もう我慢しなくて良いですか? 【連載中】

青緑 ネトロア

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第一部

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「まぁ相手は新興貴族だから誰も知らないだろう。ロス男爵家の長女メリシャ嬢が私の婚約者だ。これに異を唱えることは王家が許さない。ーーでは此度の茶会を楽しんで行ってくれたまえ。」

ーーパチッパチッパチッ

王子から最後の言葉が発言された後、会場中から盛大に拍手が叩かれた。名前の開示だけ行われたが、会場中が新興貴族というだけで、誰のことか把握されていた。
王家の婚約者に男爵家が選ばれたことに不満はあるものの、仮に婚姻する際に他家の養女とすれば下級貴族の地位だったことは打ち消せる。過去には没落貴族の令嬢が婚姻時に公爵家が養女と定めて、婚姻した前例も存在する。
ただし王子の婚約者候補を狙っていた貴族家や令嬢陣営は、婚約者となったメリシャを敵視した。自分達より下位貴族であり、社交デビューもしていない雛が選ばれたことも要因の一つだった。

会場中からの視線や、声を掛けてくる貴族に返事を返す行為に続き、貴族が集まる茶会からプレッシャーを感じていた枢機卿は楽しむことも休むこともできずにいた。
そんな枢機卿を介抱するのはメリシャと神獣らだった。一通り挨拶を済ませた枢機卿を連れて、メリシャは会場を後にした。

会場を歩き回っていた王子に会うこともなく、王宮から出られた一行は教会内で借りている部屋で休むことにした。疲れ果てて神官らが着付けた服装が原形を崩していたが、枢機卿を寝台に寝かせた。高位神官の側付きによる魔法で枢機卿を休ませると、メリシャもルーとネリと横になった。

メリシャが眠りにつき、枢機卿を看病していた神官たちも部屋を去り、誰も近寄らなくなった部屋でルーは寝台を下りて子犬姿から大型犬サイズに変わった。ネリは小鳥姿からメリシャと同等サイズに変わって、ルーの側に佇んだ。

『あの小僧。メリシャ様を見下すような目線を向けていたな。』

『それより私は会場で睨んできた奴らを消したくなったわ。メリシャ様の前でなければーー』

『まぁ、前でなくとも、我々は手を下さん方がええ。どちらにせよ、メリシャ様が悲しむだろう。』

『そうなのよね。メリシャ様はお優しいから。きっと悲しまれるでしょう。少なくとも実害が無ければ手も出せないし。』

『後はコイツがもう少し動ければ良いのだが。無理か?』

『無理でしょう。今回でメリシャ様が孤立したわよ。』

ルーとネリは揃って枢機卿を見つめると、同時に溜め息を吐いた。
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