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06 聖女の祝福
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聖女として特別待遇で、他よりも居心地良く用意されたテントの中に篭もっているのも暇だった。
夕食前にその辺りを散歩でもしようかとしていたら、世界の危機を前にしているという切羽詰まった緊張感のないご一行の、のんびりとした様子が見えて思わず微笑んでしまった。
世界を救うための旅とは言え恒例のように三桁の回数も続けば、それを仕事にする人々からすれば効率の良い方法がマニュアル化されて定型作業(ルーチンワーク)になってしまうものなのかもしれない。
王都より魔物が封じられた道筋は定期的に整備され森の中の獣道なんて通ることもないし、平坦な道が続くので私用の高そうな馬車だってあまり揺れない。
おかげで現代では乗るはずもなかった慣れない馬車なのに、有難いことに車酔いもそれほどでもない。
魔物は魔物暴走の危険を感じ取り活性化しているらしいから、例の魔物に近付く毎に強くはなるらしい。
けど、とても強い団長と彼が率いる騎士たちのおかげで、危なげのない旅に不安を感じることはない。
しかも、これで救世の旅通算四回目になる騎士団長が一緒だし、彼が居れば大丈夫だという絶対的な安心感があるからか、皆和気藹々としてほのぼのと旅を楽しんでいるようにも見える。
でもよく良く考えれば……魔物を無事に封印しないと、魔物暴走(スタンピード)起きるんだよね?
私。本来なら無関係で別世界から来ているけど、こんなに暢気で大丈夫かなって、なんだか不安になっちゃうよ?
「……聖女様。こちらにおられましたか」
「あっ……はい。副団長。ごめんなさい。少し風に当たろうと思っただけなんですけど」
私を探してくれていた様子の背の高い彼を見上げて、頭を下げて謝った。
短い銀髪に切れ長の灰色の瞳色味が少なく、どこか冷たそうに見える副団長はハミルトン・アートルムさん。この人は団長が若い頃からの腹心らしいんだけど、無表情が基本なので何を考えているかいまいちわかりにくい。今だってそうだ。
「いいえ。お気になさらず……テントの中は通気性も悪くあまり快適な場所とは言えませんから、聖女様のお気持ちはわかりますよ」
副団長の素っ気ない口調ながらも、優しい言葉に私はほっとした。
団長の人柄が良いせいか、彼の部下の人たちも気持ちに余裕が見られるし、騎士団の彼らは総じて親切だ。
別に何かを苦労したいって訳でもないんだけど、こんなに楽勝な救世の旅で……本当に良いのかな?
……あ。けど、そんな中でも、一人だけ嫌な奴が居たわ。
「副団長。あのっ……私、お聞きしたいことがあります」
「私でよろしければ、なんなりとお聞きください」
副団長はやけに恭しく頷いた。おどけた様子にも見えて、やけに無表情なだけで、割と話せる人なのかもしれない。
「あの王子って、なんでこの旅に付いて来ているんですか? 魔物を封印するのなら、聖女の私と騎士団の皆さんだけで事足りてますよね?」
私はこの疑問が旅をする中で、一番に謎で不思議だった。
聖女の私が居ないと、倒さなければならない魔物に攻撃が通らない。これは行くしかない。騎士団の皆さんが居ないと、私では魔物を倒せない。是非同行をよろしくお願いします。
文句だけは一人前の馬鹿王子……城で吉報を待ってたら、それで良くない?
夕食前にその辺りを散歩でもしようかとしていたら、世界の危機を前にしているという切羽詰まった緊張感のないご一行の、のんびりとした様子が見えて思わず微笑んでしまった。
世界を救うための旅とは言え恒例のように三桁の回数も続けば、それを仕事にする人々からすれば効率の良い方法がマニュアル化されて定型作業(ルーチンワーク)になってしまうものなのかもしれない。
王都より魔物が封じられた道筋は定期的に整備され森の中の獣道なんて通ることもないし、平坦な道が続くので私用の高そうな馬車だってあまり揺れない。
おかげで現代では乗るはずもなかった慣れない馬車なのに、有難いことに車酔いもそれほどでもない。
魔物は魔物暴走の危険を感じ取り活性化しているらしいから、例の魔物に近付く毎に強くはなるらしい。
けど、とても強い団長と彼が率いる騎士たちのおかげで、危なげのない旅に不安を感じることはない。
しかも、これで救世の旅通算四回目になる騎士団長が一緒だし、彼が居れば大丈夫だという絶対的な安心感があるからか、皆和気藹々としてほのぼのと旅を楽しんでいるようにも見える。
でもよく良く考えれば……魔物を無事に封印しないと、魔物暴走(スタンピード)起きるんだよね?
私。本来なら無関係で別世界から来ているけど、こんなに暢気で大丈夫かなって、なんだか不安になっちゃうよ?
「……聖女様。こちらにおられましたか」
「あっ……はい。副団長。ごめんなさい。少し風に当たろうと思っただけなんですけど」
私を探してくれていた様子の背の高い彼を見上げて、頭を下げて謝った。
短い銀髪に切れ長の灰色の瞳色味が少なく、どこか冷たそうに見える副団長はハミルトン・アートルムさん。この人は団長が若い頃からの腹心らしいんだけど、無表情が基本なので何を考えているかいまいちわかりにくい。今だってそうだ。
「いいえ。お気になさらず……テントの中は通気性も悪くあまり快適な場所とは言えませんから、聖女様のお気持ちはわかりますよ」
副団長の素っ気ない口調ながらも、優しい言葉に私はほっとした。
団長の人柄が良いせいか、彼の部下の人たちも気持ちに余裕が見られるし、騎士団の彼らは総じて親切だ。
別に何かを苦労したいって訳でもないんだけど、こんなに楽勝な救世の旅で……本当に良いのかな?
……あ。けど、そんな中でも、一人だけ嫌な奴が居たわ。
「副団長。あのっ……私、お聞きしたいことがあります」
「私でよろしければ、なんなりとお聞きください」
副団長はやけに恭しく頷いた。おどけた様子にも見えて、やけに無表情なだけで、割と話せる人なのかもしれない。
「あの王子って、なんでこの旅に付いて来ているんですか? 魔物を封印するのなら、聖女の私と騎士団の皆さんだけで事足りてますよね?」
私はこの疑問が旅をする中で、一番に謎で不思議だった。
聖女の私が居ないと、倒さなければならない魔物に攻撃が通らない。これは行くしかない。騎士団の皆さんが居ないと、私では魔物を倒せない。是非同行をよろしくお願いします。
文句だけは一人前の馬鹿王子……城で吉報を待ってたら、それで良くない?
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