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第一部
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しおりを挟むーー領境の砦にてーー
メリシャたち一行が荷造りをしていた一方で、砦側では。
「辺境伯の安否は分かっているのか。」
内装からは似つかわしくない執務席に座る老齢の男、この砦の責任者が部下に声をかけている。
「はっ。領都で籠城しつつ、陣頭指揮を取っているとの情報が入っております。将軍閣下は入り込んだ魔物の排除の活動されているらしいです。」
「らしい?ーー情報は密に、正確にしろと言っておるだろう。」
部下は上司の叱咤に萎縮するなか、職務を果たそうと小さな勇気を募らせる。
「領都で暴れている魔物から領民を救うことを優先されているため、見聞きした情報しか得られていません。」
「辺境伯閣下から命令は来ているか?」
「いいえ。入領規制を下されて以降、何も告げられておりません。また、件の書簡への返答は未だありません。」
部下は上司の様子を横顔から窺いつつ、こっそり早く退出したいと内心で呟いていた。
砦の責任者は得られた情報を精査し、今後の取るべき手段に思い悩んでいる。
「教会の御一行はいつ出立されると聞いているか。」
「はっ。門番は、枢機卿から何も聞かされていないようです。遠見の兵士から、荷造りを始めているとの情報が入っております。」
「ふむ、早くて数日中か。なぁ、誰か案内役を連れて行かせた方が良いと思うか?」
「いえ。少なくとも辺境伯閣下より命令がないのであれば、同行者は要らないかと愚行いたします。件の御方からも、そういった話はされていないようですし。」
砦の責任者は頬杖を突きながら、熟考に踏み込む。
「(案内役を誰か付けるべきか。いや、領都までの距離を考えれば食糧が足りないか。だがーー)」
その間、部下が執務室を後にしたことを気付くのは、数刻後のことだった。
ーーとある兵士の独り言ーー
領都から領境の砦に配属された一兵卒。
今は休憩時間で食堂に座っていた。
「なぁ、連中は未だ行かないのか?」
向かいに座る仕事仲間にそう溢す。
「上が許可しないらしいぞ。今は何処もピリピリしてるからな。」
その声は小さく呟いており、大きな声で言えない話題だと窺い知れる。
「さっさと兵役が終わらんかね。」
「任期がまだ溜まっているからな。くれぐれも役職を貰わんようにするしかないだろう。」
「そうだな。早く帰りてぇ。」
そうして休憩時間は、兵士同士の交流で過ぎていくのだった。
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※お知らせ※
次回更新日程:2025年4月24日 17:00・予定
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