なんと、世界を滅ぼすはずの魔王が仲間になりたそうに、こちらを見ています。仲間にしますか?→良い子に出来るなら、私が養ってあげる。

待鳥園子

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03 豆腐の角

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 レックスは「悪い悪い。デルフィーヌ、遠いところ来てくれてありがとなー。お前が来てくれて本当に良かった」で済ませても、何の文句も言わず微笑むデルフィーヌは、十何年間好きだった人に失恋しても、彼の幸せを祈って身を引いちゃう健気な可愛い女の子なんだよー!!

 レックスは、豆腐の角に頭ぶつけろー! ……まあ、豆腐なんて、この異世界には存在しないんだけどね。

 という訳で、私はいち早く魔法薬師になって、聖女の命が助かる薬をレックスに持たせておき「何かピンチになったら、これを開けてね!」と、遠出の際にお守りに何万円か仕込んでおく心配性の親のようなことをしようと思っていた。

 だって、将来失恋して辛い思いをするってわかってるし、絶対叶わない恋の相手レックスのことを、宛もなく想い続けるなんて嫌だもの。

 どうせ小説の主人公レックスは、これから聖女と最終的に結ばれるまでだって自分中心のチーレムを形成するんだから、私一人くらい抜けても問題ないと思う。

 だから、物語上の主要な役目だけをさっさと済ませて、それからは自分の好きな事をして生きようと思っている。

 私の生まれ変わった転生先デルフィーヌは、将来に魔法薬師の道を選ぶだけあり、実家は薬草屋だった。その上に、彼女は貴重な回復魔法の適性もあった。

 チートな仕様の魔法薬師になることだって、可能なのだ。

 どんなに尽くしても、ほかの女に走る不実で鈍感なレックスのことなんて忘れてしまえば、条件の良い嫁入り先なんていくらでもありそうだし、なんなら自分で巨額の財をなす事だって出来そう。

 転生してきた私の使命は、彼女以外誰にも知られることもなく、捨てられることになる勇者の幼馴染デルフィーヌを救済することではないかと思った。

 世界全体の救済は、私の知らないところでやってくれれば良いわ……少々の切ない感情ムーブを発生させるだけの要員で、勇者パーティの一人でもなんでもないもの。


 ……なんて、思っていた矢先に、道端に落ちていた魔王を拾ってしまった。


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