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第一部
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しおりを挟む前線へ辿り着いた、メリシャと枢機卿。
そこでは、兵士長が中核となって兵士たちに命じて防壁を維持させ、その後方からほぼ無抵抗の魔物へ聖騎士と神官が交代で聖魔法による攻撃を行う光景が広がっていた。
まだ距離が空いているため、城壁の全容が見えない。
枢機卿には破壊された城門から魔物が次々と溢れるように見えていた。
聖魔法で倒された魔物は光を放って消滅していくが、その空いた穴を埋めるかのように、魔物が押し合って数秒の間に整列してしまった。
とにかく魔物の数を減らすため、交代で聖魔法を放ち続けている。
魔物は築いた防壁から一歩も踏み込んで来ない。
枢機卿は聖騎士と神官の元へ向かい、攻撃範囲を指定していく。
メリシャは狼姿のルーと前線近くへ向かった。
突然の配置転換を命じられた兵士たちは防壁を維持しながら周囲を見渡す。
後方から近付く聖女と聖獣の姿に、兵士はそれぞれの方法で祈りを捧げた。
その光景に微笑みを見せながら、前線へ辿り着いたメリシャはルーに寄り添うように聖魔法を展開させる。
一定のラインから進軍しない魔物は格好の的であり、ルーの構築する魔法陣の射程に満たされていく。
メリシャはルーの作り出す魔法陣へ魔力を捧げ、神秘的な現象をもたらす。
前線を維持していた兵士たちや聖騎士たちも、そして枢機卿も、その光景に言葉を失う。
神々しい光の奔流が周囲一帯を満たしていく。
前線から城壁までの間を起点として構築された魔法陣が徐々に範囲を広げ、辺り一帯をひしめく魔物の群れを呑み込む。
巨大な魔法陣になるまで数分と掛からず、射程範囲が広げられた。
天を突くほどの力強さを肌で感じ取った兵士たちは各々の生存本能から来る警鐘に身を屈めるように地面へ伏せていく。
枢機卿を筆頭とした聖騎士や神官たちは祈祷するかのように手を組み、魔法陣へ向かって頭を垂らす。
それから程なくして、魔法陣の許容量まで聖魔力が充填され、行使された。
辺りを覆い尽くすのは、静かな静寂な空間。
無音。
誰が息をしたのか、誰が息を殺したのか、誰にも知覚できない。
けれど確かに、そこに存在している人外とも思える膨大な力。
その場に居合わせた全員が重圧を感じていた数瞬後、それまで感じていた力の消失に身を竦ませる。
「ーーーぁ。」
誰がその声を発したのか、誰も把握できない中、ふと顔を上げた先に荒野が広がっていた。
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※お知らせ※
次回更新日程:2025年10月30日 17:00・予定
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