にあふれているが、いや威厳にあふれているからこそ、私的な所では年齢よりもよほど幼くなる。まるで早くから王妃になってしまったために失くしてしまった少女時代を補うように。
特に今は問題行動を起こしていた王位継承者が追放され重荷が下りたのと、既に諦めていた子供という存在を授かった喜びに浮かれているので特に明るい。
「大変だったでしょう?」
姉妹の行動が、公に罪に問われることはなかった。
無論、やったことは噂になるし、見たことにどんな感情を持つかまでは制限できないので何もなかったことには出来ないが。
「困ったことはない? 恋人や新しい婚約者は出来た?」
これは相当うかれているなと、姉妹で顔を見合わせ苦笑する。
とはいえ、この間までつわりで苦しんでいた叔母がこんなに楽しそうなのだから、話くらい喜んで付き合おう。
「例えばうちの義息達の中なら誰が一番好み?」
だからといってそれはどうかと。
「大体でいいから背後関係とか婚約者の有無とかは考えないで」
王子ともなれば母親の実家が口を出してきたり、有力な家との繋がりを望み婚約をしたりするものだ。それを考えると例え話でも気軽に選べるものではない。なのでそう付け足したのだろう。
「そうですね、……強いて言うならわたくしはロマク様が」
アーネが答える。
「でしたらわたくしはウナン様が」
マーイが答える。
それを聞いて王妃が微妙な表情になる。
ロマクとウナンは王位を望まないことを欠点と考えないならば一二を争うほどまともな性格をしている。
ロマクは先頭に立つよりも、補佐になりたいと公言しており、そうなれる能力もある。王位を狙う王子の一部は彼を自分の下に付けたいと機会をうかがっている。
ウナンは出しゃばらないが、命じられたことに求めた以上の結果をたたき出すので、有能なのは間違いない。
ただウナンは兄弟の元婚約者に長年片想いしており、ロマクはその妹に惚れている。
つまり相手が逆である。
単なる世間話であり、具体的な方が分かりやすいから王子達を例に出しただけであり、あわよくばくっつかないかななどと思っていた訳ではないが、ここまで見事に反対では表情にも困る。
「ち、ちなみにどんなところが評価対象なのかしら?」
それでもいきなり話をそらすわけにもいかず、どことなく追い詰められた気分になりながら王妃は続ける。
「ロマク様はマーイに親切ですから好感が持てます」
「ウナン様はきちんとお姉様を評価して下さいますもの」
そして回答を聞いて固まる。
「そうね、やっと婚約破棄出来たばかりというときに振る話題じゃなかったわね」
しばらくして王妃が何か吹っ切ったような表情で言う。
ボンクーラに振り回され男を見る目が歪んだ上に、ずっと姉妹で支え合っていたのだから、恋愛対象よりもお互いの方が大事でも納得出来る。
周りが見えてくるのはまだまだこれからだろう。
それはそうとして、と王妃は思う。
好意が直接的に相手に届いていないと知ったなら、あの二人はさぞやへこむに違いない。
有能でもその辺りは違わない。
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