もう我慢しなくて良いですか? 【連載中】

青緑 ネトロア

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第一部

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「ええ。ご両親のことはお任せなさい。そして我が愛し子には、守護者を与えましょう。」

(眷属よ。我が愛し子を護るため、参じなさい。)

女神がメリシャの目前を手を向けると、その場に2体の獣が姿を現した。
1体は子狼の姿を持ち、黒い体毛に薄浅葱うすあさぎ色の瞳でメリシャを眺めている。
1体は小鳥の姿を持ち、緑の羽根に金糸雀かなりあ色の瞳でメリシャを観察している。

「えと。お名前はなんと言うのでしょうか?」

「本来の名はありますが、愛し子に名付けられることを彼らは望んでいます。」

(うーん。どうしよう。)

「まだ時間はあります。ゆっくり考えてみてください。私はご両親を案内しましょう。」

「…はい。」

上目遣いの2体を見ながら悩み続けるメリシャを眺めつつ、女神は2人の案内を始めた。
怪我が癒えても意識の戻らないメリシャの両親を天使に預けた女神は、信心深い信徒を探した。


女神の目には女神に祈る人々が持つ信仰心の強さを見ることができる。
そしてある都市の教会で、指示を出す男に目が留まる。

『そこな信徒よ。』

「っ!これは女神様であらせますか。」

『神託である。心して聞くが良い。』

「はっ。」

(女神の神託は女神の気まぐれが多いが、その多くは民にかかる災いに関わることが多い。此度は何に対してなのか見極めなくては…。)

『此度、我が愛し子を見出した。その愛し子と愛し子の一家が襲われてしもうた。愛し子の願いで一家の安全を第一に考える愛し子に胸を打たれたが、誰を差し向けるべきか悩んでおった。長き信仰心を持つお前に、その任を任せようと思う。良いか?』

「はい。承りました。この命に代えましても、お救いいたします。」

(女神様、お怒りだったなぁ。)

女神の気配が消えた先に向かって祈りを捧げていた男は立ち上がり、教会奥から出て指示を出す。

「聖騎士に告ぐ。全員武装し、表に出よ!」

夜を見回っていた神官や聖騎士は突然の招集命令に慌てふためいて、眠っていた非番の同僚を起こし、教会にいた全員が騎馬を率いて集まった。
都市にいた領民が突然のことに逃げ出す中、男は告げる。

「これより緊急の出動を命じる。命令は走りながら告げるが、女神の思し召しであることを厳命せよ。」

「ですが枢機卿。陽が出てからでも良いのでは…。」

「ならば、お前は残るが良い。私1人でも行くぞ?」

「くっ。行けば良いのでしょう。」

「ーー行くぞ!」

馬に跨った男…枢機卿を前に、聖騎士らは後に続いた。
更にその後ろを神官が続き、強行軍のような一団が領内を駆け巡った。
その報は領地を治める領主に伝わるのに、それほど時間は掛からなかった。
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