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【延長戦】
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城から出て走っていくと、唯一船を発着できる入江の前に高い塀が立ちはだかっていた。
吉田正義とその護衛たちは、そこで足止めを食らっている。
「博人さんがやってくれたな」
戸上さんが会心の笑みで言う。
恐らくほかのメンバーは管制室を制圧し、プログラマーである古川さんが塀を閉じて港を封鎖したのだ。
これでヘリを飛ばしてやってくる以外、この島から出ることはできない。
「手榴弾を投げてから、俺が先陣で突っ込む。お前は吉田をやれ。できるな」
「はい」
「行くぞ」
戸上さんは言うなり、的確なスローイングで手榴弾を彼ら目がけて投擲した。
耳を塞いで地響きと轟音に耐え、土煙が視界を覆う中、俺たちは銃を撃ちながら突っ込んでいく。
二、三人は手榴弾の直撃を受けて倒れており、吉田をかばうようにして三人が壁になり、吉田自身は二人に脇を抱え
られて、その場から引きずられるようにして後退させられている。
壁となった三人が撃ち返してくるよりも、戸上さんと俺の撃った弾が彼らに当たるほうが早かった。
その場に倒れ伏した三人を見て、俺は吉田の後ろ姿目がけて突っ込んでいく。
あと少し――もう数歩――それでこいつを殺せる。父さんを殺した仇を!
「歩!」
パン、と耳元で破裂するような音がしたかと思うと、俺はその場から吹っ飛んで尻もちをついていた。
俺を突き飛ばしたであろう戸上さんが、赤く染まった腹を押さえている。
みるみるうちにスーツに血が滲んで滴った。
倒れた三人のうち防弾チョッキを着用していた一人が、意識を取り戻して俺を撃ったのだ。
戸上さんはすぐさまそいつの頭を撃ち抜き、ついでにほかの二人の頭を撃って確実にとどめを刺した。
びくびくと死んだ直後の体が無意味に痙攣する。
「戸上さん」
「大丈夫だ」
口元についた返り血を拭い、戸上さんは不敵に笑ってみせた。
後退を続ける吉田と護衛たちだが、その先には封鎖された入江しかない。
手持ちの弾薬も尽きたらしく、彼らはもう撃ってこなかった。
「やめてくれ。もうやめてくれ」
先ほどとは別人のような、弱くしわがれた声で吉田正義は言った。
膝をついて両手を挙げ、怯えた目で懇願してくる。
吉田正義とその護衛たちは、そこで足止めを食らっている。
「博人さんがやってくれたな」
戸上さんが会心の笑みで言う。
恐らくほかのメンバーは管制室を制圧し、プログラマーである古川さんが塀を閉じて港を封鎖したのだ。
これでヘリを飛ばしてやってくる以外、この島から出ることはできない。
「手榴弾を投げてから、俺が先陣で突っ込む。お前は吉田をやれ。できるな」
「はい」
「行くぞ」
戸上さんは言うなり、的確なスローイングで手榴弾を彼ら目がけて投擲した。
耳を塞いで地響きと轟音に耐え、土煙が視界を覆う中、俺たちは銃を撃ちながら突っ込んでいく。
二、三人は手榴弾の直撃を受けて倒れており、吉田をかばうようにして三人が壁になり、吉田自身は二人に脇を抱え
られて、その場から引きずられるようにして後退させられている。
壁となった三人が撃ち返してくるよりも、戸上さんと俺の撃った弾が彼らに当たるほうが早かった。
その場に倒れ伏した三人を見て、俺は吉田の後ろ姿目がけて突っ込んでいく。
あと少し――もう数歩――それでこいつを殺せる。父さんを殺した仇を!
「歩!」
パン、と耳元で破裂するような音がしたかと思うと、俺はその場から吹っ飛んで尻もちをついていた。
俺を突き飛ばしたであろう戸上さんが、赤く染まった腹を押さえている。
みるみるうちにスーツに血が滲んで滴った。
倒れた三人のうち防弾チョッキを着用していた一人が、意識を取り戻して俺を撃ったのだ。
戸上さんはすぐさまそいつの頭を撃ち抜き、ついでにほかの二人の頭を撃って確実にとどめを刺した。
びくびくと死んだ直後の体が無意味に痙攣する。
「戸上さん」
「大丈夫だ」
口元についた返り血を拭い、戸上さんは不敵に笑ってみせた。
後退を続ける吉田と護衛たちだが、その先には封鎖された入江しかない。
手持ちの弾薬も尽きたらしく、彼らはもう撃ってこなかった。
「やめてくれ。もうやめてくれ」
先ほどとは別人のような、弱くしわがれた声で吉田正義は言った。
膝をついて両手を挙げ、怯えた目で懇願してくる。
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