もう我慢しなくて良いですか? 【連載中】

青緑 ネトロア

文字の大きさ
111 / 116
第一部

110

しおりを挟む

魔物の群れ全滅の件が落ち着き、それから数日が経過した頃。

魔物が跋扈する外周を結界の中で警戒しつつ、一行は臨時の休息をとることにした。

メリシャは目覚めてから、神官たちに付き添われて快方へ向かっていった。

ルーは常にメリシャが抱き抱えられ、されるがままにされている。

ネリは朝と晩の時間をメリシャの見える場所で羽を休め、日中は迷宮があると思われる箇所を転々と飛び回っていく。

あの犇く魔物の群れを全滅させてから、未だ変化という変化が見られない迷宮。

聖獣が聖女の近くにいても慢心することなく、聖騎士や兵士たちは魔物の動向を目で追っていた。

それぞれ交代で引き継ぐため、疲労感や倦怠感を感じる者が少ない。

何故なら枢機卿を中心に構築された特製の結界で閉ざされた中、神官の献身が関係していたからだ。

引き継ぎを終えた者はメリシャの傍を離れた神官が交互に対応して、小さな怪我から不調まで治療を施していた。

始めこそメリシャが立候補していたが、魔物の群れの件で間近にその奇跡を目にした者ほど、口々に「畏れ多い」と相手から告げられ、やんわりと断られ続けていた。

そのため、神官が対応することが内々に決まる。

この事に落ち込みはしなかったメリシャだったが、頼られないという感覚に幼い心は不慣れで、その想いが行き場を失う場面も密かに表面化した。

危ないと感じたルーがその時その時の判断で溢れ落ちる憂鬱感を聖魔法によって一時的に和らげることで難を逃れ、枢機卿か神官が交互に心のケアをしていった。

気持ちが落ち着いたメリシャが眠りに就くと、枢機卿が天幕の外へ歩いていきーー。

「「「ーーうわぁぁぁ!?」」」

天幕の外にて、幾人かが押し殺した低い声で悲鳴を上げた様が、ルーの張った結界でメリシャの耳に届くことはなかった。

その翌日には兵士長の手ずから忍耐力の訓練が実施されるが、タイミング悪く休息を摂っていたため、メリシャが目にする機会は訪れることがなかった。

数日に及ぶ休息はそれぞれが濃い日々で、一行の団結力に磨きがかかった。

そんなとき、偵察に出ていたネリから「迷宮側に動きあり」との情報が届けられたのだった。

--------------------

※お知らせ※
次回更新日程:2025年11月30日 17:00・予定
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

義妹が聖女を引き継ぎましたが無理だと思います

成行任世
恋愛
稀少な聖属性を持つ義妹が聖女の役も婚約者も引き継ぐ(奪う)というので聖女の祈りを義妹に託したら王都が壊滅の危機だそうですが、私はもう聖女ではないので知りません。

婚約破棄が私を笑顔にした

夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」 学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。 そこに聖女であるアメリアがやってくる。 フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。 彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。 短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。

最初からここに私の居場所はなかった

kana
恋愛
死なないために媚びても駄目だった。 死なないために努力しても認められなかった。 死なないためにどんなに辛くても笑顔でいても無駄だった。 死なないために何をされても怒らなかったのに⋯⋯ だったら⋯⋯もう誰にも媚びる必要も、気を使う必要もないでしょう? だから虚しい希望は捨てて生きるための準備を始めた。 二度目は、自分らしく生きると決めた。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ いつも稚拙な小説を読んでいただきありがとうございます。 私ごとですが、この度レジーナブックス様より『後悔している言われても⋯⋯ねえ?今さらですよ?』が1月31日頃に書籍化されることになりました~ これも読んでくださった皆様のおかげです。m(_ _)m これからも皆様に楽しんでいただける作品をお届けできるように頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします(>人<;)

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!? 元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです

秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。 そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。 いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが── 他サイト様でも掲載しております。

婚約者を寝取った妹にざまあしてみた

秋津冴
恋愛
 一週間後に挙式を迎えるというある日。  聖女アナベルは夫になる予定の貴族令息レビルの不貞現場を目撃してしまう。  妹のエマとレビルが、一つのベットにいたところを見てしまったのだ。  アナベルはその拳を握りしめた――

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。

和泉鷹央
恋愛
 聖女は十年しか生きられない。  この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。  それは期間満了後に始まる約束だったけど――  一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。  二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。  ライラはこの契約を承諾する。  十年後。  あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。  そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。  こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。  そう思い、ライラは聖女をやめることにした。  他の投稿サイトでも掲載しています。

処理中です...