もう我慢しなくて良いですか? 【連載中】

青緑 ネトロア

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第一部

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  聖女と枢機卿

女神がメリシャのもとを去った後、子狼と小鳥は思い悩むメリシャに擦り寄った。
メリシャは困惑気味にそっと撫で、その手に頭を寄せる子狼と小鳥を眺めていると、心の内に存在していた不安が弾け飛んていた。

「あなたの名前は、ルー。」

子狼を右手で撫でながら告げると、それまで愛嬌を振り撒いていた子狼はメリシャを見上げて一度頭を縦に振る。

「あなたの名前は、ネリ。」

小鳥を左手で触れながら告げると、先程まで忙しなく周囲を見回していた小鳥はメリシャに顔を合わせて「ピッ」と鳴いた。

『『メリシャ様に戴いた名に恥じぬよう、御護りいたします。』』

子狼と小鳥は示し合わせたように、同時に言葉を発して伝えた。
メリシャは「はい」と答え、安心からかその場に寝転がってしまう。
ルーと名付けられた子狼は一回り大きく身体を変化させて、メリシャの頭を支えるように身体を預ける。
ネリと名付けられた小鳥はメリシャが冷えて風邪を引かないよう、羽根部分のみ大きく広げてメリシャに覆い被さった。
メリシャはルーとネリに包まれて、静かに眠りについた。


その頃、聖騎士や神官を連れた枢機卿は目的地に着こうとしていた。
神官たちは馬に身を任せるのに四苦八苦しているようだったが、乗馬に慣れている聖騎士たちは枢機卿から伝えられた内容に気を引き締める想いで先を急いでいた。
女神に見出された愛し子である聖女を攫うなど、神罰を下されても言い訳のしようがない。
しかし女神が信徒たる枢機卿に任せた事から、事を荒立てるよりも愛し子の救出が優先なのだろうと聖騎士は推測した。
あながち女神が思い付いた事から当たらずといえども遠からず同じと言えるだろう。
一団は近くに見えてきた塔を見つけると、歩みを緩めていき、近くで馬を木に手綱を繋ぐことにした。
神官たちが息を整えるのを待ちながら、偵察に出した軽装備に変えた聖騎士の帰還を待つことにした。
しばらくして神官が息を整えて落ち着きが見えてきた所に、偵察していた聖騎士が戻ってきた。

「この先で盗賊のような者たちが陣を張っている模様と思われます。そしてその手前で大勢が焚き火を囲んでいるのが見えました。塔の周辺は遠くて見えづらかったのですが、数人の見張りがいる模様です。」

「よし。では諸君。急な招集に気を揉んでいるだろうが、これより愛し子様の救出を行う!」

「「「ーーおう!」」」

一団は塔へ向けて、歩を進め始めた。
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