異世界でカイゼン

soue kitakaze

文字の大きさ
254 / 336

第254話 アシナとハルミ

しおりを挟む
 カメに王水の作り方を教えて、金の手配もして、俺とスクナは最初の工房に戻った。ハルミとアシナはそこで仲良く待機していた。

 ふたりとも護衛のはずなんだが、それらしい仕事全然してないな。特にハルミは経験値が稼げるとなると、俺なんかそっちのけだ。

「あの、私たち、まだなにもしてないのですけど」
「経験値をいくつかもらったボソッ」

「護衛が暇ならそれにこしたことはないけどな。けど、俺がガラス屋に行っている間、お前らはなにをやってたんだ?」

「準備運動とかを一緒にやらせてもらったあと、少年チームと一緒に狩りに行きました」
「こちらでは大人の引率なしで、同じ年頃の子供が集まって狩りをするのだそうだ」

「へぇ。引率なしか。危険じゃないのかな?」
「この辺りってすごいんですよ。狩りには最適なんです」
「最適?」

「そう、ちょっと街を離れると、いろんな魔物がわんさかいて」
「草原なんか魔モグラの巣窟でしたね」
「あれは面白かったな。穴を見つけてそこで火を焚くと、あちこちから魔モグラが飛び出してくるんだ。それをこのミノオウハルでビシッと」

 それほど危険じゃない魔物がたくさんいるということだろう。だから子供たちだけで行かせられるのだ。道場よりも実践経験が積めるのは、大きなメリットだろうな。だから、ここの人はあんなに強いのかな?

「ハルミさんはずるいです。私なんか走って走って必死でようやく1匹仕留めるぐらいなのに、1振りで5匹6匹と退治しちゃうんですから」
「ずるいって言われてもな、これは私の力だし」
「ミノオウハルの力ボソッ」
「いーや。これは私にしか使えないのだ。だから私の力だ」

 とってもまずい話をしているようだ。この辺で止めさせないとやっかいな、

「それならユウさん! 私にも作って!」

 ことになったじゃねぇか!! もう。

 ハルミも魔刀のことを、そんなおおっぴらにひけらかすなよ。

「無茶を言うな。お前には魔刀を使うような能力はない。いまは地道に力をつけることだけを考えろ」
「力をつければ良いのですね」

 え?

「力をつけたら、私にも魔刀を作ってくれますね?! 約束ですよ?」

 アイヅの女は怖い。いや、この世界の女はみんな怖いけど。特にフクシマの女は強い(ソースは俺)。うかつなことは言えないな。

「ハルミは特殊なんだよ。去年の秋には、5cmの鉄棒を3本重ねたものを、一刀両断にしたんだぞ。もちろんミノオウハルを使わずにだ」

「え? あの話は魔刀を使わずにだったのですか!? 鉄を?! う、うそ? 私はてっきり」
「それは本当だ。剣技大会のときにやったからな。ハザマ村の人全員が証言してくれるだろう。なんならいまから斬って見せてやってもいいぞ?」

 ハルミの低い鼻が3cmほど高くなった。だが村人全員は言い過ぎだ。
 その前の年には、ただの木の棒を5mも吹っ飛ばしてたってことは内緒だけどな。

「巻き藁の切り口だって見ただろ? あれだけの切れ味がお前に出せるか?」
「ううぅうぅ。あれは……無理です」

「知っての通り、アイヅの判定ではすでに上級に属する腕前だ。男のタノモにも負けない実力がある。その上にクラスチェンジも果たして攻撃魔法も使えるようになっている。さらにイズモの神から直々に識の魔法まで授かっている。アシナがそんな相手と対等なはずはあるまい?」

「それは、その、通りです……」
「もっと精進して、一人前の剣士になったら考えてやろう」
「それは、どのくらいに?」
「エロエロ度がハルミを抜いたら痛いっ!!」

「ユウ!!」
「いたたた。ニホン刀で殴りやがったな。ほんとのことだからいいじゃねぇか!」
「その話は禁句だ! 二度と言うでないぞ」

「じゃあ、アシナ」
「は。はい?」
「胸のサイズが88cmになったら作ってやる」

「は……はち……え?」
「ちなみに、それはハルミのサイズだ」
「そ、それを言……っても別にいいか。いいのか?」

 どうだ、これは事実だ。文句はあるまいて。

「はい! がんばります!」

 あれ、なにをどうがんばると?! まあいいや。

「それでは精進したまえ。男性に揉んでもらうと大きくなるらしいぞ。ちなみに、いまはいくつ痛っ」
「ユウさん、セクハラ発言ですよ」

 今度はスクナにツッコまれた。浜の真砂は尽きるとも、この世にツッコみの種は尽きまじ痛たたのた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。

馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。 元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。 バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。 だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。 アイドル時代のファンかも知れない。 突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。 主人公の時田香澄は殺されてしまう。 気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。 自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。 ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。 魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。

武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!

Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。 裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、 剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。 与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。 兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。 「ならば、この世界そのものを買い叩く」 漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。 冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力―― すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。 弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。 交渉は戦争、戦争は経営。 数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。 やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、 世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。 これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。 奪うのではない。支配するのでもない。 価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける―― 救済か、支配か。正義か、合理か。 その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。 異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。 「この世界には、村があり、町があり、国家がある。 ――全部まとめて、俺が買い叩く」

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

正しい聖女さまのつくりかた

みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。 同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。 一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」 そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた! 果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。 聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。 ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。 仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。

神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。 神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

一流冒険者トウマの道草旅譚

黒蓬
ファンタジー
主人公のトウマは世界の各地を旅しながら、旅先で依頼をこなす冒険者。 しかし、彼には旅先で気になるものを見つけると寄らずにはいられない道草癖があった。 そんな寄り道優先の自由気ままなトウマの旅は、今日も新たな出会いと波乱を連れてくる。

処理中です...