偶然同じ集合住宅の同じ階に住んでいるだけなのに、有名な美形魔法使いに付き纏いする熱烈なファンだと完全に勘違いされていた私のあやまり。

待鳥園子

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04 深夜

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「うん……まあ、だから……こんなに深夜になって俺を追いかけ回すのも危ない。危険だ。だから、これからは一緒に居れば良いだろう。」

 こんな部屋の前にまで尾けてきた私のことを完全に不審人物だと思っていたはずのマックロイさんは、逆に夜遅くに出歩いていた私のことを心配してくれていたらしい。

 え。え? ちょっと待って。これって、私とマックロイさんが、付き合う流れだよね?

「あっ、あの! マックロイさん。あのっ!」

 マックロイさんが今考えていることは全部誤解なんだと言おうとした私に、彼は大きな手のひらでそれを止めた。

「わかってる……大丈夫だ。冒険者ギルドの受付は、人気のある仕事だ。ミアだって、未練があるだろう。仕事は当分、続けても良い。結婚したら、出来れば家に居て欲しいので、将来的には辞めて貰いたいが」

 やっ……ヤバい。私の話を全く聞かずに結婚まで話が進んでいる……ずっと私がヤバい人だと思われていると思っていたけど……もしかして。

「待ってください……マックロイさんは……もしかして、私のこと、好きなんですか?」

 顔を赤くして興奮した様子のマックロイさんは、私の言葉を聞いてキョトンとした表情になった。

「ああ。人気の受付嬢に好かれていると思えば、別に悪い気はしなかった。そんな君に、何度も帰り道を尾けられているとは驚いたが、仕事上の情報を悪用するのは俺以外にはしない方が良いと思う」

 つまり、私が彼の情報を悪用しているとやっぱり勘違いしていた。仕事なんだからちゃんとしろとばかりに、キリッとした真面目な顔でマックロイさんは言った。

 多分……彼は色々誤解してるだろうなあって、思っていたけど。私の予想の百倍くらいの、ものすごい……とんでもない誤解をされてる。

「あ……えっと……でも……あの。最近、私の窓口に、全然来てませんでしたよね?」

 そうだ。だから、マックロイさんは私のことを嫌ってるか、気持ち悪いって避けているんだろうなって思っていたのに。

「……そんなことを気にしていたのか。出来れば、こうして二人きりで話したかった。だが、冒険者ギルドの受付嬢を仕事中に誘うのは、ご法度だ。俺もこれからも仕事上必要な冒険者ライセンスを、奪われたくはない」

 にっこり微笑んだマックロイさんは、今までの冷たい印象もどこへやら……子どものような可愛らしい笑顔を見せてくれた。

 不覚にも、そんな笑顔に胸がキュンっと高鳴った。

 なっ……なんとも思ってないはずだったのに。嫌がられているとばかり思っていたから、こうして好意を示して貰えると、そういうギャップも含めすっごく嬉しいっていうか……。

「私……マックロイさんに、絶対、避けられていると思ってて……」
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