ときめき♥沼落ち確定★婚約破棄!

待鳥園子

文字の大きさ
1 / 20

01 これが噂の婚約破棄①

しおりを挟む
「よって……レティシア・ルブラン、君との婚約を破棄する!」

 婚約破棄宣言を聞いた瞬間、天から降る雷に打たれたかのようにして、私の頭の中には、三十路恋愛経験なし喪女だった時の記憶が一気に流れ込んで来た。

 はわわわ!! こ、これが、異世界転生ー!!

 いけない。憧れの異世界転生にテンションを上げている場合でもなかった。これって婚約者から、婚約破棄されている最中……だよね。

 つまり、この状況から見て私は悪役令嬢に転生してるって、そういう事ですね。全てが出揃った状況証拠による、完璧なる推理です。どうですか。

 現代日本から転生して記憶が戻ったのが、婚約破棄される最重要場面……なんなの。嘘でしょう?

 もっとこう……こうなる運命の婚約者の心を掴む努力をするために、幼い頃から色々動きたいなんて贅沢は言わないから、断罪フラグを一本だけ折るために、せめて、一年前に戻して欲しかった。

 先程呼ばれたのは、私の名前のはずだけど、全く聞いたこともない名前だし、それを言うなら目の前の男性にだって見覚えはない。

 だって、私を高い壇上から見下ろしてくる男性は、ひと目見れば必ず記憶に残りそうな人。いかにも王族っぽい華やかな服を纏った、金髪碧眼を持つ超絶美形だった。

 こうして目の前にしても、嘘みたい……まさに、乙女が夢見る通りの王道タイプの王子様! びっくりするくらいに美形。

 というか、私は数秒前に婚約破棄されたから、この彼とは恋に落ちないことは、確定しているけど……なんだか、正直残念かもしれない。

 大体の悪役令嬢って、こんな素敵王子様相手に嫉妬して強がったり、恋敵に嫌がらせしたりしちゃうの? なんだか、変な意味でメンタル強過ぎない?

 私だったらこの王子様に絶対嫌われたくないから、もし彼に好きな人が出来て、婚約破棄したいと言うのなら、相思相愛の二人の邪魔したくないし、どうぞどうぞしてフェイドアウトの方向性を選ぶ。

 だって、恋愛関係で嫉妬して恋敵に嫌がらせして、一番大事な好きな人に嫌われるって、どう考えても本末転倒過ぎるもの。恋愛って嫌われさえしなければワンチャンあるって、おじいちゃんが言っていた。

 けど、私、落ち着いて。今こそ、現代知識チートが輝く時よ……!

 異世界転生婚約破棄ものなら、前世で数え切れないほど読んで来たから、そんな私はここで生還ルートを間違いなく選ベるわ。

 ハッピーエンドルートへの初手は、間違いなくこれよ。

「……はい。わかりました」

 婚約者に婚約破棄された私は、とりあえずここは大きく頷き、抗議することもなく、すんなりと了承することにした。

「レティシア……?」

 壇上の王子様は婚約破棄された私の反応を見て、どうしたのかと言わんばかりに不思議そう。

 ……ええ。王子様は自分に婚約破棄された私が、ここで何か言い訳などすると思っていたことでしょう。

 言い逃れようと醜く騒ぐとか……はたまた、悪事は私の仕業ではないと、断罪されるとわかっていて、準備していた証拠を並べたりなど。

 そんな良くある反応を示さずに、さぞ不思議だと思います。ええ。無理もないです。断罪されている私本人だって、そう思いますからね。

 けど、私はさっき、前世の記憶取り戻したところで、婚約破棄されるような悪行の経緯を説明して、何か弁明しようにも自分が何して婚約破棄されたかわからないから、こうするしかないんですー!

 ごめんなさい! 意図せぬ時に前世の記憶が蘇ったために、予想外になってしまって!

 けど、婚約破棄されるほどに嫌われてしまっている女は、目の前から今すぐ消えます。だから、どうかご安心ください!

「そ、それでは、失礼します……っ!」

 貴族令嬢に見えるようにそれっぽくスカートを摘まみカーテシーをして、後ろを振り返ろうとして完全に失敗して転んだ。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢はやめて、侯爵子息になります

立風花
恋愛
第八回 アイリス恋愛ファンタジー大賞 一次選考通過作品に入りました!  完結しました。ありがとうございます  シナリオが進む事のなくなった世界。誰も知らないゲーム後の世界が動き出す。  大崩落、王城陥落。聖女と祈り。シナリオ分岐の真実。 激動する王国で、想い合うノエルとアレックス王子。  大切な人の迷いと大きな決断を迫られる最終章! ーあらすじー  8歳のお誕生日を前に、秘密の場所で小さな出逢いを迎えたキャロル。秘密を約束して別れた直後、頭部に怪我をしてしまう。  巡る記憶は遠い遠い過去。生まれる前の自分。  そして、知る自分がゲームの悪役令嬢であること。  戸惑いの中、最悪の結末を回避するために、今度こそ後悔なく幸せになる道を探しはじめる。  子息になった悪役令嬢の成長と繋がる絆、戸惑う恋。 侯爵子息になって、ゲームのシナリオ通りにはさせません!<序章 侯爵子息になります!編> 子息になったキャロルの前に現れる攻略対象。育つ友情、恋に揺れる気持<二章 大切な人!社交デビュー編> 学園入学でゲームの世界へ。ヒロイン登場。シナリオの変化。絆は波乱を迎える「転」章<三章 恋する学園編> ※複数投稿サイト、またはブログに同じ作品を掲載しております

セーブポイントに設定された幸薄令嬢は、英雄騎士様にいつの間にか執着されています。

待鳥園子
恋愛
オブライエン侯爵令嬢レティシアは城中にある洋服箪笥の中で、悲しみに暮れて隠れるように泣いていた。 箪笥の扉をいきなり開けたのは、冒険者のパーティの三人。彼らはレティシアが自分たちの『セーブポイント』に設定されているため、自分たちがSSランクへ昇級するまでは夜に一度会いに行きたいと頼む。 落ち込むしかない状況の気晴らしにと、戸惑いながらも彼らの要望を受け入れることにしたレティシアは、やがて三人の中の一人で心優しい聖騎士イーサンに惹かれるようになる。 侯爵家の血を繋ぐためには冒険者の彼とは結婚出来ないために遠ざけて諦めようとすると、イーサンはレティシアへの執着心を剥き出しにするようになって!? 幼い頃から幸が薄い人生を歩んできた貴族令嬢が、スパダリ過ぎる聖騎士に溺愛されて幸せになる話。 ※完結まで毎日投稿です。

【完結】異世界転移したら騎士団長と相思相愛になりました〜私の恋を父と兄が邪魔してくる〜

伽羅
恋愛
愛莉鈴(アリス)は幼馴染の健斗に片想いをしている。 ある朝、通学中の事故で道が塞がれた。 健斗はサボる口実が出来たと言って愛莉鈴を先に行かせる。 事故車で塞がれた道を電柱と塀の隙間から抜けようとすると妙な違和感が…。 気付いたら、まったく別の世界に佇んでいた。 そんな愛莉鈴を救ってくれた騎士団長を徐々に好きになっていくが、彼には想い人がいた。 やがて愛莉鈴には重大な秘密が判明して…。

【完結】お父様(悪人顔・強面)似のウブな辺境伯令嬢は白い?結婚を望みます。

カヨワイさつき
恋愛
魔物討伐で功績を上げた男勝りの辺境伯の5女は、"子だねがない"とウワサがある王子と政略結婚結婚する事になってしまった。"3年間子ども出来なければ離縁出来る・白い結婚・夜の夫婦生活はダメ"と悪人顔で強面の父(愛妻家で子煩悩)と約束した。だが婚姻後、初夜で……。

なんと、世界を滅ぼすはずの魔王が仲間になりたそうに、こちらを見ています。仲間にしますか?→良い子に出来るなら、私が養ってあげる。

待鳥園子
恋愛
超長編ハイファンタジー小説ヒーローの幼馴染み役、彼には全く気がつかれることなく失恋する切ない担当いじらしいサブヒロインに転生してしまった。 どうせ勇者レックスは将来的には可愛い子ばかりのハーレム形成するし、幼馴染み魔法薬師デルフィーヌの主な役目と言えば恋のライバルメインヒロインの命を助ける魔法薬を作る程度。 だとしたら、私って居なくても大丈夫だよね? 物語に関係なく自分は幸せになろうと努力している途中、近い将来世界を滅ぼすはずの魔王ギュスターヴが道ばたに転がって居て……。 自分が居なくても物語が進むのなら早々に役目を抜けて勝手に幸せになろうと考えていた転生ヒロインが、無垢で純粋な魔王の心を無自覚に撃ち抜き、世界で一番についでに勇者にも溺愛されていることに気がつかない

竜帝と番ではない妃

ひとみん
恋愛
水野江里は異世界の二柱の神様に魂を創られた、神の愛し子だった。 別の世界に産まれ、死ぬはずだった江里は本来生まれる世界へ転移される。 そこで出会う獣人や竜人達との縁を結びながらも、スローライフを満喫する予定が・・・ ほのぼの日常系なお話です。設定ゆるゆるですので、許せる方のみどうぞ!

逆転の花嫁はヤンデレ王子に愛されすぎて困っています

蜂蜜あやね
恋愛
女神の気まぐれで落ちた花嫁を、王子は決して手放さない――。 かつて“完璧少女リリアンヌ様”と称えられたリリーは、 ある日突然、神のいたずらによって何もできない“できない子”に逆転してしまった。 剣も、誇りも、すべてを失った彼女のそばに現れたのは、 幼馴染であり、かつて彼女の背を追い続けていた王子アシュレイ。 誰よりも優しく、そして誰よりも歪んだ愛を持つ男。 かつて手が届かなかった光を、二度と失いたくないと願った王子は、 弱ったリリーを抱きしめ、囁く。 「君を守る? 違うよ。君はもう、僕のものだ。」 元完璧少女リリアンヌと幼馴染のちょっと歪んだ王子アシュレイの逆転恋愛ストーリーです

限界王子様に「構ってくれないと、女遊びするぞ!」と脅され、塩対応令嬢は「お好きにどうぞ」と悪気なくオーバーキルする。

待鳥園子
恋愛
―――申し訳ありません。実は期限付きのお飾り婚約者なんです。――― とある事情で王妃より依頼され多額の借金の返済や幼い弟の爵位を守るために、王太子ギャレットの婚約者を一時的に演じることになった貧乏侯爵令嬢ローレン。 最初はどうせ金目当てだろうと険悪な対応をしていたギャレットだったが、偶然泣いているところを目撃しローレンを気になり惹かれるように。 だが、ギャレットの本来の婚約者となるはずの令嬢や、成功報酬代わりにローレンの婚約者となる大富豪など、それぞれの思惑は様々入り乱れて!? 訳あって期限付きの婚約者を演じているはずの塩対応令嬢が、彼女を溺愛したくて堪らない脳筋王子様を悪気なく胸キュン対応でオーバーキルしていく恋物語。

処理中です...