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第138話 オウミのコマ
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「この不器用ものめ!!」
って俺のことなんですけどね。
ほんのちょっとこれにあれをこうするだけなのに、なんでできないのかと。俺の手と作務衣だけがひたすら汚れて行く。
うむ。液体をこういう形で塗りつけるのは無理だ。よし逆転の発想だ。
「おーい。ユウコ。ちょっと手を貸してくれ」
「全然逆転なんかしていないノだ。ただ作業をユウコにやらせようとしているだけなノだ」
「黙ってないと逮捕するぞ」
「はーい。なんですかユウさん」
「あれ、所長って呼ぶことになったじゃなかったのか?」
「なんかしっくり来なくて。もうユウさんでいいやって」
「ユウコがいいなら俺はかまわんが」
「で、なにをするんですか? こんな明るいうちからアレですか?」
「いや、アレはアレでナニだけど。今はコレをソレにしてもらいたい」
「所長。いったいなんの話をしてるんですか?!」
「わぁお、モナカもいたのか。じつはこれをユウコに作ってもらいたくてな」
「これ? ってこのコマのことですか?」
「そう、これをこうしてこんなふうにしてもらいたいんだ。ユウコできるか?」
「ふぅん。これをここに……。じゃ。コマをこう置いて、こうしたらどうですか。ほらほら、ほれほれ。ほにほに。ほーら、できた」
「すごいな、ユウコ!」
「コマを逆さまに置いただけなノだ?」
あとは乾かしてまた塗って乾かしてまた塗って。よーし完成した。ユウコありがと。
そんな艱難辛苦を乗り越えてようやく完成した俺のコマ。
「どこに艱難やら辛苦やらの要素があるノだ?」
「ほとんと私がやったんですよね?」
「いちいちやかましいよ」
「ところで、なんだそのコマは。それは反則ではないノか?」
「いや、ルール違反にはならない。軸を加工するのはダメだが、軸になにかを付けることは許容範囲内だ。ルールを決めた俺が言うのだから間違いない」
「なんか釈然としないノだが、まあ良い。そんなものたいして強そうには思えんノだ」
「ふん、やれば分かるさ」
自信はないけどな。
そしてゲーム開始である。
「じゃ、行くわよ。せーのくるりんぱっ」
ゲームスターターの仕事がすっかり板に付いたモナカである。
かんからぶおぉぉぉんころころ、きんこんかんぶぉぉぉこん。からら。どどどどど。
「よっしゃー!!! 俺の勝ちだぁぁ」
「ユウさん、すごぉい」
「ぶぉぉんって、変な音がするようだが?」
「まさか、あれが強さの秘訣なの? どうして?」
「あっという間に穴に入ったノだ。ただの偶然なノだ」
「お前らはまだまだ修行が足りないのだよわはははは」
「むかっ。たかが12年しか生きてないやつに言われたくないヨ。次は負けないっ」
「そ、そうですかね。次行きますよ! くるりんぱっ」
かんからころぼぉぉぉんころ、きんこんかんこんぶぉぉぉ。からら。どどどどど。
「わははははは。また勝ったぁぁぁ」
「おぉぉ。またユウさんだぁ」
「なんか変な音がしたのだが?」
「あん、またかヨ」
「よぉし、連勝街道一直線! すごいな俺」
俺の6連勝で始まったゲームであったが、調子が良かったのは最初の10回ぐらいだった。
その後は、以前のような大敗ではなくなったものの、急激に成績を落とした。
その日、午前の部 100回での成績である(午前の部だと?)
1位 俺 32勝
2位 モナカ 22勝
3位 ミノウ 16勝
4位 ケント 8勝
5位カンキチ 8勝
6位 ジョウ 8勝
7位 ユウコ 5勝
8位 オウミ 1勝
俺がダントツの1位を飾ったのであったわははははは! ああ、嬉しい。とても嬉しい。おもしれーな、このゲーム。
とはいえ、最初の貯金がものを言っただけで中盤以降はモナカに押されがちであった。俺のコマのカイゼンは、有効期間が短いという欠点があるようだが、それは次のカイゼンネタになってちょうどいい感じである。
少なくとも、俺のカイゼン方向は間違っていなかったことが証明された。このゲームは、コマの重さだけでは決まらない。それが確認できただけでも良いことだった。
ホッカイ国3人衆(カンキチ、ケント、ジョウ)は仲良く8勝ずつとなった。いずれも俺に食われた形だ。カンキチが意外と頑張ったというべきかもしれない。
ミノウは前回より2勝減っただけの16勝と健闘したが、悲惨なのはオウミだった。前回の13勝からわずか1勝のみとなった。
そして安定のユウコである。
「ウソなノだ……。こんなことがあるはずないノだ……」
「落ち込むなっての。犬が西向きゃ尾は下だ」
「それ、なんの慰めにもなっていないノだ」
オウミの凋落理由ははっきりしている。コマが進化していないからだ。
「オウミ、あれからコマになにかしたか?」
「色を塗ったのだ!」
「それ、強さと関係ないよな」
「ユウコがやってたので、そのマネを……」
「ユウコはそれでも5勝してるんだが」
「ううぅぅ。ノだ」
やはりなにもやっていないようだ。他の連中は皆、自分のコマにいろいろな工夫を施し、少しでも強くしようと必死である。
もともと争う気のあまりないユウコ以外は、工作室(もとは倉庫であったのだがいつの間にか工作室になってしまった)とゲーム室(食堂だったのだが)との間を頻繁に行ったり来たりしている。
少しでも重く、重心を低く、回転数を高く、持ちやすく。そんなことを考えながらコマの改良に余念がない。
しかしオウミは、最初の「コマを小さく軽くして隙間を狙う」という戦略から脱皮できていない。それがこの戦績に繋がっているのである。
まあ、ゲームなので、どうでもいいのではあるが。
「よ、よくないノだ!」
「あぁ、びっくりした。いきなり大声を出すなよ」
「ミノウがあんなに勝っているのに、我が負けるのは良くないのだ!」
どんな対抗意識だよ。
「そんなにライバル視してたとは知らなかったぞ。カンキチにも負けているようだが」
「それも良くないのだが、ミノウは特にダメなのだ」
いや、ダメなのはお前のほうだが。
「じゃあ、お前も頑張れよ」
「うぅぅ。どうすればいいのか、さっぱり分からんノだ」
「お前は軸がまだ魔鉄だったころ、魔法をかけていただろ?」
「ノだ」
「それはどんな魔法だった?」
「流動魔法なノだ」
「なんじゃそりゃ」
「あの中央の穴と、我のコマとの間に空気の流れを作ったノだ。そうするとそれに従ってコマが流れて行くノだ」
そんなややこしいことしてたのか。だけどそれって。
「そうなノだ。水ならともかく空気の流れでは、コマを強く引っ張る力は生まれなかったのだ。だけど、それなりに勝てていたノだ。そうだ、このゲームは水の中ですると良いノだ」
「良いノだ、じゃねぇよ。水の中じゃコマが回らんだろうが」
「うぅぅ。負い案だと思ったノに」
「いずれにしても、あのコマじゃダメだ。大きさも高さも最初に戻せ。そのほうがよほど勝率があがあがあがが」
俺に口にコマを入れるな!! 食っちゃうとこだったじゃないか。あぁまずっ。オウミのコマまずっ。ぺぺぺぺ。
「ダメなのだ。あのコマの形状は我のコンセントなのだ。あれだけは譲れないのだ」
「電源をとってどうする。コンセプトだろ。しかし、あれでは重心が高すぎてとても勝負に……。待てよ?」
「じゃあ、軸を太くするのはかまわないよな?」
「我は良いが、軸の加工はダメだったノではないか?」
「加工はダメだが、軸になにかを付加する分にはかまわない。なにかを巻き付けて太くするという手がある。俺だって似たようなことをやってるじゃないか」
「あ、そうか。そうするとどうなるノだ?」
「まず、全体が重くなるし重心が下がる。そして。コマが高い位置にあれば……。他のコマと衝突しないぐらい高くしたらどうだ?」
「どうだ? って言われても困るノだが」
「今よりもっとコマの位置を高くすればいいじゃないか。重心は軸に巻き付け……カンキチが鉛の板があるって言ってたな? それを巻けば重くなるし重心も下がる。あの穴に入るぎりぎりまで太くすればかなりの重量が稼げるはずだ。それに軸の全体が穴に入る必要はない。飛び出ない程度に入ればいいんだ。それなら今のコンダクトは守れるぞ」
「コンセプトではなかったノか?」
「そうすると、コマが小さいということが他のコマと衝突しにくいというメリットになる。従来のサイズだといくら上げても当たるからな。このサイズならコマを回せる範囲で目一杯上に上げてしまえば、他のコマと当たるのは軸だけだ。その細さならコマとコマとの間をすり抜けることも可能になる。どうだ?」
「どうだ? とまた言われても途中からさっぱり分からんのだ。でもまかせたのだ。我のコンデンサーさえ守れるならいいノだ」
「コンセプトだっての」
そんなこんなでツッコみとボケを交代でやりながら、工作室(もと倉庫だが定期)にふたりで入った。しかし鉛を巻こうとするが鉛の板はそこまで薄くはない。一巻きで穴の直径を越えてしまった。それに、カンキチのコマ並みに不細工である。
「わははは。こりゃダメだなオウミ」
「笑いごとではないノだ。お主のアイデアは企画倒れなノだ」
「なにを言うか。俺にはゼンシンとヤッサンという片腕がついているのだぞ」
「片腕にふたりもつけるのではないノだ。それより、こんな遊びにふたりを使って良いノか?」
「遊びじゃない、これも売るものだから仕事の一環だ。ちょっと図面を描くから、それ持って行って作ってもらえ」
「分かったのだ。料金はユウに請きゅぅぅ」
「俺じゃなくて、研究所にだ!」
「今、我がうまいこと言ったのにツッコみはないノか」
「偶然だぞ?」
「そっちはいまいちなノだ?」
むしゃくしゃして書いた。今では反省している。
って俺のことなんですけどね。
ほんのちょっとこれにあれをこうするだけなのに、なんでできないのかと。俺の手と作務衣だけがひたすら汚れて行く。
うむ。液体をこういう形で塗りつけるのは無理だ。よし逆転の発想だ。
「おーい。ユウコ。ちょっと手を貸してくれ」
「全然逆転なんかしていないノだ。ただ作業をユウコにやらせようとしているだけなノだ」
「黙ってないと逮捕するぞ」
「はーい。なんですかユウさん」
「あれ、所長って呼ぶことになったじゃなかったのか?」
「なんかしっくり来なくて。もうユウさんでいいやって」
「ユウコがいいなら俺はかまわんが」
「で、なにをするんですか? こんな明るいうちからアレですか?」
「いや、アレはアレでナニだけど。今はコレをソレにしてもらいたい」
「所長。いったいなんの話をしてるんですか?!」
「わぁお、モナカもいたのか。じつはこれをユウコに作ってもらいたくてな」
「これ? ってこのコマのことですか?」
「そう、これをこうしてこんなふうにしてもらいたいんだ。ユウコできるか?」
「ふぅん。これをここに……。じゃ。コマをこう置いて、こうしたらどうですか。ほらほら、ほれほれ。ほにほに。ほーら、できた」
「すごいな、ユウコ!」
「コマを逆さまに置いただけなノだ?」
あとは乾かしてまた塗って乾かしてまた塗って。よーし完成した。ユウコありがと。
そんな艱難辛苦を乗り越えてようやく完成した俺のコマ。
「どこに艱難やら辛苦やらの要素があるノだ?」
「ほとんと私がやったんですよね?」
「いちいちやかましいよ」
「ところで、なんだそのコマは。それは反則ではないノか?」
「いや、ルール違反にはならない。軸を加工するのはダメだが、軸になにかを付けることは許容範囲内だ。ルールを決めた俺が言うのだから間違いない」
「なんか釈然としないノだが、まあ良い。そんなものたいして強そうには思えんノだ」
「ふん、やれば分かるさ」
自信はないけどな。
そしてゲーム開始である。
「じゃ、行くわよ。せーのくるりんぱっ」
ゲームスターターの仕事がすっかり板に付いたモナカである。
かんからぶおぉぉぉんころころ、きんこんかんぶぉぉぉこん。からら。どどどどど。
「よっしゃー!!! 俺の勝ちだぁぁ」
「ユウさん、すごぉい」
「ぶぉぉんって、変な音がするようだが?」
「まさか、あれが強さの秘訣なの? どうして?」
「あっという間に穴に入ったノだ。ただの偶然なノだ」
「お前らはまだまだ修行が足りないのだよわはははは」
「むかっ。たかが12年しか生きてないやつに言われたくないヨ。次は負けないっ」
「そ、そうですかね。次行きますよ! くるりんぱっ」
かんからころぼぉぉぉんころ、きんこんかんこんぶぉぉぉ。からら。どどどどど。
「わははははは。また勝ったぁぁぁ」
「おぉぉ。またユウさんだぁ」
「なんか変な音がしたのだが?」
「あん、またかヨ」
「よぉし、連勝街道一直線! すごいな俺」
俺の6連勝で始まったゲームであったが、調子が良かったのは最初の10回ぐらいだった。
その後は、以前のような大敗ではなくなったものの、急激に成績を落とした。
その日、午前の部 100回での成績である(午前の部だと?)
1位 俺 32勝
2位 モナカ 22勝
3位 ミノウ 16勝
4位 ケント 8勝
5位カンキチ 8勝
6位 ジョウ 8勝
7位 ユウコ 5勝
8位 オウミ 1勝
俺がダントツの1位を飾ったのであったわははははは! ああ、嬉しい。とても嬉しい。おもしれーな、このゲーム。
とはいえ、最初の貯金がものを言っただけで中盤以降はモナカに押されがちであった。俺のコマのカイゼンは、有効期間が短いという欠点があるようだが、それは次のカイゼンネタになってちょうどいい感じである。
少なくとも、俺のカイゼン方向は間違っていなかったことが証明された。このゲームは、コマの重さだけでは決まらない。それが確認できただけでも良いことだった。
ホッカイ国3人衆(カンキチ、ケント、ジョウ)は仲良く8勝ずつとなった。いずれも俺に食われた形だ。カンキチが意外と頑張ったというべきかもしれない。
ミノウは前回より2勝減っただけの16勝と健闘したが、悲惨なのはオウミだった。前回の13勝からわずか1勝のみとなった。
そして安定のユウコである。
「ウソなノだ……。こんなことがあるはずないノだ……」
「落ち込むなっての。犬が西向きゃ尾は下だ」
「それ、なんの慰めにもなっていないノだ」
オウミの凋落理由ははっきりしている。コマが進化していないからだ。
「オウミ、あれからコマになにかしたか?」
「色を塗ったのだ!」
「それ、強さと関係ないよな」
「ユウコがやってたので、そのマネを……」
「ユウコはそれでも5勝してるんだが」
「ううぅぅ。ノだ」
やはりなにもやっていないようだ。他の連中は皆、自分のコマにいろいろな工夫を施し、少しでも強くしようと必死である。
もともと争う気のあまりないユウコ以外は、工作室(もとは倉庫であったのだがいつの間にか工作室になってしまった)とゲーム室(食堂だったのだが)との間を頻繁に行ったり来たりしている。
少しでも重く、重心を低く、回転数を高く、持ちやすく。そんなことを考えながらコマの改良に余念がない。
しかしオウミは、最初の「コマを小さく軽くして隙間を狙う」という戦略から脱皮できていない。それがこの戦績に繋がっているのである。
まあ、ゲームなので、どうでもいいのではあるが。
「よ、よくないノだ!」
「あぁ、びっくりした。いきなり大声を出すなよ」
「ミノウがあんなに勝っているのに、我が負けるのは良くないのだ!」
どんな対抗意識だよ。
「そんなにライバル視してたとは知らなかったぞ。カンキチにも負けているようだが」
「それも良くないのだが、ミノウは特にダメなのだ」
いや、ダメなのはお前のほうだが。
「じゃあ、お前も頑張れよ」
「うぅぅ。どうすればいいのか、さっぱり分からんノだ」
「お前は軸がまだ魔鉄だったころ、魔法をかけていただろ?」
「ノだ」
「それはどんな魔法だった?」
「流動魔法なノだ」
「なんじゃそりゃ」
「あの中央の穴と、我のコマとの間に空気の流れを作ったノだ。そうするとそれに従ってコマが流れて行くノだ」
そんなややこしいことしてたのか。だけどそれって。
「そうなノだ。水ならともかく空気の流れでは、コマを強く引っ張る力は生まれなかったのだ。だけど、それなりに勝てていたノだ。そうだ、このゲームは水の中ですると良いノだ」
「良いノだ、じゃねぇよ。水の中じゃコマが回らんだろうが」
「うぅぅ。負い案だと思ったノに」
「いずれにしても、あのコマじゃダメだ。大きさも高さも最初に戻せ。そのほうがよほど勝率があがあがあがが」
俺に口にコマを入れるな!! 食っちゃうとこだったじゃないか。あぁまずっ。オウミのコマまずっ。ぺぺぺぺ。
「ダメなのだ。あのコマの形状は我のコンセントなのだ。あれだけは譲れないのだ」
「電源をとってどうする。コンセプトだろ。しかし、あれでは重心が高すぎてとても勝負に……。待てよ?」
「じゃあ、軸を太くするのはかまわないよな?」
「我は良いが、軸の加工はダメだったノではないか?」
「加工はダメだが、軸になにかを付加する分にはかまわない。なにかを巻き付けて太くするという手がある。俺だって似たようなことをやってるじゃないか」
「あ、そうか。そうするとどうなるノだ?」
「まず、全体が重くなるし重心が下がる。そして。コマが高い位置にあれば……。他のコマと衝突しないぐらい高くしたらどうだ?」
「どうだ? って言われても困るノだが」
「今よりもっとコマの位置を高くすればいいじゃないか。重心は軸に巻き付け……カンキチが鉛の板があるって言ってたな? それを巻けば重くなるし重心も下がる。あの穴に入るぎりぎりまで太くすればかなりの重量が稼げるはずだ。それに軸の全体が穴に入る必要はない。飛び出ない程度に入ればいいんだ。それなら今のコンダクトは守れるぞ」
「コンセプトではなかったノか?」
「そうすると、コマが小さいということが他のコマと衝突しにくいというメリットになる。従来のサイズだといくら上げても当たるからな。このサイズならコマを回せる範囲で目一杯上に上げてしまえば、他のコマと当たるのは軸だけだ。その細さならコマとコマとの間をすり抜けることも可能になる。どうだ?」
「どうだ? とまた言われても途中からさっぱり分からんのだ。でもまかせたのだ。我のコンデンサーさえ守れるならいいノだ」
「コンセプトだっての」
そんなこんなでツッコみとボケを交代でやりながら、工作室(もと倉庫だが定期)にふたりで入った。しかし鉛を巻こうとするが鉛の板はそこまで薄くはない。一巻きで穴の直径を越えてしまった。それに、カンキチのコマ並みに不細工である。
「わははは。こりゃダメだなオウミ」
「笑いごとではないノだ。お主のアイデアは企画倒れなノだ」
「なにを言うか。俺にはゼンシンとヤッサンという片腕がついているのだぞ」
「片腕にふたりもつけるのではないノだ。それより、こんな遊びにふたりを使って良いノか?」
「遊びじゃない、これも売るものだから仕事の一環だ。ちょっと図面を描くから、それ持って行って作ってもらえ」
「分かったのだ。料金はユウに請きゅぅぅ」
「俺じゃなくて、研究所にだ!」
「今、我がうまいこと言ったのにツッコみはないノか」
「偶然だぞ?」
「そっちはいまいちなノだ?」
むしゃくしゃして書いた。今では反省している。
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