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「……ギャレット様、今日のお仕事の方はどうなさったんですか……?」
あの夜、キスというある一線を越えてしまってからの一週間、私とギャレット様との距離は縮まった。
ええ。本当に、近過ぎるくらいに。
私が妃教育を受けている部屋にも、ギャレット様が度々訪れるようになったので、各教科を受け持つ教師たちは困惑しているようだ。
正式な結婚前から王太子にこれほど熱烈な寵愛を受けているのなら、下手な対応は出来ないとでも思ったのか、日々の教育にも教え方が異常に丁寧になってしまった。
いいえ。そうよね。私たちは婚約者なのだから、こういう恋人同士みたいな関係が普通なのかしら……?
今も休憩中に二人で庭園に用意したテーブルへ向かい合って座り、良い香りのするお茶を飲み、シェフの新作だという焼き菓子について適当に感想を言い合ったところ。
私が健康体で特に他の来客もないのなら、ギャレット様の訪れを拒む要素はどこにもない。
そうなの。私。彼のことを、好き過ぎる設定なので。態度には出さないけど。
婚約者って、未来に結婚をすることを約束している二人だということで……けど、私は期間限定なのだけど、ギャレット様本人にそれを言う訳にもいかないし……。
ただの婚約者の身で宮も用意して貰っているから、仮病なんて使う訳にはいかない。もうっ……仕方ないから、この前の池にでも飛び込もうかしら……。
ギャレット様を避ける方法をどうにかして考えてしまう程度には、私は追い詰められていた。
そもそもの依頼主の王妃様に指示を仰いではいるけど、何かご多忙なのか未だ返事がない。
だから、逆らえない立場にある私は彼女から以前指示された通りのことをこなすしかない。
自分が作った訳でもない借金が憎い。
以前から大きく状況は変わっているものの、彼には同じように接するしかない。ええ。そうよ。私。好意を隠しもしないギャレット様を前に、一体どうしたら正解なの?
好き合っている俺たちに何の文句も許さないと言いたげな、この甘い空気! 居たたまれない。逃げ出したい。
「あのっ、ギャレット様だってご多忙の身ですし、良ければ私の方から会いに行きます。ですから……」
身分の高い彼の方から足を運んでもらうなんて申し訳なくて……という話に持って行こうとしたら、ギャレット様はにっこりして微笑んだ。
「俺はローレンに会いたいから、急いで仕事を終わらせた。迷惑だったか?」
率直な『会いたいから』に、胸が高鳴ってしまった。
この人とは結婚しない。この人は違う人と結婚するを十回心の中で唱えたところで、私は平然を装い淡々として彼に言った。
「迷惑な訳は、ありません。ええ。そんなはずありませんわ」
「ローレンは、俺のことが好きだからな」
「えっ? そうですね。ええ。そうです。もちろんです」
不意に気持ちを確認されて、動揺をしてしまった私を見透かすようにして、ギャレット様は鷹揚に頷いた。
あの夜、キスというある一線を越えてしまってからの一週間、私とギャレット様との距離は縮まった。
ええ。本当に、近過ぎるくらいに。
私が妃教育を受けている部屋にも、ギャレット様が度々訪れるようになったので、各教科を受け持つ教師たちは困惑しているようだ。
正式な結婚前から王太子にこれほど熱烈な寵愛を受けているのなら、下手な対応は出来ないとでも思ったのか、日々の教育にも教え方が異常に丁寧になってしまった。
いいえ。そうよね。私たちは婚約者なのだから、こういう恋人同士みたいな関係が普通なのかしら……?
今も休憩中に二人で庭園に用意したテーブルへ向かい合って座り、良い香りのするお茶を飲み、シェフの新作だという焼き菓子について適当に感想を言い合ったところ。
私が健康体で特に他の来客もないのなら、ギャレット様の訪れを拒む要素はどこにもない。
そうなの。私。彼のことを、好き過ぎる設定なので。態度には出さないけど。
婚約者って、未来に結婚をすることを約束している二人だということで……けど、私は期間限定なのだけど、ギャレット様本人にそれを言う訳にもいかないし……。
ただの婚約者の身で宮も用意して貰っているから、仮病なんて使う訳にはいかない。もうっ……仕方ないから、この前の池にでも飛び込もうかしら……。
ギャレット様を避ける方法をどうにかして考えてしまう程度には、私は追い詰められていた。
そもそもの依頼主の王妃様に指示を仰いではいるけど、何かご多忙なのか未だ返事がない。
だから、逆らえない立場にある私は彼女から以前指示された通りのことをこなすしかない。
自分が作った訳でもない借金が憎い。
以前から大きく状況は変わっているものの、彼には同じように接するしかない。ええ。そうよ。私。好意を隠しもしないギャレット様を前に、一体どうしたら正解なの?
好き合っている俺たちに何の文句も許さないと言いたげな、この甘い空気! 居たたまれない。逃げ出したい。
「あのっ、ギャレット様だってご多忙の身ですし、良ければ私の方から会いに行きます。ですから……」
身分の高い彼の方から足を運んでもらうなんて申し訳なくて……という話に持って行こうとしたら、ギャレット様はにっこりして微笑んだ。
「俺はローレンに会いたいから、急いで仕事を終わらせた。迷惑だったか?」
率直な『会いたいから』に、胸が高鳴ってしまった。
この人とは結婚しない。この人は違う人と結婚するを十回心の中で唱えたところで、私は平然を装い淡々として彼に言った。
「迷惑な訳は、ありません。ええ。そんなはずありませんわ」
「ローレンは、俺のことが好きだからな」
「えっ? そうですね。ええ。そうです。もちろんです」
不意に気持ちを確認されて、動揺をしてしまった私を見透かすようにして、ギャレット様は鷹揚に頷いた。
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