もう我慢しなくて良いですか? 【連載中】

青緑 ネトロア

文字の大きさ
76 / 116
第一部

75

しおりを挟む
砦へ書簡を送ってから訪問者が訪れることもなく、再び聖騎士による食糧調達が行われる事となった。

適度に魔物の間引きを行い、仮の拠点を充実させていく。

ルーが地上を歩き回り、ネリが上空を飛びまわり、周囲の警戒にあたる。

その間、メリシャは枢機卿に倣って、結界の維持に関わる。
莫大な魔力を注ぐことで強度が増していくが、持久力を鍛えるため励んでいた。

聖騎士が帰還すれば治療にあたり、夜は全員で食事を囲む。

毎夜、楽しげなメリシャを温かく見守るのは枢機卿に留まらず、各々が時々視線を向けている。

和やかな時間は過ぎていった。


ある日、遠くから降りたつ一羽の鳥の脚に手紙が結ばれていた。

手紙を外された鳥はネリのもとへ向かっていった。

手紙を読んだ枢機卿によると、補給物資を運んでいた後続が近付いているという報せだった。

領境に到着した際、砦側に勘付かれないよう用心して報告書を送っていた。

事前に街での待遇を知り得たことが大きく、後発隊は街を一切寄らずに村を転々としながら向かっていた。

荷車など所々に教会を示す刻印が刻まれているため、メリシャ一行よりも分かりやすい風貌であったからだ。

本来なら補給物資を中核に、その日の食糧を分配する予定だったが、立て続けに取り組んだ野営での経験により、現在いまでは自給自足で成り立っている。

手紙に食糧事情を案じる文に、枢機卿は最近の出来事を思い出して天を仰いだ。

新たな手紙を持たせた鳥が飛び立つと、枢機卿は小さく囁いた。

「後発隊が近付いている。何時いつに到着するかは不明だが、受け入れ準備をしよう。」

その言葉を聞き、聖騎士は歓喜を、神官は安堵する。

今は領境に足止めされているが、元々の予定では後発隊を待たず辺境伯領へ入る旅程と一行は聞かされていたからだ。

その日から着実に生活拠点を拡充し、その規模を広げていく。

それは砦でも確認されたようで、距離の離れた枢機卿たちの耳にも聞こえていたが、来訪者が来るまで放置することにした。

拠点はメリシャと聖獣が棲まう天幕を中心と決め、迎える後続の人数分の天幕を用意していく。

後発隊が着き、入領する日も近い。

--------------------

※お知らせ※

次回更新日程:2024年12月15日 17:00・予定

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

義妹が聖女を引き継ぎましたが無理だと思います

成行任世
恋愛
稀少な聖属性を持つ義妹が聖女の役も婚約者も引き継ぐ(奪う)というので聖女の祈りを義妹に託したら王都が壊滅の危機だそうですが、私はもう聖女ではないので知りません。

婚約破棄が私を笑顔にした

夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」 学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。 そこに聖女であるアメリアがやってくる。 フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。 彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。 短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。

最初からここに私の居場所はなかった

kana
恋愛
死なないために媚びても駄目だった。 死なないために努力しても認められなかった。 死なないためにどんなに辛くても笑顔でいても無駄だった。 死なないために何をされても怒らなかったのに⋯⋯ だったら⋯⋯もう誰にも媚びる必要も、気を使う必要もないでしょう? だから虚しい希望は捨てて生きるための準備を始めた。 二度目は、自分らしく生きると決めた。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ いつも稚拙な小説を読んでいただきありがとうございます。 私ごとですが、この度レジーナブックス様より『後悔している言われても⋯⋯ねえ?今さらですよ?』が1月31日頃に書籍化されることになりました~ これも読んでくださった皆様のおかげです。m(_ _)m これからも皆様に楽しんでいただける作品をお届けできるように頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします(>人<;)

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!? 元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです

秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。 そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。 いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが── 他サイト様でも掲載しております。

婚約者を寝取った妹にざまあしてみた

秋津冴
恋愛
 一週間後に挙式を迎えるというある日。  聖女アナベルは夫になる予定の貴族令息レビルの不貞現場を目撃してしまう。  妹のエマとレビルが、一つのベットにいたところを見てしまったのだ。  アナベルはその拳を握りしめた――

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。

和泉鷹央
恋愛
 聖女は十年しか生きられない。  この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。  それは期間満了後に始まる約束だったけど――  一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。  二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。  ライラはこの契約を承諾する。  十年後。  あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。  そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。  こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。  そう思い、ライラは聖女をやめることにした。  他の投稿サイトでも掲載しています。

処理中です...