256 / 336
第256話 まさかのヤサカ?
しおりを挟む
「ナガタキ。聞こう。どうして決算書の再提出を拒んだんだ?」
「ぐっう。うわぁぁぁぁぁん」
いや、あの。せっかく泣き止んだのに?
「イズモ公。その件は、参謀たる私から説明いたします」
あんた誰?
「そうなのだ、あんな偉そうなやつはシロトリにまかせて、こっちはイテコマシをするノだ」
「そうだそうだ。あんなのを相手にすることはないのだヨ。続きをやろうず」
「アレはああいう性質なのだゾヨ。気にしたら負けだゾヨ」
お前ら、俺の眷属(イズナは除くが)のくせしやがって大概だな。今度、ソロバンの珠と一緒にかき混ぜて鏡面研磨してやる。で、シロトリっていうのか、こいつは。
「申し遅れました、私はシロトリ。ハクサン家に代々使える執事でございます」
「そうか。シロトリさん。初めてお目にかかる。それで説明とは?」
「はい。決算書の件ですが」
「できているのだろう?」
「それが、まだなのです」
「まだって、書き写すだけのことがか?」
「いえ、まだその前の段階で止まっているのです」
「あの用紙の意味が分からなかったのではなく?」
「ええ、あの紙を見た瞬間にピンときました。なにしろミノウ様の紙ですから」
あ、そうか。ここはミノウにとっては準地元だった。ここでは、あの紙も珍しくはないのだろう。民間でも使っているぐらいの土地柄だった。
「ということは、決算そのものが終わってないってことか。もう期をまたいでいるぞ?!」
「そうなのですが、じつはこの地方では例年、この季節になるとイッコウ一揆が起こるのです。それが今年は特に酷くて」
一向一揆って、あの信長も家康も手を焼いたという浄土……待てよ? もう騙されないんだからね。
「えっと、それは誰かが一気飲み大会をやっているとかいう?」
「一気飲み大会って、なんの話ですか?」
「いや、酒の一気飲み大会のことだろ? それは春を喜ぶお祭りかなんかか? 急性アルコール中毒患者が発生したのなら、良い医者を手配できるぞ?」 魔王だけどな。
「そんなわけの分からないことしませんよ! 一気じゃなくて一揆です。反乱です。クーデターです」
「今度は本物かよ!!」
「なんですか、今度はって」
「あ、いや。なんでもない。くっそまた引っかかったか。で、そんな物騒なことが毎年起こるのか?」
「毎年というわけではありませんが、この季節に多いです。春が近づくとどうしても血が騒ぐようで」
「血が騒ぐって、まるで魔物じゃねぇか」
「魔物ですよ?」
「ふぁぁぁ!?」
「イッコウ、っていう小型の魔物で、妖狐の仲間です」
「キツネかよ! なんでイッコウって名前が付いたんだ?」
「イッコウって鳴くからです」
いままでのネーミングの中では、マシなほうだと言わざるを得ない。
「その妖狐が一揆ってどういうこと?」
「イッコウは、魔物にしては人に懐きやすくて可愛いので、ペットとして人気があります。ただ忠誠心が強すぎて、こうと決めた人以外からはエサを貰うことさえ拒否することがあります」
「犬にもたまにそういうのがいるらしいが。まるでいぬぼくSSのような」
「誰ですか、それ? そんなイッコウを捨てる人が稀にいるのですよ」
「気にしないでくれ。もう亡くなった人だ。しかし、ペットを捨てるなど、そんなやつは死刑にすべきだ!」
「そんな乱暴なこと言わないで下さい。すると、その個体が野生化することがあるのです。そしてそれがイッコウの群れを率いるようになり、この季節に凶暴化して牧場を襲うようになるのです」
「わぁ、それは怖い。なるほどね。それはよく分かったが」
「はい」
「それと決算とどういう関係が?」
「我が国の経常収支は、ほぼそのイッコウに依存しているのです」
「はい?」
「先ほども言いましたが、イッコウは人に良く懐きます。そしてその人に忠誠を誓います。その性質から富裕層に大変好まれるペットなのですよ」
「なるほどね。富裕層ほど人は信じられないだろうからな。癒やしが必要なわけだ」
「しかも、魔物なので眷属化が可能なのです。そのため、孤独なお金持ちさんには特に需要があるのです」
「魔物は眷属にできるんだったな。モナカのぬこのようなものか。人気があるわけだ。それは儲かりそうだな」
「それはもう。個体によりますが、高いものだと1匹100万からします」
「ふぁぁぁぁぁぁ!!!!」
うちのニホン刀並みじゃねぇか。
「一般的なイッコウでも10万は下りません。毛並みが金色のゴールデンイッコウや、しぐさの可愛いジャンガリアンイッコウなどは30万から。超小型のロゴスキーイッコウは輸入品で品薄なせいもあって200万ほどします」
「……まるでハムスターのようなラインナップだことで」
「1匹どないだっか?」
「口調が大阪商人になってんぞ。いらねぇよ。眷属はこいつらだけで間に合っている」
「ノだ?」
「ヨ?」
「ゾヨ?」
いや、最後のは違うから。
「なによ?」
そういやハタ坊もいたっけな!
「お盛んなことで」
「それ、意味が違うから。俺は性豪じゃないから」
「まあ、愛人……じゃなくて眷属はいくらでも持てますからね。それでその捨てられたイッコウが問題なのですが」
「愛人って言いかけやがったな。で、捨てられたイッコウがどうしたって?」
「5年ほど前に捨てられたうちの1匹が、大変なカリスマイッコウだったようでして。そいつが野生のイッコウを率いて群れを作ったのです。そしてこの時期になると決まってイッコウ牧場を襲うようになったのです」
「襲うって人を襲うわけじゃなかったのか」
「人に危害を加えることはめったにありません。なにしろこの話は人の死なない」
「ああ、分かった分かった、そのくだりはもう聞き飽きてるから次を話してくれ」
「物語で……あ、はい。で、昨夜も大がかりなイッコウ一揆が起こって、我が国で3番目の規模を誇る牧場から、ほとんどのイッコウが逃げ出してしまったのです。先月からこれで27件目の被害です」
「それは酷いな。それで決算は?」
「……いったいいままで私はなにをお話して来たのでしょう。その被害金額が確定しないので、決算書が作れないと言ったのですけど」
「ああ、そこに繋がるのか。そんなもんいまの時点で分かっている限りを盛り込めば」
「こうしている現在も、被害は拡大を続けているのですよ」
「現在も?」
そこに急報が入った。
「シロトリ様! またイッコウです。今度はグジョウがやられました!!」
「ほらね?」
「ほらね、とか言ってる場合じゃないだろ。なんとかしろ……え? グジョウ?」
「グジョウは小さい牧場ですが、あそこはレアなイッコウが育つ土地なのです。ああ、また被害が大きくなるのか」
と頭を抱えたシロトリであった。グジョウ、と言えば思い出す。ついこの間行ったばかりだ。そしてやたら骨を折ったっけ。あ、思い出したら古傷が痛むずきずき。
「グジョウって、伝書ブタの牧場もなかったか?」
「おや、良くご存じで。そこのすぐ側です。ヤサカ族という方たちがいて、そこと契約を結んでイッコウを育てていたのです。しかし、そこまでやられたとなると……」
ヤサカってイリヒメとかいう女神が治める村だ。ここででてくるとは、まさかのヤサカ。以前、グジョウのダンジョンを飛び出して迷子になったハルミが、命を助けられたことがあった(197話)な。
俺は会っていないが、ハルミを助けたぐらいなのだから善意の人たちなのであろう。そこも被害にあっているということだ。
これは、冒険者編としては、助けに行かないといけない場面か。
「シロトリ。イッコウってのは、普段はどこに生息している?」
「暗いところを好むので、森の奥やダンジョン内です。眷属化した個体はそうでもないですが」
「ということは、暗闇でも働けるものが必要ということになるか。ハルミ、話は聞いたな?」
「ああ、イリヒメには世話になった。恩返しをしたいと思っていたのだ」
「お前の剣、というかクドウには働いてもらおう。それからオウミ、ミノウ。お前らも来い」
「「分かったノだヨ」」
「あたしも行くよ。ダンジョンならお手の物だ」
「そうだな。ハタ坊も頼む。スクナ」
「はい!! 私も」
「お前は留守番だ。シロトリ、こいつの世話をたのひゅぅひゅひゅ?」
「そういうことを言うのは、この口かこのほっぺか!」
「いひゃひゃひゃい。ひゃなへっての。おまへは留守はんしてほ」
「嫌だ! 一緒に行く!!」
「こちょこちょこちょこちょ」
「きゃははははいやだぁぁぁ、あはははは、ひぃぃふぅふぅへへひゅぁぁ」
「ほうみ、ふくなをこうほく(拘束)ひほ」
「気が進まないノだ。でも命令ならするノだ、ほれ」
「あぁぁぁん、オウミ様のバカぁ!!」
「我を恨むでないノだ。すべてはユウの責任なノだ」
「ほうだぞ、ふくな……手を縛られたからって足の指を俺の口に突っ込むな! どんだけ根性だしてんだ。ぺっぺ。しょっぱい足の指しやがって」
「うぅぅう。私も行くもん。もう、これが最期だもん。これでお別れなのに。だって、最期くらい一緒にいたいもん。ミノウ様?」
「いや、そこで我を呼ばれてもヨ」
「オウミ様?」
「いや、そこで我を呼ばれてもノだ」
「イズナ様?」
「我は残る側のようだゾヨ」
「これ、ほどいてくれないとウエモンに言いつけるからね」
「いや、だってそれはその」
「イズナ様はユウさんとは無関係でしょ?」
「無関係だゾヨ」
「それならいいじゃない!」
「イズナはそのニホン刀をどうしたんだったっけな?」
「うがごげごごごごゾヨゾヨ」
「スクナ、諦めろ。イズナとここで待て」
「嫌っ! 後からでも追いかけるから。絶対に追いかけるから」
「ユウ、スクナがここまで言ってるんだ。連れて行ってやろう。私が守るから大丈夫だ」
「ハ、ハルミさん!!」
「ふぅ。後から追いかけて来られるほうがかえって危険か。オウミ、拘束を解いてやってくれ」
「ほいノだ」
「ユウさんっ」
「泣く子とスクナには勝てないな。みんなで行こう。アシナもイズナも来てくれ。イズナはスクナにずっと付いててくれ」
「了解だゾヨ。まかせるゾヨ」
「あぁ、良かった。忘れられてるかと思いましたよ」 アシナの弁である。
「イズナはもう、ダムとか作っちゃだめだヨ」
「ここでそれを言うでないゾヨ!」
「ぐっう。うわぁぁぁぁぁん」
いや、あの。せっかく泣き止んだのに?
「イズモ公。その件は、参謀たる私から説明いたします」
あんた誰?
「そうなのだ、あんな偉そうなやつはシロトリにまかせて、こっちはイテコマシをするノだ」
「そうだそうだ。あんなのを相手にすることはないのだヨ。続きをやろうず」
「アレはああいう性質なのだゾヨ。気にしたら負けだゾヨ」
お前ら、俺の眷属(イズナは除くが)のくせしやがって大概だな。今度、ソロバンの珠と一緒にかき混ぜて鏡面研磨してやる。で、シロトリっていうのか、こいつは。
「申し遅れました、私はシロトリ。ハクサン家に代々使える執事でございます」
「そうか。シロトリさん。初めてお目にかかる。それで説明とは?」
「はい。決算書の件ですが」
「できているのだろう?」
「それが、まだなのです」
「まだって、書き写すだけのことがか?」
「いえ、まだその前の段階で止まっているのです」
「あの用紙の意味が分からなかったのではなく?」
「ええ、あの紙を見た瞬間にピンときました。なにしろミノウ様の紙ですから」
あ、そうか。ここはミノウにとっては準地元だった。ここでは、あの紙も珍しくはないのだろう。民間でも使っているぐらいの土地柄だった。
「ということは、決算そのものが終わってないってことか。もう期をまたいでいるぞ?!」
「そうなのですが、じつはこの地方では例年、この季節になるとイッコウ一揆が起こるのです。それが今年は特に酷くて」
一向一揆って、あの信長も家康も手を焼いたという浄土……待てよ? もう騙されないんだからね。
「えっと、それは誰かが一気飲み大会をやっているとかいう?」
「一気飲み大会って、なんの話ですか?」
「いや、酒の一気飲み大会のことだろ? それは春を喜ぶお祭りかなんかか? 急性アルコール中毒患者が発生したのなら、良い医者を手配できるぞ?」 魔王だけどな。
「そんなわけの分からないことしませんよ! 一気じゃなくて一揆です。反乱です。クーデターです」
「今度は本物かよ!!」
「なんですか、今度はって」
「あ、いや。なんでもない。くっそまた引っかかったか。で、そんな物騒なことが毎年起こるのか?」
「毎年というわけではありませんが、この季節に多いです。春が近づくとどうしても血が騒ぐようで」
「血が騒ぐって、まるで魔物じゃねぇか」
「魔物ですよ?」
「ふぁぁぁ!?」
「イッコウ、っていう小型の魔物で、妖狐の仲間です」
「キツネかよ! なんでイッコウって名前が付いたんだ?」
「イッコウって鳴くからです」
いままでのネーミングの中では、マシなほうだと言わざるを得ない。
「その妖狐が一揆ってどういうこと?」
「イッコウは、魔物にしては人に懐きやすくて可愛いので、ペットとして人気があります。ただ忠誠心が強すぎて、こうと決めた人以外からはエサを貰うことさえ拒否することがあります」
「犬にもたまにそういうのがいるらしいが。まるでいぬぼくSSのような」
「誰ですか、それ? そんなイッコウを捨てる人が稀にいるのですよ」
「気にしないでくれ。もう亡くなった人だ。しかし、ペットを捨てるなど、そんなやつは死刑にすべきだ!」
「そんな乱暴なこと言わないで下さい。すると、その個体が野生化することがあるのです。そしてそれがイッコウの群れを率いるようになり、この季節に凶暴化して牧場を襲うようになるのです」
「わぁ、それは怖い。なるほどね。それはよく分かったが」
「はい」
「それと決算とどういう関係が?」
「我が国の経常収支は、ほぼそのイッコウに依存しているのです」
「はい?」
「先ほども言いましたが、イッコウは人に良く懐きます。そしてその人に忠誠を誓います。その性質から富裕層に大変好まれるペットなのですよ」
「なるほどね。富裕層ほど人は信じられないだろうからな。癒やしが必要なわけだ」
「しかも、魔物なので眷属化が可能なのです。そのため、孤独なお金持ちさんには特に需要があるのです」
「魔物は眷属にできるんだったな。モナカのぬこのようなものか。人気があるわけだ。それは儲かりそうだな」
「それはもう。個体によりますが、高いものだと1匹100万からします」
「ふぁぁぁぁぁぁ!!!!」
うちのニホン刀並みじゃねぇか。
「一般的なイッコウでも10万は下りません。毛並みが金色のゴールデンイッコウや、しぐさの可愛いジャンガリアンイッコウなどは30万から。超小型のロゴスキーイッコウは輸入品で品薄なせいもあって200万ほどします」
「……まるでハムスターのようなラインナップだことで」
「1匹どないだっか?」
「口調が大阪商人になってんぞ。いらねぇよ。眷属はこいつらだけで間に合っている」
「ノだ?」
「ヨ?」
「ゾヨ?」
いや、最後のは違うから。
「なによ?」
そういやハタ坊もいたっけな!
「お盛んなことで」
「それ、意味が違うから。俺は性豪じゃないから」
「まあ、愛人……じゃなくて眷属はいくらでも持てますからね。それでその捨てられたイッコウが問題なのですが」
「愛人って言いかけやがったな。で、捨てられたイッコウがどうしたって?」
「5年ほど前に捨てられたうちの1匹が、大変なカリスマイッコウだったようでして。そいつが野生のイッコウを率いて群れを作ったのです。そしてこの時期になると決まってイッコウ牧場を襲うようになったのです」
「襲うって人を襲うわけじゃなかったのか」
「人に危害を加えることはめったにありません。なにしろこの話は人の死なない」
「ああ、分かった分かった、そのくだりはもう聞き飽きてるから次を話してくれ」
「物語で……あ、はい。で、昨夜も大がかりなイッコウ一揆が起こって、我が国で3番目の規模を誇る牧場から、ほとんどのイッコウが逃げ出してしまったのです。先月からこれで27件目の被害です」
「それは酷いな。それで決算は?」
「……いったいいままで私はなにをお話して来たのでしょう。その被害金額が確定しないので、決算書が作れないと言ったのですけど」
「ああ、そこに繋がるのか。そんなもんいまの時点で分かっている限りを盛り込めば」
「こうしている現在も、被害は拡大を続けているのですよ」
「現在も?」
そこに急報が入った。
「シロトリ様! またイッコウです。今度はグジョウがやられました!!」
「ほらね?」
「ほらね、とか言ってる場合じゃないだろ。なんとかしろ……え? グジョウ?」
「グジョウは小さい牧場ですが、あそこはレアなイッコウが育つ土地なのです。ああ、また被害が大きくなるのか」
と頭を抱えたシロトリであった。グジョウ、と言えば思い出す。ついこの間行ったばかりだ。そしてやたら骨を折ったっけ。あ、思い出したら古傷が痛むずきずき。
「グジョウって、伝書ブタの牧場もなかったか?」
「おや、良くご存じで。そこのすぐ側です。ヤサカ族という方たちがいて、そこと契約を結んでイッコウを育てていたのです。しかし、そこまでやられたとなると……」
ヤサカってイリヒメとかいう女神が治める村だ。ここででてくるとは、まさかのヤサカ。以前、グジョウのダンジョンを飛び出して迷子になったハルミが、命を助けられたことがあった(197話)な。
俺は会っていないが、ハルミを助けたぐらいなのだから善意の人たちなのであろう。そこも被害にあっているということだ。
これは、冒険者編としては、助けに行かないといけない場面か。
「シロトリ。イッコウってのは、普段はどこに生息している?」
「暗いところを好むので、森の奥やダンジョン内です。眷属化した個体はそうでもないですが」
「ということは、暗闇でも働けるものが必要ということになるか。ハルミ、話は聞いたな?」
「ああ、イリヒメには世話になった。恩返しをしたいと思っていたのだ」
「お前の剣、というかクドウには働いてもらおう。それからオウミ、ミノウ。お前らも来い」
「「分かったノだヨ」」
「あたしも行くよ。ダンジョンならお手の物だ」
「そうだな。ハタ坊も頼む。スクナ」
「はい!! 私も」
「お前は留守番だ。シロトリ、こいつの世話をたのひゅぅひゅひゅ?」
「そういうことを言うのは、この口かこのほっぺか!」
「いひゃひゃひゃい。ひゃなへっての。おまへは留守はんしてほ」
「嫌だ! 一緒に行く!!」
「こちょこちょこちょこちょ」
「きゃははははいやだぁぁぁ、あはははは、ひぃぃふぅふぅへへひゅぁぁ」
「ほうみ、ふくなをこうほく(拘束)ひほ」
「気が進まないノだ。でも命令ならするノだ、ほれ」
「あぁぁぁん、オウミ様のバカぁ!!」
「我を恨むでないノだ。すべてはユウの責任なノだ」
「ほうだぞ、ふくな……手を縛られたからって足の指を俺の口に突っ込むな! どんだけ根性だしてんだ。ぺっぺ。しょっぱい足の指しやがって」
「うぅぅう。私も行くもん。もう、これが最期だもん。これでお別れなのに。だって、最期くらい一緒にいたいもん。ミノウ様?」
「いや、そこで我を呼ばれてもヨ」
「オウミ様?」
「いや、そこで我を呼ばれてもノだ」
「イズナ様?」
「我は残る側のようだゾヨ」
「これ、ほどいてくれないとウエモンに言いつけるからね」
「いや、だってそれはその」
「イズナ様はユウさんとは無関係でしょ?」
「無関係だゾヨ」
「それならいいじゃない!」
「イズナはそのニホン刀をどうしたんだったっけな?」
「うがごげごごごごゾヨゾヨ」
「スクナ、諦めろ。イズナとここで待て」
「嫌っ! 後からでも追いかけるから。絶対に追いかけるから」
「ユウ、スクナがここまで言ってるんだ。連れて行ってやろう。私が守るから大丈夫だ」
「ハ、ハルミさん!!」
「ふぅ。後から追いかけて来られるほうがかえって危険か。オウミ、拘束を解いてやってくれ」
「ほいノだ」
「ユウさんっ」
「泣く子とスクナには勝てないな。みんなで行こう。アシナもイズナも来てくれ。イズナはスクナにずっと付いててくれ」
「了解だゾヨ。まかせるゾヨ」
「あぁ、良かった。忘れられてるかと思いましたよ」 アシナの弁である。
「イズナはもう、ダムとか作っちゃだめだヨ」
「ここでそれを言うでないゾヨ!」
0
あなたにおすすめの小説
毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。
馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。
元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。
バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。
だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。
アイドル時代のファンかも知れない。
突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。
主人公の時田香澄は殺されてしまう。
気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。
自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。
ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。
魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。
武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!
Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。
裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、
剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。
与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。
兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。
「ならば、この世界そのものを買い叩く」
漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。
冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力――
すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。
弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。
交渉は戦争、戦争は経営。
数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。
やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、
世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。
これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。
奪うのではない。支配するのでもない。
価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける――
救済か、支配か。正義か、合理か。
その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。
異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。
「この世界には、村があり、町があり、国家がある。
――全部まとめて、俺が買い叩く」
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
正しい聖女さまのつくりかた
みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。
同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。
一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」
そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた!
果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。
聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」
異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!
理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。
ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。
仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
一流冒険者トウマの道草旅譚
黒蓬
ファンタジー
主人公のトウマは世界の各地を旅しながら、旅先で依頼をこなす冒険者。
しかし、彼には旅先で気になるものを見つけると寄らずにはいられない道草癖があった。
そんな寄り道優先の自由気ままなトウマの旅は、今日も新たな出会いと波乱を連れてくる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる