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レインボーポット編
第32話「ビスコッティの裏切り!姉弟のきずなは湘南の海に…」①
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一悟の目の前でビスコッティが黒いもやによって攫われ、瑞希は一悟、涼也、ほなみ、いすみの4人をウッドデッキへ連れていく。突然の不穏な空気に感づいたみるくとユキも、ウッドデッキへ続く。
「今から8年前…私はブラックビターのティラミスとして生活していた頃、この海で千葉柊也に会いました。」
平穏に包まれた夜の海…今の一悟達にとっては、まるで「嵐の前の静けさ」のようだ。
「あの時、彼は大きな岩にしがみつきながら、うわごとのように千葉明日香と勇者クラフティの名前を呼んでおられました…」
「それで、柊ちゃんを…助けたのか?」
一悟の問いに、瑞希は海を見つめながら頷く。
「えぇ…まだ息もありましたし、あとは海岸に打ち上げられた状態で、現地の人間に任せるつもりでした。でも…カオスはそんな千葉柊也を黒いもやの中へ取り込み、ブラックビターの幹部ビスコッティに作り替えてしまったのです。」
瑞希は、カオスによる幹部の生成方法も一悟達に説明する。
カオスが媒体とする人物を黒いもやに取り込み、全身を変形させてしまう程の量のカオスの力を流し込む…それは至ってシンプル且つ、ティラミスなどといった、生成のプロセス見つめながら立ち会う者によっては、想像を絶するような流れだ。
「柊也の時も…マカロン様の時も…ムッシュ・エクレールの時も…雪斗の時も…カオスの黒いもやの中で、何度も何度も骨砕ける音が響くのです…」
「瑞希さん…無理して説明しなくても…」
ブラックビターから離れてから、一層恐怖と化した生成方法…ほなみは瑞希を止めようとするが…
「ほなみさん、お気遣いありがとうございます。ですが、涼也の姉と兄がカオスに囚われているのも同然の状態で、幹部だった頃に見た事、聞いた事を黙っているワケにはいかないんです。私も勇者とマジパティの協力者ですから…」
かつでの主である西幡豆甘夏と一体化し、「人間・汀良瑞希」となった今ではあるが、それでも「勇者及びマジパティと共に戦いたい」…一悟達に話をする瑞希の表情は覚悟に満ちている。
「なので、一悟…次に現れるカオスイーツは、恐らくカオスイーツ化したビスコッティでしょう。その時は…あなたの力で、千葉柊也に戻してくださいっ!!!」
一悟に向かって叫ぶ瑞希は、全身を震わせながら、ウッドデッキから見える烏帽子岩を指さす。そこは柊也が、ブラックビターの一員であったティラミスと接触した場所…
「お願い…します…私にできる事は、あなたをマジパティとして導く事…それだけなんです…」
彼女の言葉に一悟は息を呑み、まるで瑞希の覚悟を受け入れるかのようなきりっとした表情で、烏帽子岩を見つめる。
「俺に迷っているヒマなんてねぇっ!!!あすちゃんも…柊ちゃんも…絶対にカオスから取り戻して見せる!!!」
一悟達がウッドデッキから離れ、屋敷の中へ入ると、リビングがざわついていた。
「どうしたんだ?みるく…」
「いっくん…実は…」
ビスコッティが背負っていたスポーツバッグの中から大きな八面体の黒い水晶が出てきたのである。戸惑う幼馴染の表情を見て、何かを察した一悟は、急いでビスコッティの荷物の方へ赴く。
「明日香っ…どうして…」
大きな黒い水晶の中には、千葉明日香が閉じ込められていたのだった。それはまるで、ビスコッティがブラックビターを裏切った事を決定づける雰囲気だ。
「ビスコッティは千葉柊也として、明日香をカオスから助け出そうとしたのか…」
「兄貴は、姉さんの事を大事にしていたんだ。あの親父に気づかれぬように反発するくらいにな…」
ガレットの呟きに応える涼也の真横で、賢者は黒い水晶を手で触って調べる。
「ふむ…この状態なら…」
「任せろ…カオスから引きずり出すのは得意技だ!!!」
賢者のセリフを遮るかの如く、僧侶は杖を構えるが…
「いや…今回は、僧侶ちゃんの出番じゃない。」
大勇者の言葉が、僧侶の手を止めらせる。
「えっ…親父、こういう時はアンヌの出番じゃ…」
「僧侶ちゃん…本当はブランシュ卿と同じ「プラージュ症候群」なんだろ?海辺の街ではパワーダウンするっていう…」
大勇者の言葉に、僧侶は黙って頷く。
「やっぱり…」
「プラージュ症候群?」
「スイーツ界の病気だ。僧侶ちゃん、食事で漬物とか塩分の多いものは食べないだろ?その影響だ。」
ネロの呟きに、大勇者が分かりやすく答える。
「プラージュ症候群」は大量の塩を浴びたり、潮の香りを嗅ぐと、眩暈や息切れなどを起こすスイーツ界の病気の一つである。遺伝性の病気で、ブランシュ家で生まれた人間の半数はこの病気にかかっている。祖先の呪いもあるアンニンだけではない…弟のジュレも、同じく「プラージュ症候群」だ。
「道理で…調子が狂うわけだ…」
アンニンは、がっくりと肩を落とす。
「そのせいで…目の前の患者を…助けられないなんて…」
今の己の無力さを嘆く僧侶を、女勇者は幼馴染として、アンドロイドは従者としてそっと支える。
「マスター、ここ数日の睡眠時間が足りていないのも、今回力を発揮できなかった一因ですよ?これ以上の無茶はやめてください!!!」
従者の言葉に、アンニンはがっくりと膝を落とす。終業式があった日以降、合宿の準備や、受け持っている茶道部の関係で忙しく、日付が変わる頃に寝て、明け方に起きる生活リズムの繰り返しだったようで、更に茅ケ崎に来てから飲酒の量も多かったため、今回の戦いで不利に陥った原因に繋がった。
「シンシア…明日香は助かるのか?」
「大丈夫よ、ニコラス!ちょーっと荒っぽくなるけど、ニコラス達の明日香を助けたい想いがあれば、あたしの力で助け出す事は可能よ。」
クラフティの質問に、トリュフはにこっと笑いながら親指を立てる。
「だから、明け方まで待ってちょうだい。賢者の力がたまるには朝焼けの光が必要なの。」
「そうか…ありがとう、シンシア。」
「いいって事よ!!!」
「今から8年前…私はブラックビターのティラミスとして生活していた頃、この海で千葉柊也に会いました。」
平穏に包まれた夜の海…今の一悟達にとっては、まるで「嵐の前の静けさ」のようだ。
「あの時、彼は大きな岩にしがみつきながら、うわごとのように千葉明日香と勇者クラフティの名前を呼んでおられました…」
「それで、柊ちゃんを…助けたのか?」
一悟の問いに、瑞希は海を見つめながら頷く。
「えぇ…まだ息もありましたし、あとは海岸に打ち上げられた状態で、現地の人間に任せるつもりでした。でも…カオスはそんな千葉柊也を黒いもやの中へ取り込み、ブラックビターの幹部ビスコッティに作り替えてしまったのです。」
瑞希は、カオスによる幹部の生成方法も一悟達に説明する。
カオスが媒体とする人物を黒いもやに取り込み、全身を変形させてしまう程の量のカオスの力を流し込む…それは至ってシンプル且つ、ティラミスなどといった、生成のプロセス見つめながら立ち会う者によっては、想像を絶するような流れだ。
「柊也の時も…マカロン様の時も…ムッシュ・エクレールの時も…雪斗の時も…カオスの黒いもやの中で、何度も何度も骨砕ける音が響くのです…」
「瑞希さん…無理して説明しなくても…」
ブラックビターから離れてから、一層恐怖と化した生成方法…ほなみは瑞希を止めようとするが…
「ほなみさん、お気遣いありがとうございます。ですが、涼也の姉と兄がカオスに囚われているのも同然の状態で、幹部だった頃に見た事、聞いた事を黙っているワケにはいかないんです。私も勇者とマジパティの協力者ですから…」
かつでの主である西幡豆甘夏と一体化し、「人間・汀良瑞希」となった今ではあるが、それでも「勇者及びマジパティと共に戦いたい」…一悟達に話をする瑞希の表情は覚悟に満ちている。
「なので、一悟…次に現れるカオスイーツは、恐らくカオスイーツ化したビスコッティでしょう。その時は…あなたの力で、千葉柊也に戻してくださいっ!!!」
一悟に向かって叫ぶ瑞希は、全身を震わせながら、ウッドデッキから見える烏帽子岩を指さす。そこは柊也が、ブラックビターの一員であったティラミスと接触した場所…
「お願い…します…私にできる事は、あなたをマジパティとして導く事…それだけなんです…」
彼女の言葉に一悟は息を呑み、まるで瑞希の覚悟を受け入れるかのようなきりっとした表情で、烏帽子岩を見つめる。
「俺に迷っているヒマなんてねぇっ!!!あすちゃんも…柊ちゃんも…絶対にカオスから取り戻して見せる!!!」
一悟達がウッドデッキから離れ、屋敷の中へ入ると、リビングがざわついていた。
「どうしたんだ?みるく…」
「いっくん…実は…」
ビスコッティが背負っていたスポーツバッグの中から大きな八面体の黒い水晶が出てきたのである。戸惑う幼馴染の表情を見て、何かを察した一悟は、急いでビスコッティの荷物の方へ赴く。
「明日香っ…どうして…」
大きな黒い水晶の中には、千葉明日香が閉じ込められていたのだった。それはまるで、ビスコッティがブラックビターを裏切った事を決定づける雰囲気だ。
「ビスコッティは千葉柊也として、明日香をカオスから助け出そうとしたのか…」
「兄貴は、姉さんの事を大事にしていたんだ。あの親父に気づかれぬように反発するくらいにな…」
ガレットの呟きに応える涼也の真横で、賢者は黒い水晶を手で触って調べる。
「ふむ…この状態なら…」
「任せろ…カオスから引きずり出すのは得意技だ!!!」
賢者のセリフを遮るかの如く、僧侶は杖を構えるが…
「いや…今回は、僧侶ちゃんの出番じゃない。」
大勇者の言葉が、僧侶の手を止めらせる。
「えっ…親父、こういう時はアンヌの出番じゃ…」
「僧侶ちゃん…本当はブランシュ卿と同じ「プラージュ症候群」なんだろ?海辺の街ではパワーダウンするっていう…」
大勇者の言葉に、僧侶は黙って頷く。
「やっぱり…」
「プラージュ症候群?」
「スイーツ界の病気だ。僧侶ちゃん、食事で漬物とか塩分の多いものは食べないだろ?その影響だ。」
ネロの呟きに、大勇者が分かりやすく答える。
「プラージュ症候群」は大量の塩を浴びたり、潮の香りを嗅ぐと、眩暈や息切れなどを起こすスイーツ界の病気の一つである。遺伝性の病気で、ブランシュ家で生まれた人間の半数はこの病気にかかっている。祖先の呪いもあるアンニンだけではない…弟のジュレも、同じく「プラージュ症候群」だ。
「道理で…調子が狂うわけだ…」
アンニンは、がっくりと肩を落とす。
「そのせいで…目の前の患者を…助けられないなんて…」
今の己の無力さを嘆く僧侶を、女勇者は幼馴染として、アンドロイドは従者としてそっと支える。
「マスター、ここ数日の睡眠時間が足りていないのも、今回力を発揮できなかった一因ですよ?これ以上の無茶はやめてください!!!」
従者の言葉に、アンニンはがっくりと膝を落とす。終業式があった日以降、合宿の準備や、受け持っている茶道部の関係で忙しく、日付が変わる頃に寝て、明け方に起きる生活リズムの繰り返しだったようで、更に茅ケ崎に来てから飲酒の量も多かったため、今回の戦いで不利に陥った原因に繋がった。
「シンシア…明日香は助かるのか?」
「大丈夫よ、ニコラス!ちょーっと荒っぽくなるけど、ニコラス達の明日香を助けたい想いがあれば、あたしの力で助け出す事は可能よ。」
クラフティの質問に、トリュフはにこっと笑いながら親指を立てる。
「だから、明け方まで待ってちょうだい。賢者の力がたまるには朝焼けの光が必要なの。」
「そうか…ありがとう、シンシア。」
「いいって事よ!!!」
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