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27 自発的なやつ
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「もう……いい加減にして! ジュリアスはそんなことしていないわ!」
私は不毛に続く二人の言い合いに我慢出来なくて、無理矢理口を挟んだ。だって、こんなの堂々巡りで……一生、終わらなくない?
「何が色仕掛けをしてないだ。お前だって、この男と一緒に居たいと思ったのではないか?」
「それって、全部私の自発的なやつです! 私の世界にはこんなに素敵な人……血眼になって探したら居るかも知れないけど、絶滅危惧種並みに出会うの難しいの! 絶対逃したくないって思って当然です!」
「その男は汚れた英雄だぞ!」
「だから、何なのよ! 別にジュリアスの評判と、結婚する訳でもないでしょ!」
私は鼻息荒く言葉の通じない三歳児と喧嘩していた。その時に、エセルバードは整った顔をひどく歪ませたので、少し怖くなった。
……え。この人、本当にヤバくない?
彼の青い目の中に、底知れぬ狂気が見えて私は反射的にジュリアスの後ろに下がった。
「なんだよ……お前……そうか、何故その男の肩を持つのか、わかった。知っているんだろう。ジュリアスが俺を庇ったことを、知っているんだろう?」
「……殿下」
今まで黙っていたジュリアスは彼の錯乱した様子を見かねてか、エセルバードへ呼びかけた。
けどそんなことは関係ないとばかりに、エセルバードは大きな声で叫んだ。
「うるさいうるさい。たかが、町娘を一人孕ませたからと……俺は王族だぞ! それを、あの司祭がしゃしゃり出て来たんだ。ジュリアス……お前は王から俺を庇うように指示されてどんな気持ちだった? 母上を父上に取られ、その息子のために殺人の罪まで着せられることになった……俺は可哀想だと思ったよ!」
……え?
私はエセルバードの言葉が衝撃的過ぎて、一度にはすべて理解することが出来なかった。
司祭を殺したのは……エセルバードだったの? だから、それを王に頼まれてジュリアスが被った。
……好きな人の息子だったからってこと?
「……殿下の仰ることは、僕には理解出来ません。父からもそのようなことは何も聞いていません」
ジュリアスはここに来ても、自分があの騎士団長だと認めないらしい。私はただ、呆然としていた。
エセルバードの、自分勝手な最低さ加減に。
「何を言っている。ジュリアス。お前自身のことだ! 哀れな英雄だなぁ? 尽くしたものにすべて裏切られて……世界を何度も救って英雄と呼ばれようが、たかが一度の過ちを理由に手のひらを返す。ははは。お前ほど、人民の為に尽くした男も居ないだろうに。真実を明かすことも出来ない! 可哀想だ」
エセルバードは気が触れたように笑って、ジュリアスは私の手を引いた。
「……行きましょう。殿下の声を聞いて、誰かがお付きの者を呼んでいるはずです」
叫びだしたエセルバードの声は、確かに大きかった。
「あのっ……大丈夫なんですか?」
ジュリアスは軽く早歩きしている程度なんだけど、手を繋がれたままの私はそれに着いて行くために小走りをしなければならない。
「ええ……エセルバード様はああして一度怒りを露わにしてしまうと、なかなかそれを抑えられないのです。それは、彼自身の持って産まれた性質で、それを抑えるようになるための訓練には多くの努力が必要だったはずでしたが……」
もしかしたら、亡き王妃……エセルバードの母親から、ジュリアスは遺された息子のことを頼まれていたのかもしれない。
ジュリアスは任されていたはずのエセルバードを、上手く導けなかった自分を責めているんだ。
「ねえ……ジュリアス。貴方は、司祭を殺してなかったの?」
彼はその時に立ち止まり、真剣な表情で私の方を振り向いて首を横に振った。
「それはここでは口にしては、いけません。詳しく話しますので、聖女様のテントへと向かいましょう」
私は不毛に続く二人の言い合いに我慢出来なくて、無理矢理口を挟んだ。だって、こんなの堂々巡りで……一生、終わらなくない?
「何が色仕掛けをしてないだ。お前だって、この男と一緒に居たいと思ったのではないか?」
「それって、全部私の自発的なやつです! 私の世界にはこんなに素敵な人……血眼になって探したら居るかも知れないけど、絶滅危惧種並みに出会うの難しいの! 絶対逃したくないって思って当然です!」
「その男は汚れた英雄だぞ!」
「だから、何なのよ! 別にジュリアスの評判と、結婚する訳でもないでしょ!」
私は鼻息荒く言葉の通じない三歳児と喧嘩していた。その時に、エセルバードは整った顔をひどく歪ませたので、少し怖くなった。
……え。この人、本当にヤバくない?
彼の青い目の中に、底知れぬ狂気が見えて私は反射的にジュリアスの後ろに下がった。
「なんだよ……お前……そうか、何故その男の肩を持つのか、わかった。知っているんだろう。ジュリアスが俺を庇ったことを、知っているんだろう?」
「……殿下」
今まで黙っていたジュリアスは彼の錯乱した様子を見かねてか、エセルバードへ呼びかけた。
けどそんなことは関係ないとばかりに、エセルバードは大きな声で叫んだ。
「うるさいうるさい。たかが、町娘を一人孕ませたからと……俺は王族だぞ! それを、あの司祭がしゃしゃり出て来たんだ。ジュリアス……お前は王から俺を庇うように指示されてどんな気持ちだった? 母上を父上に取られ、その息子のために殺人の罪まで着せられることになった……俺は可哀想だと思ったよ!」
……え?
私はエセルバードの言葉が衝撃的過ぎて、一度にはすべて理解することが出来なかった。
司祭を殺したのは……エセルバードだったの? だから、それを王に頼まれてジュリアスが被った。
……好きな人の息子だったからってこと?
「……殿下の仰ることは、僕には理解出来ません。父からもそのようなことは何も聞いていません」
ジュリアスはここに来ても、自分があの騎士団長だと認めないらしい。私はただ、呆然としていた。
エセルバードの、自分勝手な最低さ加減に。
「何を言っている。ジュリアス。お前自身のことだ! 哀れな英雄だなぁ? 尽くしたものにすべて裏切られて……世界を何度も救って英雄と呼ばれようが、たかが一度の過ちを理由に手のひらを返す。ははは。お前ほど、人民の為に尽くした男も居ないだろうに。真実を明かすことも出来ない! 可哀想だ」
エセルバードは気が触れたように笑って、ジュリアスは私の手を引いた。
「……行きましょう。殿下の声を聞いて、誰かがお付きの者を呼んでいるはずです」
叫びだしたエセルバードの声は、確かに大きかった。
「あのっ……大丈夫なんですか?」
ジュリアスは軽く早歩きしている程度なんだけど、手を繋がれたままの私はそれに着いて行くために小走りをしなければならない。
「ええ……エセルバード様はああして一度怒りを露わにしてしまうと、なかなかそれを抑えられないのです。それは、彼自身の持って産まれた性質で、それを抑えるようになるための訓練には多くの努力が必要だったはずでしたが……」
もしかしたら、亡き王妃……エセルバードの母親から、ジュリアスは遺された息子のことを頼まれていたのかもしれない。
ジュリアスは任されていたはずのエセルバードを、上手く導けなかった自分を責めているんだ。
「ねえ……ジュリアス。貴方は、司祭を殺してなかったの?」
彼はその時に立ち止まり、真剣な表情で私の方を振り向いて首を横に振った。
「それはここでは口にしては、いけません。詳しく話しますので、聖女様のテントへと向かいましょう」
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