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第一部
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顔を上げた彼らが見たのは、それまで存在していた筈の魔物の群れ全てが消滅した光景だった。
倒壊した家屋も、ひしめく魔物の痕跡も、遠くにあった筈の城壁も、何もかもが消え去り、ぽっかりと何も存在しない空間。
まるで大規模な魔法で更地にしたような、そんな違和感を感じないほどの常識外の産物。
兵士たちは自身の目を疑うように、真偽を確かめたい一心で隣同士の仲間を振り返るが、誰も声を出せなかった。
目の合った者は、身振り手振りでジェスチャーをするというシュールな姿が見受けられた。
聖騎士たちは聖女の傍にいる聖獣を、神秘的かつ神々しく佇む姿に見えていた。
手を組み、奇跡ともいえる現象に立ち会えたことに感謝し、強い信仰心と敬意をもって祈りを捧げる。
一方で、額に手を当てて頭を悩ませている者がいた。
その場に居合わせてしまったことへ、自分自身を呪っているのは枢機卿その人であった。
聖女たるメリシャの養父として、魔物を退けたことはとても誇らしいと胸を張って言えるだろう。
同様に養父として、聖獣が居るからと最前線に連れてきてしまったという罪悪感に良心を痛める。
教会の枢機卿という立場と聖女という立場を重んじるならば、前者が正しいのかもしれないと思い浮かべる。
自分自身の中で自問し、答えの出ない問題に嵌ってしまう。
そういった悩みを枢機卿が抱えている内に、現実逃避のように上の空だった兵士たちが徐々に立ち直っていく。
決定的だったのは、ゆっくりと流れる時間を肌で感じていた頃、聖女と聖獣が後退したことだった。
その場は一旦、ほぼ満場一致で解散することが決められた。
安全性を考慮し、見張りを交代制で立たせ、ネリの魔法で結界を拡大させた。
ウィリスタ辺境伯の領都の城門から遠く離れた郊外に位置する森の中にて。
聖女と聖獣による大規模聖魔法で露わとなった洞窟で、何者かが行動を起こそうと活性化していた。
洞窟の中は外から何も見えない。
その不気味な洞窟は人々から所謂、迷宮と言われている存在であった。
送り出した魔物の全滅を受け、しばしの休眠状態へ陥っているのだった。
迷宮内に潜んでいるソレは再戦の日を待っているようだ。
--------------------
※お知らせ※
次回更新日程:2025年11月9日 17:00・予定
次回更新日程:2025年11月10日 17:00・予定変更
ひとこと:諸事情により、1日遅れて更新いたします。読者の方々にはご不便をおかけします。
倒壊した家屋も、ひしめく魔物の痕跡も、遠くにあった筈の城壁も、何もかもが消え去り、ぽっかりと何も存在しない空間。
まるで大規模な魔法で更地にしたような、そんな違和感を感じないほどの常識外の産物。
兵士たちは自身の目を疑うように、真偽を確かめたい一心で隣同士の仲間を振り返るが、誰も声を出せなかった。
目の合った者は、身振り手振りでジェスチャーをするというシュールな姿が見受けられた。
聖騎士たちは聖女の傍にいる聖獣を、神秘的かつ神々しく佇む姿に見えていた。
手を組み、奇跡ともいえる現象に立ち会えたことに感謝し、強い信仰心と敬意をもって祈りを捧げる。
一方で、額に手を当てて頭を悩ませている者がいた。
その場に居合わせてしまったことへ、自分自身を呪っているのは枢機卿その人であった。
聖女たるメリシャの養父として、魔物を退けたことはとても誇らしいと胸を張って言えるだろう。
同様に養父として、聖獣が居るからと最前線に連れてきてしまったという罪悪感に良心を痛める。
教会の枢機卿という立場と聖女という立場を重んじるならば、前者が正しいのかもしれないと思い浮かべる。
自分自身の中で自問し、答えの出ない問題に嵌ってしまう。
そういった悩みを枢機卿が抱えている内に、現実逃避のように上の空だった兵士たちが徐々に立ち直っていく。
決定的だったのは、ゆっくりと流れる時間を肌で感じていた頃、聖女と聖獣が後退したことだった。
その場は一旦、ほぼ満場一致で解散することが決められた。
安全性を考慮し、見張りを交代制で立たせ、ネリの魔法で結界を拡大させた。
ウィリスタ辺境伯の領都の城門から遠く離れた郊外に位置する森の中にて。
聖女と聖獣による大規模聖魔法で露わとなった洞窟で、何者かが行動を起こそうと活性化していた。
洞窟の中は外から何も見えない。
その不気味な洞窟は人々から所謂、迷宮と言われている存在であった。
送り出した魔物の全滅を受け、しばしの休眠状態へ陥っているのだった。
迷宮内に潜んでいるソレは再戦の日を待っているようだ。
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次回更新日程:2025年11月10日 17:00・予定変更
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