秋月の鬼

凪子

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八、

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張り詰めた空気を破ったのは、けたたましい悲鳴だった。

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ」

断末魔の凄まじい叫び声が、鋏で断ち切ったようにぶつりと途切れる。

一体何事かと、騒ぎを聞きつけた者が起き出してきた。

「今度は何じゃ」

「また死人がでたの?」

ざわめく渦をかきわけ、騒ぎの中心へ飛び込んだ常盤は見た。

控室と本丸を繋ぐ橋の傍に転がる遺体。

細い喉に突き刺さった匕首あいくちが、闇に鈍く光っている。

角度から見るに、下から突かれたものと思われた。

春日が近寄り、息絶えていることを確かめると、ごろりと死体を仰向けた。

ひっと悲鳴が上がり、人波が後ずさる。

「これ、たしか、お芙沙って子だったねえ」

常盤はごくりと唾を飲む。

こめかみから血の気が引いた。

「この者は、第一の試練で失格になったはず。まだ城中に留まっていたとは」

追ってきた次姫がやや青ざめた顔で呟く。

常盤は勇気を振り絞って近づくと、死を確かめようと頬に触れた。

飛び出すほど目を剥いて、青紫に変色した唇の間から舌がのぞいている。

白い重たい手足は大根のようだった。

苛烈な言葉を浴びせかけられた記憶が蘇る。

あんなに激しく罵っていた口も動くことはなく、睨みつけてきた目と目が合うこともない。

お芙沙は死んでしまった。

ちっ、と春日が舌打ちする。

死体はまた、どこからともなく現れた覆面の者が素早く運び出していった。








































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