純粋な初恋(シリーズあり)

橋本衣

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やっぱり、本当に好きな人、大切な人が居ると強くなれる

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あの日2週間近く経ったが、正直言うと気が滅入っている。
俺のトラウマの元凶が居る、テレビ局に、と思うだけで怖くなるし震えだって止まらなくなる。大丈夫だ、変な事はされない、そう思っていてもあの時の恐怖が嫌悪を思い出してしまうのだ。

さく~、そろそろ収録だけど」

「ぁ、うん、今行く~」

「僕久しぶりにあの番組出るから緊張する~」

いと、言うて1年ぐらい前でしょ、前出たの」

「俺なんて3年前だぞ」

玲央れお、よしよし」

玲央と糸がそばに居るからなんとか大丈夫だけど、ちょっとヤバいかな。
この2人にはまだ言ってない、いや、言えてない。

「!、」

一瞬あの3人の姿が目に入って体が強張る。

「?、朔、どうした?」

「いや、なんでも、ないよ玲央」

「朔、ここ数日顔色悪いけど大丈夫?」

「大丈夫だよ、糸。これぐらいは平気」

「それでも心配なんだぞ~、このテレビ局来るたびに顔色悪いって尋夢ひろむ言ってたし」

「気のせいとは思いたくないけど、朔のその様子見て黙ってはいられないね」

「「「りつさん、あおさん」」」

「もし何か巻き込まれてるってなったら普通に不安なんだよ」

「そうそう、もし朔に辛い思いにあっているってなったら、悲しいんだよ」

そう5人に言われて心が温かくなった。それと同時に申し訳なさを覚えてしまう。
こうやって俺の事を心配してくれてるのに何も言わないのは、ダメだなって思えてくる。

「、、、、ゎ、分かった。言うよ」

「!、本当か?」

「言うけど、収録が終わってからね」

「分かった。でもちゃんと全て言ってもらうからね、僕そのつもりだし」

「今日は夜ご飯ファミレス行こうぜ~」

「ガストにする?それともココス?」

「俺ガストが良い~」

そんな会話をしてから俺達は収録に向かった。少し落ち着いてホッと出来る。正直にちゃんと言おう、と心に決めたから。



「「「「「お疲れ様でした~」」」」」

「朔~、教えろよ~」

「分かってるっての、その前にトイレ」

ドンッ
「わっ、」

俺はそう言って角を曲がろうとしたら、誰かとぶつかって顔を上げる。

「すみませ、、、、ん」

ぶつかった相手の顔を見て俺は言葉を失ってしまった。

「別に、良い、、、、!、」

「ッ」

「おい、鈴木すずき、どうした~、って」

「?、お、へぇ、久しぶりだな~」

あの3人とバッタリと出会してしまって、俺は体が固まる。動きたいのに、動けない、あの時の事を思い出して動けない。

すると、鈴木と呼ばれる先輩が俺の肩を掴む。

「おい、大丈夫、かよ」

「?、朔、どうした、、、、!朔!」

玲央の大きな声が耳に届いた瞬間、ギュッと抱きしめられる。多分、気付いたんだと思う。

「ウチの朔に何の用だよ、クズども」

「酷い言い方~」

「アイドルがそんな言い方するなよな」

「俺はただ、ぁ」

「関係ないから、朔大丈夫か?」

「大丈夫だから、玲央、行くよ」

「でも、」

「良いから、、、、!」

「、、、、分かった」

「失礼しますね」

何とか玲央を説得させてから、その場をすぐに立ち去り、俺は玲央達とファミレスに行き玲央がさっきの事を3人に報告した。

「「「マジ!!?!?」」」

「3人とも声抑えて」

「抑えられるわけないよ!」

「何で、ソイツらが就職してる訳」

「少年院に入ってたんじゃないの??」

「多分出所してたんだと思うぜ。1~2年で出れるって言うし」

「それで、朔はそれを隠してたって事か?」

「ぅ、うん」

「どうする、社長に言う?」

「言わないで!言ったら絶対に心配するし、それに何の被害もないのに、俺の気持ちを優先なんて出来ないし」

俺は顔を俯かせながら段々と声を小さくしながらそう言う。叔父さん達には1番心配させたし、兄さん達にもまた心配とか辛い思いして欲しくない。
そう思っていると、、

「朔、顔上げろ」

「?、」

バチッ

「イタっ」

「バーカ、お前の事が心配でお前の事優先して何が悪い」

顔を上げると、俺のおでこにデコピンする玲央。
玲央の言葉を聞いて俺は目を見開く。
他の3人も同意するように頷く。

あぁ、そっか、みんな玲央達は俺の為に怒るし、俺の為に泣いてくれるし、俺の為に心配してくれるんだもんなぁ。

「、、、、みんな、ありがとう、、、、!」

「じゃあ、社長にいつ報告する?」

「言わなくても良いから、それに、、今の所ところの被害もないのに、言ったら可哀想だし」

「朔は優し過ぎるんだよ、あんな事した奴らに慈悲なんて必要ないと僕は思う!」

「糸と同感。何もされてなくても朔に与えたトラウマは重い」

「律と同じく。辛い時は辛いってちゃんと言うんだぞ、言わなかったら怒るからな」

「分かったってば、碧さん、、、、!でもそうやって言って貰えると、言いやすくはなる」

「「「「言いやすくなくても言うの」」」」

「は、はい、、、、苦笑」

4人の威圧感に俺は思わず苦笑いをしてしまう。俺に過保護なのはマコさんと糸だけで良いんだけどなぁ、メンバーは。そう思いながら届いた料理を食べる。













































「ただいま」

「おかえり」

「朔ちゃーん、おかえり~」

「おかえりなさい、朔君」

そんな日から少ししてから家に帰るとフユさん達が出迎えてきた。

「あれ、秋人あきとさんは??」

「なんか遅くまで仕事が入っちゃったらしいよ」

「そっか、、」

「、、、、朔君、なんか顔色悪くない??」

「ぇ、そうかな」

「うん、なんかここ数日顔色悪くなってるけど、なんかあった?」

「ぇ、いや、そんな事ないよ(嘘だけど)」

無駄と言うか無意識にあの3人のことを気にしていて、気を張ったりしているせいか良く寝れなかったり、ご飯の量が減ったりしてしまう。
それを医者である夏人なつとさんに気づかれてしまうとは。

「医者である俺に隠し事出来るとでも?、明日は休みなんだしちゃんと寝るように」

「、、、、はーい、分かりました」

「それと冬人ふゆと兄様と楓斗ふうと兄様も睡眠不足なんだからちゃんと寝るようにね、、、、分かったね???」

「分かったよ~、夏くーん、顔怖ーい」

「分かった、夏人。朔羅さくら、体調悪くなったらすぐに俺に言うんだぞ?」

「りょ、了解、しました」

そんな会話をするだけで少し気が緩んで落ち着くのは気のせいだろうか。
それにしても、あの3人は全くと言って良いほど俺に何もしない、近づいたり話しかけようとしている感じはあるけど、、、俺の気にしすぎかなぁ。

それから、フユさんの隣で寝ていても眠くなくなくて、俺は1階に降りると、、

「ぁ、秋人さん、お帰りなさい」

「ただいま、朔。どうした?もう夜中の2時だぞ」

「なんか眠れなくてさ」

「そっか、、、、ねぇ、秋人さん」

「ん?、なんだ?」

「もし、、もしトラウマがあって、その、そのトラウマの相手の数年越しに再会していたら、どう思う?」

俺は唐突に、秋人さんにそう質問をする。何で秋人さんなのか、フユさんの方が良いんじゃないか、って思うけど、何故か秋人さんに聞いてしまった。

「まさか、朔にもトラウマが?再会したのか?」

「もし、の話だから、、」

「、、、、、、、、変に避ける、事はしない。相手が変わってなくても変わらなくても相手の動きを見る。相手が変わっていたら、それで良い。変わってなかったら距離を空ける。変に気にする事は相手にも伝わる、と俺は思うな」

秋人さんの言葉にスッと、心に収まる感覚になった。
そっか、そう言うことか。多分フユさんに聞いても、多分こんな答えは言わないし、納得のいく答えも聞けないと俺は思う。

「ありがとう、秋人さん。心がスッとなった」

「?、そうか、、、、朔、早く寝るんだぞ」ナデナデ

「うん、秋人さんもちゃんと寝てね、、、、おやすみ」

それから俺はスッキリとなってグッスリと眠れた。今回は秋人さんのおかげかな。































それから、気付けば6月中旬になり俺はいつも通りの日常を過ごしていた。

「朔~、どう?あの3人」

「大丈夫だよ、おさむ、何もないし」

「それなら良いけど」

「朔が良くても俺達は結構気にするんだからな」

千尋ちひろ、分かったよ笑」

「修君も千尋君も朔君に過保護だよねぇ笑」

「僕達の方が朔に過保護です!」

「何で糸君ドヤ顔なの笑」

柊月ひづき、糸のアレは気にしない方が良い」

昼休みになって修と千尋に聞かれる。2人とも知っているからこそちゃんと心配してくれていて、嬉しい。

何回か撮影であのテレビ局に2人と一緒になった事があるからこそ、ちゃんと気にしてくれているみたい。

「俺らも一応気にしてるけどアイツら朔に何かしようとかしてねーし寧ろ気にしてないって言うか」

「まぁ、就職出来たのに棒には触れないって事なんだろうね」

「相手は人気アイドルで妊婦、そんな相手に怪我をさせた、何てさせたら一気に世間からの非難は免れないよねぇ」

「「「3人とも物騒」」」

「まぁでも俺達も気にしてしまうからこそ、朔の為に動くけどな」

「だね、千尋。何かあったら即連絡、それが普通だからね!」

「分かったよ、修。気を付けます」

「僕何も出来なくてムズムズする」

「柊月も妊婦なんだから、心配してくれているだけで嬉しいからね」

「それなら良いんだけどさぁ」

そんな会話をしていて、俺はホッとしながら気づいたら仕事の時間になってあの3人が居るテレビ局に着いていた。今日は俺1人だった。



「飲み物買いに行こ」

尋夢さんは律さん碧さんの送り迎えに行っているので完全に俺1人なんだよな。
と、思いながら自動販売機で飲み物を買っていると、

「、、、、なぁ、」

「!、」

突然、横から鈴木、先輩、3人の中でリーダーみたいな人が声をかけてきた。俺は驚き体を強張らせてしまい飲み物を落としてしまった。

「あっと、大丈夫か?」

それを落ちる為に受け止める先輩。

「は、はい」

「、、、、あのさ、ちょっと良いか?」

「、、、、はい」

俺は断らず先輩と2人っきりになれる場所に移動した。他の2人は居ないみたいだ。
暫くの沈黙の後、鈴木先輩が突然頭を下げた。

「あの時はすまなかった」

「!」

そう、俺に向かって謝ったのだ。

「今更謝っても仕方ないと思ってる。でも、謝りたかった、許して貰いたいとも思ってない。もう1人の奴には既に謝罪した。許しては貰ってない」

「、、、、その為に、テレビ局に?」

「此処を紹介してくれた人がいて、もしかしたら会えるんじゃないかって思ってた。会えたら謝ろう、会えなくてもどうにかして謝罪の気持ちを伝えよう、そう思ってた」

俺は何も言えなかった。まさか謝られるなんて思わなかったからだ。
その言葉から嘘なんて感じ取れなくて、真実だって分かる。

「ほ、他の2人は?」

「あの2人も反省してる。でも、あの2人はちゃんと謝れると思えない。余計な事を言うかもしれない、ってだからこれ2人からの謝罪文」

「、、、、」

「許して欲しいと思って言ってる訳じゃない。これは俺達の自己満足に近いかもしれない、それでも言いたかった。伝えたかったんだ」

何て言えば良いか、何て言えば俺もこの人も納得するんだ、頭の中で巡られた。
その中で出て納得した言葉は。

「許せるかはまだ分かりません。でも、その気持ちは受け取ります。貴方達が変わろうともあの日の出来事がなかったことには出来ない。、、、、それでも今からの未来の貴方達は違うんだ、それだけは頭の中に入れておきます」

「!、、、、ありがとう、、、、ありがとうございます」

それから俺達は別れた。
完全にスッキリした。過去の事を無かった事にする事は出来ない、だけど、変わる事も出来る。いつまでもあの時に引っ張られるだけじゃ成長なんて出来ないよな。

















拝啓、天国のママ、パパ、咲夜さきや兄さん、雅陽みやび姉さん夫婦、雅之まさゆき兄さん夫婦。

俺はまた一歩、大人になれたと思います。人は変わる事は出来ない、でも変わろうとする事は出来るし、考え方や感じ方、それぞれが成長する事で変化する事はある。俺はそう思う。

「玲央~、糸~、律さん、碧さん」

「「「「?何?」」」」

「完全に解決したからもう大丈夫!」

「え!?何が!?どうやって!!?」

「どうやって解決したのさ!!」

「秘密~笑」

「教えてよ!!!!!!」

「ヤーダね」

「まぁ、朔が解決したんだったらしたって事で良いだろ」

「碧、そう言う問題じゃない!!」

「そうだよ!僕達の知らないところで解決しないでよ!!」

「どこで、いつ、解決したんだよ!」

「言う訳ないでしょ」































































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