激甘革命!マジパティ(分割版)

夜ノ森あかり

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勇者クラフティ編

第20話「泣いた鬼メイド!主は灼熱の炎の中へ…」④

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「「瀬戌市くるみの町大字鬼胡桃21-1」…ここで間違いないわね。」

 本来なら雑草が生い茂っているはずの廃墟だが、この屋敷はまるで50年も時が止められた様に、大火事があった日の状態を保っている。この時間帯に制服姿はまずいので、玉菜は念のために用意していたテコンドーの自主トレ用のジャージ姿になっている。



 サン・ジェルマン学園とくるみの町大字鬼胡桃は徒歩で50分ほどかかるため、玉菜はサン・ジェルマン学園前のバス停から路線バスに乗り、途中の瀬戌市役所くるみの支所前で鬼胡桃方面のバスに乗り換え、大字鬼胡桃に入ったところの交差点でバスを降り、屋敷にやってきたのだった。

「汀良さん…私だって、汀良さんと一緒にやりたいこと…いっぱいあったんだよ…」

 玉菜の手には、ティラミスのスマートフォン…そこのメモ帳アプリにはこう書いてあった。





白石しろいしさんへ



 あなたがこのメモを読んだ頃には、私はカオスイーツにされているかもしれません。

 だからこそ、あなただけに私の本当のことをご説明させていただきます。

 元々、私は西幡豆家の屋敷に火をつけた犯人を捜すため、カオスの力を授かりました。

 幹部としての任務を遂行しながらの犯人捜し…それは長い長い悪夢のよう…

 それでも、私は甘夏様のお心を救いたかった…カオスの繁栄などどうでもよかったのです。

 あなたと甘夏様は、人当たりのよい性格が本当によく似ていました。

 できることなら、私はあなたと仲良くなりたかった…それは私のワガママでしょうか?

 もしも、あなたがマジパティに変身し、化け物となった私を見た時…



 その時は、迷わず私を撃ってください。

 私は…浄化するのが絶対にあなたでなければ納得できません。



 汀良瑞希ことティラミス」





 玉菜は既にカバンから飛び出しているフォンダンと共に、廃墟と化した西幡豆家の門をくぐり、ブレイブスプーンを構える。



「マジパティ・スイート・トランスフォーム!!!」



 廃墟の中を進む足を止めぬまま、玉菜は白銀のマジパティ・クリームパフへと姿を変える…ハチミツ色のロングヘアーをポニーテールにまとめたジャージ姿の女子中学生は、みるみるうちに銀髪のロングヘアーをなびかせながら黒と紫を基調としたコスチューム姿の戦うヒロインへと変身したのだった。



「バキッ…」



 無言で壊れたドアをけ破るクリームパフの前には、ただならぬ気配をまとった巨大なティラミスのカオスイーツ…そのカオスイーツこそ、ブラックビターの幹部であるティラミスのカオスイーツ化した姿である。「友達になりたい相手と戦いたくない気持ち」、「マジパティとしてカオスイーツを浄化しなければいけないという使命」…その2つの気持ちが、クリームパフの全身を震わせる。

「白銀のマジパティ…クリームパフ!!!さぁ、汀良さん…勇者の光であなたをお望みどおりにしてあげる…」

 普段とは違う名乗りに戸惑いこそはあるが、一呼吸置いたクリームパフはティラミスが残したメモを思い出すと、覚悟を決めたかのような表情をする。



「かかってきなさいっ!!!!!」





 まるで洗脳されたかのように、カオスイーツと化したティラミスはクリームパフに手裏剣やクナイを一心不乱に投げつけてくる。クリームパフは慣れた仕草で次々とかわしていくが、全くと言っていいほど焦点が定まらない。



「ドゴッ…」



「かはっ…」

 カオスイーツ化したティラミスの腕がクリームパフの腹部に直撃し、クリームパフは廃墟の本棚に激突した。本棚には炭と化した本が並んでおり、クリームパフが激突した衝撃で炭は砕け、クリームパフは灰を被り、思いっきり咳き込む。

「クリームパフ…ミルフィーユ達を…」

 フォンダンはクリームパフを心配するあまり、ミルフィーユ達を呼ぶことを提案するが…

「ダメよ!今回だけは…私1人で浄化しなくちゃいけないの…汀良さんが…そう望んでいるんだから…」

 クリームパフは精霊の言葉を一蹴し、灰をぬぐいながら再び立ち上がり、クリームグレネードを構える。狙いは勿論、カオスイーツと化したティラミスだ。クリームパフは時間の経過も構わず、カオスイーツ化したティラミスの攻撃をかわしつつ応戦し続ける。



「バキバキバキっ…」



 クリームパフの足元から大きな音がした瞬間、彼女の足元から褐色のうねうねしたような物体が彼女の脚と腕に絡みつき、その拍子にクリームパフはクリームグレネードを落としてしまった。

「しまった…」

 瞬く間にクリームパフは触手のような物体によって持ち上げられ、彼女の姿を見るなり、聞き覚えのある高笑いが廃墟に響き渡る。



「どちらも無様な姿だね!!!ティラミス…マジパティを潰すチャンスだ!その姿でぶちのめしてやれ!!!」



 不快な香水のニオイ…ティラミスがクグロフを嫌うのも納得がいく。フォンダンに至っては、精霊サイズの洗濯ばさみで鼻をつまんでいる。

「なんて…余計な真似を…」

「ここに再び火が付くのを、もう一度拝んでみたいのさ!!!だが、そこにマジパティとティラミスがいては邪魔でな…あらかじめ地下室で冷凍睡眠させておいた廃墟マニア達をカオスイーツにしてやったのさ!」

 クグロフの言葉に愕然とするクリームパフの身体を、クグロフが生成したキャラメルのカオスイーツの触手がまるで人の手の形に変形しながら這いずり回る。太ももをまさぐり、スカートの中へ手を入れ、さらにコスチュームの中へともぐりこみ、彼女の胸を覆う白い布は、あっけなくずらされてしまった。

「くっ…汀良さんを…」







「ティラミスを助ける事はできないのか」…クリームパフの脳裏にそう思った刹那、彼女の視界にピンク、黄色、水色の3色の光が入り込む。



「プディングメテオ!フランベ!!!」

 プディングの掛け声と同時に、炎を纏った球体がキャラメル状のカオスイーツの身体を歪め、クリームパフの全身の動きを封じていた無数の手は、クリームパフを放してしまった。

「やっぱり、クグロフの横やりが入ったようですね。クグロフが出したカオスイーツは私達が相手です!!!」

 プディングがそう言うと、クリームパフを放したカオスイーツの頭上を、今度はミルフィーユとソルベが回転を加えたキックで地下へと引き戻す。

「マジパティスクリューキーーーーーーーーーーーーーック!!!!!」

 その間にミルフィーユはプディングの腕を掴み、一緒に地下へと連れて行った。



「ティラミスの願いをかなえるんでしょ?僕達に構わず続けて!!!」



 その言葉に、クリームパフはホッとした。そして地下に入ったミルフィーユ達は、キャラメルカオスイーツと対峙する。

「大事なタイマン勝負、例え敵同士であっても邪魔するモンじゃねぇぜ!!!」

「禍々しい混沌のスイーツ、勇者の知性でその煮えたぎった頭を冷やしてあげる!!!」

 ソルベの言葉と同時に、3人のマジパティはそれぞれの武器をカオスイーツに向ける。



「3つの心を1つに合わせて…」



 3人がそう叫んだ瞬間、3人の武器は光の粒子となり、それぞれのカラーに合わせた細身の剣・パティブレードに変わった。



「勇者の力を1つの剣に!!!ミルフィーユブレード!!!」

「勇者の愛を1つの剣に!!!プディングブレード!!!」

「勇者の知性を1つの剣に!!!ソルベブレード!!!」



 3人はそれぞれのパティブレードを構え、ピンク、黄色、水色の光をまといつつ、カオスイーツに飛び掛かる。



「マジパティ・トリニティ・ピュニシオン!!!!!」



 瞬く間にキャラメルカオスイーツはピンクの光を纏ったミルフィーユにミルフィーユブレードで縦に斬られ、続いて黄色の光を纏ったプディングにプディングブレードで横に斬られる。そして、最後に水色の光を纏ったソルベによってソルベブレードで斬られた。

「アデュー♪」

 3人が同時にウインクすると、カオスイーツは光の粒子となり、行方不明となっていた心霊マニア、廃墟マニア…そして心霊系OurTuber達の姿へと戻っていき、カオスイーツが浄化された衝撃で地下室の壁が崩壊し、ミルフィーユ達は衝撃の事実を目の当たりにしてしまう。
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