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第一部
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しおりを挟む「私に現場への命令権はありませんから、指示を仰がなくても構いません。」
メリシャは平静を装った顔で静かにそう告げる。
聖獣ルーから受ける畏怖に耐え忍ぶ兵士長はメリシャの御姿に感銘を受ける。
国から派遣された兵士長にとって、教会の勢力とは警戒に値する存在だったからだ。
「私の意見を聞きたいというのであれば、領都に関しては行方知れずの辺境伯閣下に権限があります。これ以上、魔物による被害を減らす意味でも領都を離れるという策に異論ありません。」
教会勢力に対して警戒するが、聖女に限っては敵対することを避けようと決めた兵士長。
決して、聖女の背後に佇む聖獣へ何か思案した訳ではないだろう。
そんな短気を表すルーを眺めるネリは、あとで罰でも与えようなどと思案しているなど誰にも分からないことであった。
会議は兵士長の退出で終わりを迎えた。
残されたメリシャと枢機卿はルーとネリが見つめ合う場から離れて、天幕の端へ身を寄せる。
「メリシャ、お疲れ様だったね。」
「お養父様も枢機卿として頑張っているのですから、私も聖女として出来る限りのことはしないと。」
枢機卿は暫し物思いに耽り、無意識のうちにメリシャの頭を撫で始めた。
「メリシャ、あまり頑張り過ぎないように。埋められるものは私たち大人が頑張るから、メリシャにはメリシャにしかできないことに専念してほしいな。」
メリシャはそんな枢機卿を見上げ、優しく微笑む。
「お養父様が休息を摂られるなら、それも考えますわ。」
枢機卿は無意識に撫でていたことに気が付き、咄嗟に手を引く。
メリシャと枢機卿の間で仲睦まじい雰囲気で満ちる中、即席の会議場に使っていた場所ではーー。
ルーがネリに見つめられていた。
机の上に佇むネリは天幕の床で寝転がるルーに、呆れのような視線を投げかける。
ルーは強い視線を向けるネリから逃れるように、机の下に顔を隠した。
和やかな雰囲気を感じてネリが振り向けば、枢機卿と話すメリシャの姿がある。
ネリとしても主人たるメリシャを想っての行動であれば、大抵のことは見逃したい気持ちも手心くらいにはある。
ただ普段から怠け者なルーが、局所的に役目を果たす姿が生真面目なネリに苛立ちを覚えさせるだけなのだ。
そうしてルーは再びネリから突かれる日が訪れ、メリシャが止めるまで続いたという。
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※お知らせ※
次回更新日程:2025年12月20日 17:00・予定
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