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08 薬草取り
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◇◆◇
「あー……もう……やっちゃった。これだと上がれないし……どうしよう」
私はいつもの薬草取りに行っていた時、崖上の道で足を踏み外し、小さな崖から落ちてしまった。
足をくじいてしまったから、とっかかりを利用してなんて上がれないし……深い森の中で薬草取りの目的でもないとこんな場所に通りかかるはずもない。
いくら道がある辺りを見上げても、誰も通る訳もない。
私が薬草取りに行っていることは、家族やグスタフだって知っている。あまりに帰りが遅いと思えば、きっと迎えに来てくれるはずだし……。
「デルフィーヌ! 大丈夫か? 今から、そっち行く!」
「え……レックス!? なんで、こんな場所に?」
ひょいっと上から覗いた顔が見えて、私は驚いた。
ここに迎えに来てくれるとしたら、きっとグスタフだろうと思っていたからだ。彼はこの先の薬草が採れる高原も教えているし、私が薬草採りに行った事だって知っている。
「お前がなかなか帰って来ないから、皆探してる。俺は手分けして……この森に来た」
レックスはなんでもないことのように、私の居る崖の下までタンっと音をさせて降り立った。
「そうなんだ……ありがとう。レックス」
もごもごしてお礼を言うしか出来ないけど……レックスとは、二人きりであまり会いたくなかった私は、喜び満載という笑顔にはなれなかった。
「いや……助けに来たのが、俺じゃない方が良かった?」
予想外のことを聞かれ、私は驚いた。そんなこと、レックスに言われるなんて、思ってもみなかったから。
「え? ……何言ってんの。そんな訳ないでしょう。レックスに来て貰えて、嬉しいよ。怪我して上がれなくて」
「ふーん……まあ、別に良いけどさ。最近俺と話してくれないから。デルフィーヌ」
「……レックスは私以外にも、仲良しな子、いっぱい居るでしょう」
私はその他大勢として勇者レックスが大好きな女の子たちの中に、加わるつもりなんて絶対ない。
「なんだよ。その言い方……俺はデルフィーヌを、誰とも比べたりなんてしないよ」
「そんな事言ってないってば。レックスは、私じゃなくても……たくさん居るでしょう」
ほら……そろそろ知り合う予定の本命の聖女様とか、ツンデレ魔法使いとか、スタイル抜群のエルフ族とか。
「居ないよ。何の話? 俺のこと、そんなに嫌なの?」
「良いのっ……もう、帰りましょう」
私は小説の内容を知っているけど、レックスは知らない。
知らない人に説明する訳にもいかないし、何を言っても一緒だ。レックスはいなすように話を終わらされてムッとした様子だったけど、私の前に跪き、くじいた足首の治療をしてくれた。
「……はい。背負うから、俺の首に手を回せる? 絶対に離すなよ」
「離さないわよ。私が死んじゃうもの」
心配性のレックスに、私は揶揄うように言った。彼は小さな突起を器用に足場として使って、いとも簡単にするすると崖を登っていく。
「あ。胸当たってる。大きくなった?」
「成長してるんだから、ならないと、おかしいでしょ? 手を離して良いの?!」
揶揄うように笑って彼が怒った私の顔を見た瞬間、レックスの顔色が変わった。
「まずい……デルフィーヌ。急いで上がるから、絶対に俺を離すなよ」
私はそれが不思議に思って、彼と同じように振り返れば、そこには空飛ぶ鳥の魔物。しかも、高レベルで有名で……この森では、一番に強いとされるガルーダだったのだ。
レックスは慌てて速度を上げたけど、向こうは私たちを完全に狙っている様子だったし……攻撃されるなら、私の背中だった。
何かパーンと弾けるような大きな音がしたと思えば、ガルーダは別方向へと逃げ去っていた。
「え? 良かった。レックス、助かったわ!」
その間に崖を登り切ったレックスは、肩で息をしながら、怒りの表情で呟いた。
「あいつ……」
……あいつ? 何のことかしら。ガルーダ?
「どうしたの?」
不思議に思って聞くと、レックスは慌てて首を横に振った。
「……いや、なんでもない。それより、俺が街まで背負って帰るよ。それだと歩けないだろ?」
「……? あ。ごめん。レックス。助けてくれて、ありがとう」
変な様子を見せたレックスだけど、結局はいつもの笑顔で私を見たので、私もつられて笑った。
まあ……近い将来は、可愛い女の子たちを侍らせる人だけど、今はただの素敵な幼馴染みだもんね。
助けてくれて格好良かったし、幼馴染みの役得として目の保養と心の潤いをさせて貰おう……!
「あー……もう……やっちゃった。これだと上がれないし……どうしよう」
私はいつもの薬草取りに行っていた時、崖上の道で足を踏み外し、小さな崖から落ちてしまった。
足をくじいてしまったから、とっかかりを利用してなんて上がれないし……深い森の中で薬草取りの目的でもないとこんな場所に通りかかるはずもない。
いくら道がある辺りを見上げても、誰も通る訳もない。
私が薬草取りに行っていることは、家族やグスタフだって知っている。あまりに帰りが遅いと思えば、きっと迎えに来てくれるはずだし……。
「デルフィーヌ! 大丈夫か? 今から、そっち行く!」
「え……レックス!? なんで、こんな場所に?」
ひょいっと上から覗いた顔が見えて、私は驚いた。
ここに迎えに来てくれるとしたら、きっとグスタフだろうと思っていたからだ。彼はこの先の薬草が採れる高原も教えているし、私が薬草採りに行った事だって知っている。
「お前がなかなか帰って来ないから、皆探してる。俺は手分けして……この森に来た」
レックスはなんでもないことのように、私の居る崖の下までタンっと音をさせて降り立った。
「そうなんだ……ありがとう。レックス」
もごもごしてお礼を言うしか出来ないけど……レックスとは、二人きりであまり会いたくなかった私は、喜び満載という笑顔にはなれなかった。
「いや……助けに来たのが、俺じゃない方が良かった?」
予想外のことを聞かれ、私は驚いた。そんなこと、レックスに言われるなんて、思ってもみなかったから。
「え? ……何言ってんの。そんな訳ないでしょう。レックスに来て貰えて、嬉しいよ。怪我して上がれなくて」
「ふーん……まあ、別に良いけどさ。最近俺と話してくれないから。デルフィーヌ」
「……レックスは私以外にも、仲良しな子、いっぱい居るでしょう」
私はその他大勢として勇者レックスが大好きな女の子たちの中に、加わるつもりなんて絶対ない。
「なんだよ。その言い方……俺はデルフィーヌを、誰とも比べたりなんてしないよ」
「そんな事言ってないってば。レックスは、私じゃなくても……たくさん居るでしょう」
ほら……そろそろ知り合う予定の本命の聖女様とか、ツンデレ魔法使いとか、スタイル抜群のエルフ族とか。
「居ないよ。何の話? 俺のこと、そんなに嫌なの?」
「良いのっ……もう、帰りましょう」
私は小説の内容を知っているけど、レックスは知らない。
知らない人に説明する訳にもいかないし、何を言っても一緒だ。レックスはいなすように話を終わらされてムッとした様子だったけど、私の前に跪き、くじいた足首の治療をしてくれた。
「……はい。背負うから、俺の首に手を回せる? 絶対に離すなよ」
「離さないわよ。私が死んじゃうもの」
心配性のレックスに、私は揶揄うように言った。彼は小さな突起を器用に足場として使って、いとも簡単にするすると崖を登っていく。
「あ。胸当たってる。大きくなった?」
「成長してるんだから、ならないと、おかしいでしょ? 手を離して良いの?!」
揶揄うように笑って彼が怒った私の顔を見た瞬間、レックスの顔色が変わった。
「まずい……デルフィーヌ。急いで上がるから、絶対に俺を離すなよ」
私はそれが不思議に思って、彼と同じように振り返れば、そこには空飛ぶ鳥の魔物。しかも、高レベルで有名で……この森では、一番に強いとされるガルーダだったのだ。
レックスは慌てて速度を上げたけど、向こうは私たちを完全に狙っている様子だったし……攻撃されるなら、私の背中だった。
何かパーンと弾けるような大きな音がしたと思えば、ガルーダは別方向へと逃げ去っていた。
「え? 良かった。レックス、助かったわ!」
その間に崖を登り切ったレックスは、肩で息をしながら、怒りの表情で呟いた。
「あいつ……」
……あいつ? 何のことかしら。ガルーダ?
「どうしたの?」
不思議に思って聞くと、レックスは慌てて首を横に振った。
「……いや、なんでもない。それより、俺が街まで背負って帰るよ。それだと歩けないだろ?」
「……? あ。ごめん。レックス。助けてくれて、ありがとう」
変な様子を見せたレックスだけど、結局はいつもの笑顔で私を見たので、私もつられて笑った。
まあ……近い将来は、可愛い女の子たちを侍らせる人だけど、今はただの素敵な幼馴染みだもんね。
助けてくれて格好良かったし、幼馴染みの役得として目の保養と心の潤いをさせて貰おう……!
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