もう我慢しなくて良いですか? 【連載中】

青緑 ネトロア

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第一部

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無事に起こす事もなく、神獣から怒りを買う事もなく、天幕へ寝かす事にある種の達成感を感じた面々は安堵するとともに枢機卿の次の指示を待った。

「聖騎士は捕らえた賊から情報を聞き出せ。愛し子様が目を覚ましたら、御訊きし、真偽を確かめる。」

「はっ。」

「神官は神獣様に伺いを立て、愛し子様の側に控えられるか聞くのだ。ただし、神獣様の機嫌を損ねない事を注視せよ。」

「はっ。」

各々が散っていくのを眺めながら、枢機卿はこれから起きるかもしれない事態に頭を巡らせるのだった。
それから暫くして、神官から愛し子様が目を覚ましたという事を耳にする。


「愛し子様。お目覚めになられたと聞き、馳せ参じました。私は教会にて枢機卿を賜っております、フォーロスと申します。愛し子様のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「はい。私はメリシャです。…あっ!」

「どうしましたか?」

声を上げたメリシャに、一抹の緊張が走る枢機卿。

「えっと、この子はルー。」

メリシャが足下にいた子狼を抱えて、そう告げた。
子狼はメリシャに名を呼ばれて、誇らしそうに胸を張る。
枢機卿は何も見ていない体で聞いているが、知っている事をメリシャに告げる気はない。

「それと、この子はネリ。二匹とも良い子なんです!」

肩に乗った小鳥はメリシャの頬に擦り寄り、メリシャに呼ばれた事を嬉しく感じていた。
微笑みながら紹介するメリシャだが、目の前の枢機卿が子狼と小鳥に睨まれて手に汗を握っているとは気付いていなかった。

「はい、ええと。賊を捕らえて聞き出したところ、御両親も捕えられていたらしいのですが、行方を伺ってもよろしいでしょうか?」

「っ!?」

「ーーああ。辛い思いをされましたのに、配慮が足りず申し訳ありません。すぐにお探しいたしますので、こちらでお休みになられてくださいませ。」

メリシャが怯えるように肩を振るわせる光景に、枢機卿は焦って視線を外して天幕を退出していった。
そのお陰でメリシャが辛い記憶からでなく、真相を隠そうとする思いからだという事を知られずに済んだ。
教会の枢機卿とは街や村にいる神父よりも上の地位に立つ者たちだ。
その階級にある枢機卿に女神と出会ったという荒唐無稽な話を話す気になれなかった。

「お父さんも、お母さんも心配してないかな。」

(大丈夫ですよ、メリシャ様。)

(そうです。きっと女神様が心配ならないよう、手配してくださっている筈です。だから、今は休みましょう?)

「うん。ありがとうね。」

心配するメリシャに寄り添う二体は励ましながら、不安が取り除かれるように願いつつ、メリシャと眠りについた。
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