170 / 179
170 ナーバスになることだってあるわけだ
しおりを挟む
本格的な魔族の復活 にあたり、各国首脳は情報共有のネットワークを構築した。魔族の出現情報、討伐状況、弱点などの情報が各国間でやりとりされるようになった。
通信機器なんかがあるわけじゃないんで即応性には欠けたものの、情報が積み重ねられるにつれてある程度の傾向は掴めるようになったらしい。
そんな中で俺はと言えば、実戦とそこからフィードバックされた訓練に明け暮れていた。たとえ僅かでも昨日の自分よりも強くなることに心血を注いだ、
基本方針はスピードとスタミナの上積み。パワー不足は手数で補う。要は短所には目を瞑り、長所を伸ばして行こうということだ、俺、褒められて伸びるタイプなんだよな。
「実際強くなったよね。転生勇者の中でもトップクラスだと思うわ」
相手をしてくれていたカズサさんはそう言ってくれるが、さすがにそれをそのまま受け止めるほどおめでたくはない。
「今のまんまじゃ魔族の上位クラスには歯が立たないと思いますよ」
「そうかなあ。結構いい線いきそうな気がするんだけどな」
「いやいや、魔王とやったら瞬殺でしょう」
これは謙遜ではなく本気だ。召喚勇者とは言え、俺は元々のスペックが低い。これを伸び代があると見るべきか、上限が低いと見るべきかーー俺としては前者だといいなあと思うばかりだ。
「魔王かあ、実際どんなものなんだろうね」
「やっぱり滅茶苦茶強いんじゃないすか」
「わたしたち、勝てるのかな……」
カズサさんがいつになく弱気だ。魔王復活が現実のものになりつつある今、リアルな恐怖を感じることもあるのだろう。
「勝ちますよ、もちろん」
さっきまでのネガティブ発言は撤回する。
「なにがなんでも、どんな手を使ってでも俺は勝ちますよ」
きっぱりと言い切った。
もちろん本気だ。負ける気など更々ない。さっきは謙遜したが、この場でそれは不要どころか邪魔でしかないことに気づいたから、俺のキャラではないと思いつつも自信満々に言ってみせた。
カズサさんは少し驚いたようだ。
「コ、コータローが凛々しく見える……」
何だか失礼な言われようだが、とりあえずカズサさんが元気になったのならそれでいい。
「考えてみれば、コータローには負けられない理由があるもんね」
「そういうことです」
「ーーその後って、どうなるのかな?」
「その後?」
「極論しちゃえば、あたしたちって魔王討伐のために喚ばれた訳じゃない? その目的が果たされちゃったら、あたしたちもう用済みってことにならない?」
「さすがにそこまで外道な話にはならんと思いますが……」
「そりゃコータローは安泰だろうけど、あたしとか他の召喚勇者はどうなるかわからないわよ」
…だいぶ情緒不安定になってるみたいだな。さすがにこの精神状態で戦場に立たせるのはまずいよな。
考えてみれば、カズサさんは常に頼りになるリーダーとして皆を引っ張る存在だった。自分のことは後回しにして、周りに対する気遣いを優先してきた。俺自身何度助けられたかわからない。
だから勘違いしていたが、カズサさんだってひとりの若い女性なんだよな。当然弱気になることだってあるし、それが表に出てくることだってあるわけだ。
そうとわかれば、今俺がすべきことはーー
「安心してください。俺が責任持ちますから」
通信機器なんかがあるわけじゃないんで即応性には欠けたものの、情報が積み重ねられるにつれてある程度の傾向は掴めるようになったらしい。
そんな中で俺はと言えば、実戦とそこからフィードバックされた訓練に明け暮れていた。たとえ僅かでも昨日の自分よりも強くなることに心血を注いだ、
基本方針はスピードとスタミナの上積み。パワー不足は手数で補う。要は短所には目を瞑り、長所を伸ばして行こうということだ、俺、褒められて伸びるタイプなんだよな。
「実際強くなったよね。転生勇者の中でもトップクラスだと思うわ」
相手をしてくれていたカズサさんはそう言ってくれるが、さすがにそれをそのまま受け止めるほどおめでたくはない。
「今のまんまじゃ魔族の上位クラスには歯が立たないと思いますよ」
「そうかなあ。結構いい線いきそうな気がするんだけどな」
「いやいや、魔王とやったら瞬殺でしょう」
これは謙遜ではなく本気だ。召喚勇者とは言え、俺は元々のスペックが低い。これを伸び代があると見るべきか、上限が低いと見るべきかーー俺としては前者だといいなあと思うばかりだ。
「魔王かあ、実際どんなものなんだろうね」
「やっぱり滅茶苦茶強いんじゃないすか」
「わたしたち、勝てるのかな……」
カズサさんがいつになく弱気だ。魔王復活が現実のものになりつつある今、リアルな恐怖を感じることもあるのだろう。
「勝ちますよ、もちろん」
さっきまでのネガティブ発言は撤回する。
「なにがなんでも、どんな手を使ってでも俺は勝ちますよ」
きっぱりと言い切った。
もちろん本気だ。負ける気など更々ない。さっきは謙遜したが、この場でそれは不要どころか邪魔でしかないことに気づいたから、俺のキャラではないと思いつつも自信満々に言ってみせた。
カズサさんは少し驚いたようだ。
「コ、コータローが凛々しく見える……」
何だか失礼な言われようだが、とりあえずカズサさんが元気になったのならそれでいい。
「考えてみれば、コータローには負けられない理由があるもんね」
「そういうことです」
「ーーその後って、どうなるのかな?」
「その後?」
「極論しちゃえば、あたしたちって魔王討伐のために喚ばれた訳じゃない? その目的が果たされちゃったら、あたしたちもう用済みってことにならない?」
「さすがにそこまで外道な話にはならんと思いますが……」
「そりゃコータローは安泰だろうけど、あたしとか他の召喚勇者はどうなるかわからないわよ」
…だいぶ情緒不安定になってるみたいだな。さすがにこの精神状態で戦場に立たせるのはまずいよな。
考えてみれば、カズサさんは常に頼りになるリーダーとして皆を引っ張る存在だった。自分のことは後回しにして、周りに対する気遣いを優先してきた。俺自身何度助けられたかわからない。
だから勘違いしていたが、カズサさんだってひとりの若い女性なんだよな。当然弱気になることだってあるし、それが表に出てくることだってあるわけだ。
そうとわかれば、今俺がすべきことはーー
「安心してください。俺が責任持ちますから」
0
あなたにおすすめの小説
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる