もう我慢しなくて良いですか? 【連載中】

青緑 ネトロア

文字の大きさ
92 / 116
第一部

91

しおりを挟む

村長から詳しい話を聞くべく、枢機卿は神官を数人指名して、村の中へ入っていった。

その場に残った聖騎士と神官は簡易的な休憩所を設営し、メリシャと聖獣の憩いの場を設ける。

それを囲むように、支援部隊と歩兵部隊が交代で休憩に入っていく。

村人たちは遠巻きに見ているだけで、一団へ近寄る気配がなかった。

ただ村の子供たちは見慣れない一団に興味津々で、親だと思われる大人に抑えられていた。

特に村人たちが目を惹いたのは、一団の中で最も重要視されている少女・メリシャの存在だった。

同様に、その少女とたわむれている生き物にも不思議と目で追ってしまう。

普段から村の外に出る機会がなく、近くの森でしか動物や生き物を見ることのできない村の子供たち。

そんな子供の好奇心は一挙一動を目で追っていくたび、刺激を受けて近くで見ようと画策する子も現れる。


村の大人が総出で子供を抑えている反面、一団は聖女と聖獣の戯れる養子を目の保養にしながら警護にあたる。

暫く経つと、村の奥から枢機卿が村長と一緒に戻ってきた。

「どうやら、この村の近辺で魔物が暴れているらしい。少々手間が掛かるが、通りがかった縁に討伐してしまおうと思う。」

枢機卿の提案に盛り上がりを見せる仲間たち。

臨時討伐隊は歩兵部隊を中心に組まれ、波状攻撃で森へ突入していく。

ネリがひっそりと森の中へ飛び込み、木々の枝を避けながら威圧で魔物を追い込む。

魔物たちは拓けた場所へ誘導されると、一斉に四方八方から攻撃され、討伐は日をまたがずに終わりを迎えた。

ウィリスタ辺境伯領の領境から長距離の行軍で溜まった鬱憤うっぷんを晴らすかのような、仲間の素早い働きに枢機卿も苦笑いを浮かべていた。

その晩は村長の主催による宴会が開かれた。

村の貯蔵庫を開いて行われた宴会はお祭りのようであった。

傍で眺める枢機卿はその明るい顔を見せるメリシャにほっこりしていた。

宴会は夜が明ける頃に終わりを迎え、一団は村を後にした。

出発前、ネリが見つけた謎の古い樽を村長に引き渡したことで、騒動を未然に防げたことは良い思い出となることだろう。

樽を開けると、中には村の子供が数人入っていた。

幸い、宴会中に行動した所為か、全員が仲良く眠っていたことは言うまでもないだろう。

メリシャを乗せた馬車は一団の先頭を走り、一路領都を目指す。

--------------------

※お知らせ※
次回更新日程:2025年5月24日 17:00・予定
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

義妹が聖女を引き継ぎましたが無理だと思います

成行任世
恋愛
稀少な聖属性を持つ義妹が聖女の役も婚約者も引き継ぐ(奪う)というので聖女の祈りを義妹に託したら王都が壊滅の危機だそうですが、私はもう聖女ではないので知りません。

婚約破棄が私を笑顔にした

夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」 学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。 そこに聖女であるアメリアがやってくる。 フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。 彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。 短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。

最初からここに私の居場所はなかった

kana
恋愛
死なないために媚びても駄目だった。 死なないために努力しても認められなかった。 死なないためにどんなに辛くても笑顔でいても無駄だった。 死なないために何をされても怒らなかったのに⋯⋯ だったら⋯⋯もう誰にも媚びる必要も、気を使う必要もないでしょう? だから虚しい希望は捨てて生きるための準備を始めた。 二度目は、自分らしく生きると決めた。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ いつも稚拙な小説を読んでいただきありがとうございます。 私ごとですが、この度レジーナブックス様より『後悔している言われても⋯⋯ねえ?今さらですよ?』が1月31日頃に書籍化されることになりました~ これも読んでくださった皆様のおかげです。m(_ _)m これからも皆様に楽しんでいただける作品をお届けできるように頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします(>人<;)

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!? 元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです

秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。 そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。 いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが── 他サイト様でも掲載しております。

婚約者を寝取った妹にざまあしてみた

秋津冴
恋愛
 一週間後に挙式を迎えるというある日。  聖女アナベルは夫になる予定の貴族令息レビルの不貞現場を目撃してしまう。  妹のエマとレビルが、一つのベットにいたところを見てしまったのだ。  アナベルはその拳を握りしめた――

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。

和泉鷹央
恋愛
 聖女は十年しか生きられない。  この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。  それは期間満了後に始まる約束だったけど――  一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。  二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。  ライラはこの契約を承諾する。  十年後。  あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。  そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。  こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。  そう思い、ライラは聖女をやめることにした。  他の投稿サイトでも掲載しています。

処理中です...