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第一部
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しおりを挟むウィリスタ辺境伯領の領都内で一晩を過ごした、メリシャたち。
メリシャが目覚める数瞬前、衣服の皺を見つけたルーが繊細な聖魔法で直していく。
目覚めてすぐ、聖魔法の残滓に目敏く気が付いたメリシャから褒められることに感極まっているルー。
その光景を眺めていた神官たちは、穏やかな雰囲気で静かに見守っている。
支度を終えて天幕から出てきたメリシャは領都内の惨状に加え、天幕のある休息所から離れた場所から喧騒が聞こえてきた。
そこへ目を向けると、魔物との戦闘が行われているのが見えた。
近くで会話する兵士たちの話に聞き耳を立てると、聖騎士と兵士の合同で、魔物の間引きが実施されているようだ。
盾と矛による構成で、魔物と接敵する光景にメリシャは怪我をしないか、ハラハラと心配になってしまう。
ワナワナと震えるメリシャにルーが寄り添い、落ち着きを取り戻していく内に戦闘は終えていた。
どうやら聖騎士が大盾で魔物の攻勢を防ぎ、その一瞬にできた隙を狙って兵士が手に持つ武具で攻撃していたように窺えた。
魔物が近寄らない状況を油断せず、時を見極めた順に神官が彼らに駆け寄り、酷い怪我から治癒させていく。
その一方で怪我の軽い者が周囲を見張り、魔物が駆け寄る姿を目視した者は、首から掛けた笛に息を吹き込む。
それが合図のように、神官たちはすぐ天幕まで走って戻ってきた。
天幕のある休憩所一帯はネリの風によって結界が張られている関係上、魔物の被害を一切受け付けない仕組みとなっている。
メリシャの近くまで戻ってきた神官たちは肩で息を荒げつつ呼吸を調え、まるで戦い慣れた戦士のように戦場を目で追っていた。
彼らはメリシャに気付けないほど集中している影響か、彼らだけの空間が出来上がっている。
メリシャはそっとしておこうと、他のことに気が散らないよう静かに後退った。
『………。』
抱えられた子犬のような風貌のルーが腕から降りようとしたが、メリシャにグッと引き留められ、抜け出すタイミングを逃す。
「ルー、今は邪魔しないようにしなきゃね。」
メリシャはより一層、ルーを抱えている腕に力を込めてから、枢機卿のいる天幕へと足を向けるのだった。
ルーはメリシャの意を汲んで腕の中に身を委ねるが、その途端に寝息が聞こえ始め、メリシャにクスクスと笑われていたことは本人の知らぬ間の出来事であった。
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※お知らせ※
次回更新日程:2025年9月1日 17:00・予定
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