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第30話 スカ
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どうやらここから『第2章』的ななにかになるようですよ?
ところで。
ずっと忘れていたのだが、実験計画法がうまくいったら「なんでも好きな『者』をやる」とじじいが言ったのだが。
「ユウ、クロムが10kgほど還元が終わったんだが、これをどうすれば良い?」
「えっと、不純物になにがあるか知りたいが、それを調べる方法はあるか?」
言い出すスキがなかなか見つからないのである、ちくしお。
「それはウチでは無理だ。分析屋に出す必要があるが、ちょっとそれは」
「どうした?」
「金がかかる」
そりゃそうですよね。
「じゃあ、精製するとしたら、ここでできるのか?」
「それも無理だ。ウチは原料屋じゃない。精製してくれるところに出すしかないが、それもちょっと」
ちょっとばっかりじゃねぇか!
「それも金がいると?」
「その通り」
クロム鉄鉱の成分は、だいたいクロムと鉄が7:3ぐらいで混ざっている。問題は、それ以外の不純物だ。それがあると、ステンレス鋼を作ったつもりが全然違うもの――つまりは錆びるもの――になりかねない。
だから調査しておきたいのだが、金がないというのは、どうすることもあいきゃんのっと。
「もういっそ、そのまま混ぜちゃおか」
「大丈夫か、そんなことして」
「分からん。ダメ元で少量だけウチの窯で混ぜてみよう。それならそれほど金はかからんだろ」
「すまんな」
「じゃあまず鉱石をなるべく小さく砕いてくれ。そしてふるいに掛けてその粉を鋼に混ぜよう」
「分かった、やってみる。できたら報告するよ」
ということで次の日。クロムと鉄の混ざった粉末が手に入った。
じゃあ、窯に入れて鉄を溶かしてこれを入れて……と言おうとしたのだが、まだ火が付いていない。
「どしたん? 金がないから燃料もないのか?」
「あ、いや。炭はあるんだ。だが焚き付けの薪が足りなくてな、これから手分けして、拾い集めに森に行こうとしているところだ。社長も一緒に行くってさ」
じじいは山に柴刈りに? 童話かよ。
「ユウも一緒に行くか?」
「いや、俺は机上の人間だから、肉体労働はダメだ」
「そうだったな。あ、でも、気分転換にもなるし、薪は別に拾わなくても、シイの実やナツメなんかを採っていても良いぞ」
あ、そうか。ナツメがあるんだったな。あれ、俺大好き。よし、行こう。
ということになった。
森の食べ物に詳しいというアチラを道案内にして、森の中をてくてくと歩く。久しぶりの外出である。そして初めての森である。
舗装こそないが、よく整備されていて歩きやすい道だ。
「そういえば、アチラは召喚魔法とか使えるんだっけ? なにか召喚したことはあるのか?」
「いえ、まだやってません。あれは、中級以上でないとランダム召喚になってしまうので、この辺ではあまり意味ないかなと思って」
「ダメなら、またやればいいじゃないの?」
「ダメなんですよ。召喚するのは生涯に3回までと決められています。だから初級なんかで使いたくないんですよ」
「ふぅん。ということは、アチラはまだ上の魔法師を目指していると?」
「はい、せめて上級にまではなりたいと思ってます。上級になれば生活魔法はすべて使えますからね」
ふぅん。なんだかよく分からない世界だ。ところで生活魔法って?
「一般的なのは、水を出したり火を起こしたり、ですね。」
「おおっ、それは便利じゃないか。いつでもどこでもゆるキャンができるな」
「なんですかそれ。よくそう言われますけどそうでもないんですよ。水だって、何もないところから作れるわけじゃないんです。空気中の水分を集める技術なんです。だから極端に乾燥したところ、例えば砂漠では使えません」
砂漠なんか一番使いたいところだろうに。
「じゃあ、雨が降っていると火もつかないのか?」
「湿度次第ですが、ほぼ無理ですね。火は空気をこすってその摩擦熱を増幅することで起こすんです。空気が湿気っていても気温が低くてもなかなかつきません」
なんて意味のない生活魔法。
「もっともそれができる人もいます。湿度が少なくてもむりやり広いエリアから集めてこられるような強力な魔法師が。この辺りでそれができるのはミノウ様ぐらいですが」
ミノウ様。すごいのがすごくないのか良く分からんな。
「その召喚魔法ってのは、俺には使えないよな?」
「できますよ」
そりゃそうで……あれ? どうして、俺の予想はことごとく外れるのだろう。使えるのかよ!!
「まじで?」
「簡単ですよ。教えましょうか?」
「おおっ、ぜひ頼む。俺は魔法師なんかになるつもりはないし冒険者にもならない。これから先、召喚できなくても別に困らない」
めっき液を毎日なめるなんてまっぴらだしね。
「ただし、注意事項があります」
「ふむふむ」
「これは近くにいる魔物に対してだけ有効です。半径にしてせいぜい100mぐらいでしょう」
「ふむふむ」
「特に初級召喚魔法は、魔物をランダムで召喚してしまいます。選ぶことはできません。そして召喚した魔物は、召喚した人間の脳を借りることで人語を解するするようになると言われています」
「ふむふむふむ」
「それを自分の眷属として従えるには、相手より強い魔力が必要です。万が一、魔物の魔力が召喚者を上回っていた場合には」
「ふむふ……なんか怖いことになりそうだな。止めたほうがよさそうだ」
「お友達になります」
「友達かよ!!」
それならいいか。さっそくやってみよう。従えることができなくても、魔物の友達ならいてもいい。手のひらサイズのエロねーちゃんならいくらいてもいい。
ということになって、手の組み方と呪文を教わった。どうか、手のひらサイズのエロねーちゃんが出ますように。
「お近くの魔物さん、魔物さん。どうか私とお友達になってくださいな。アビラウンケンソワカ」
……もう少し格好良い呪文はなかったのだろうか? てか最後のはなんだ?
「しばらく待ちましょう」
……しばらく……
「待ったぞ?」
「頭の中に誰かが直接話しかけてくるようなことはありませんか?」
「いや、まったく」
「そうですか、ということは」
「ということは?」
「スカ、ですね」
そんなんありかぁぁぁぁ!!
ところで。
ずっと忘れていたのだが、実験計画法がうまくいったら「なんでも好きな『者』をやる」とじじいが言ったのだが。
「ユウ、クロムが10kgほど還元が終わったんだが、これをどうすれば良い?」
「えっと、不純物になにがあるか知りたいが、それを調べる方法はあるか?」
言い出すスキがなかなか見つからないのである、ちくしお。
「それはウチでは無理だ。分析屋に出す必要があるが、ちょっとそれは」
「どうした?」
「金がかかる」
そりゃそうですよね。
「じゃあ、精製するとしたら、ここでできるのか?」
「それも無理だ。ウチは原料屋じゃない。精製してくれるところに出すしかないが、それもちょっと」
ちょっとばっかりじゃねぇか!
「それも金がいると?」
「その通り」
クロム鉄鉱の成分は、だいたいクロムと鉄が7:3ぐらいで混ざっている。問題は、それ以外の不純物だ。それがあると、ステンレス鋼を作ったつもりが全然違うもの――つまりは錆びるもの――になりかねない。
だから調査しておきたいのだが、金がないというのは、どうすることもあいきゃんのっと。
「もういっそ、そのまま混ぜちゃおか」
「大丈夫か、そんなことして」
「分からん。ダメ元で少量だけウチの窯で混ぜてみよう。それならそれほど金はかからんだろ」
「すまんな」
「じゃあまず鉱石をなるべく小さく砕いてくれ。そしてふるいに掛けてその粉を鋼に混ぜよう」
「分かった、やってみる。できたら報告するよ」
ということで次の日。クロムと鉄の混ざった粉末が手に入った。
じゃあ、窯に入れて鉄を溶かしてこれを入れて……と言おうとしたのだが、まだ火が付いていない。
「どしたん? 金がないから燃料もないのか?」
「あ、いや。炭はあるんだ。だが焚き付けの薪が足りなくてな、これから手分けして、拾い集めに森に行こうとしているところだ。社長も一緒に行くってさ」
じじいは山に柴刈りに? 童話かよ。
「ユウも一緒に行くか?」
「いや、俺は机上の人間だから、肉体労働はダメだ」
「そうだったな。あ、でも、気分転換にもなるし、薪は別に拾わなくても、シイの実やナツメなんかを採っていても良いぞ」
あ、そうか。ナツメがあるんだったな。あれ、俺大好き。よし、行こう。
ということになった。
森の食べ物に詳しいというアチラを道案内にして、森の中をてくてくと歩く。久しぶりの外出である。そして初めての森である。
舗装こそないが、よく整備されていて歩きやすい道だ。
「そういえば、アチラは召喚魔法とか使えるんだっけ? なにか召喚したことはあるのか?」
「いえ、まだやってません。あれは、中級以上でないとランダム召喚になってしまうので、この辺ではあまり意味ないかなと思って」
「ダメなら、またやればいいじゃないの?」
「ダメなんですよ。召喚するのは生涯に3回までと決められています。だから初級なんかで使いたくないんですよ」
「ふぅん。ということは、アチラはまだ上の魔法師を目指していると?」
「はい、せめて上級にまではなりたいと思ってます。上級になれば生活魔法はすべて使えますからね」
ふぅん。なんだかよく分からない世界だ。ところで生活魔法って?
「一般的なのは、水を出したり火を起こしたり、ですね。」
「おおっ、それは便利じゃないか。いつでもどこでもゆるキャンができるな」
「なんですかそれ。よくそう言われますけどそうでもないんですよ。水だって、何もないところから作れるわけじゃないんです。空気中の水分を集める技術なんです。だから極端に乾燥したところ、例えば砂漠では使えません」
砂漠なんか一番使いたいところだろうに。
「じゃあ、雨が降っていると火もつかないのか?」
「湿度次第ですが、ほぼ無理ですね。火は空気をこすってその摩擦熱を増幅することで起こすんです。空気が湿気っていても気温が低くてもなかなかつきません」
なんて意味のない生活魔法。
「もっともそれができる人もいます。湿度が少なくてもむりやり広いエリアから集めてこられるような強力な魔法師が。この辺りでそれができるのはミノウ様ぐらいですが」
ミノウ様。すごいのがすごくないのか良く分からんな。
「その召喚魔法ってのは、俺には使えないよな?」
「できますよ」
そりゃそうで……あれ? どうして、俺の予想はことごとく外れるのだろう。使えるのかよ!!
「まじで?」
「簡単ですよ。教えましょうか?」
「おおっ、ぜひ頼む。俺は魔法師なんかになるつもりはないし冒険者にもならない。これから先、召喚できなくても別に困らない」
めっき液を毎日なめるなんてまっぴらだしね。
「ただし、注意事項があります」
「ふむふむ」
「これは近くにいる魔物に対してだけ有効です。半径にしてせいぜい100mぐらいでしょう」
「ふむふむ」
「特に初級召喚魔法は、魔物をランダムで召喚してしまいます。選ぶことはできません。そして召喚した魔物は、召喚した人間の脳を借りることで人語を解するするようになると言われています」
「ふむふむふむ」
「それを自分の眷属として従えるには、相手より強い魔力が必要です。万が一、魔物の魔力が召喚者を上回っていた場合には」
「ふむふ……なんか怖いことになりそうだな。止めたほうがよさそうだ」
「お友達になります」
「友達かよ!!」
それならいいか。さっそくやってみよう。従えることができなくても、魔物の友達ならいてもいい。手のひらサイズのエロねーちゃんならいくらいてもいい。
ということになって、手の組み方と呪文を教わった。どうか、手のひらサイズのエロねーちゃんが出ますように。
「お近くの魔物さん、魔物さん。どうか私とお友達になってくださいな。アビラウンケンソワカ」
……もう少し格好良い呪文はなかったのだろうか? てか最後のはなんだ?
「しばらく待ちましょう」
……しばらく……
「待ったぞ?」
「頭の中に誰かが直接話しかけてくるようなことはありませんか?」
「いや、まったく」
「そうですか、ということは」
「ということは?」
「スカ、ですね」
そんなんありかぁぁぁぁ!!
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