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171 ダンジョン出現
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「安心してください。俺が責任持ちますから」
「え?」
カズサさんは慌てた様子を見せる。
「コ、コータローの気持ちは嬉しいけど、あたしはあたしだけを見てくれる人がいいかなぁ」
「へ?」
一瞬間抜け顔をさらしてしまったが、カズサさんが何をどう勘違いしたかはすぐにわかった。
「ち、違います! そういうことじゃないです!」
顔の前で手をぶんぶん振って否定する。
「カズサさんの言う通り、俺は立場的に恵まれてると思います。だから、召喚勇者の受け皿を作ろうと思ったんです」
「ああ、そういうこと」
カズサさんは微苦笑した。
「責任持つなんて言うからプロポーズかと思っちゃったわよ」
「すんません。紛らわしくて」
「で、具体的にはどうするの?」
「それはこれから考えます。でも、魔王との戦いに決着が着いた後、道を見失う人は出てきそうだよね。それは何とかしたいと思う」
「期待していい?」
「はい」
きっぱり頷いておく。まだ形にすらなっていないが、これは俺がやるべきことだろうと思うので、全力を尽くすことにした。
「救援要請?」
ある日にブライト王子の執務室に呼び出された俺は、そこで少々物騒な話を聞かされることになった。
「ああ。ファイマ王国でダンジョンの発生が確認されたそうだ」
「ダンジョン!?」
思わず大きな声をあげてしまった。ここでその単語を聞くとは思わなかった。
「知ってるのか?」
「魔物がたくさんいる場所ってイメージがあるけど」
「まあ間違ってはいないな」
ブライト王子は首をコキコキ鳴らしながら言った。その仕草や表情にも疲れがにじみ出ている。
「ダンジョンの中は魔物が育ちやすい。対処を誤ると強力な魔物が野に放たれることにもなりかねん」
「大変じゃんか」
「ああ。だからダンジョンが見つかったら可及的速やかに攻略することになっているんだが、今回ダンジョンが現れたファイマ王国はそれほど強い国ではなくてな……」
「ああ、なるほど」
なんとなくこの後の展開が読めたぞ。
「周辺の国に支援要請が届いたんだが、軍が派兵に難色を示してな……」
「は?」
思わず耳を疑った。
「何でそうなるんだ!? 国の枠を越えてあたらにゃならんことじゃないんか!?」
「その通りなんだが、軍のトップが強硬に反対していて話にならんのだ」
ブライト王子は苦虫を噛み潰した。
「軍のトップって言うと、あのクソ侯爵か」
ミネルヴァにつまらないちょっかいをかけてきたことで、俺の中で「評価に値せず」とレッテルを貼ってある男だ。
「それはファイマが解決すべきことであり我が国がリスクを負うべきことではない、だとさ」
「……」
開いた口がふさがらないとはこのことか。
口をパクパクさせると、ブライト王子は深いため息と共に肩をすくめた。
「そんなこと言ってる場合じゃねえってのは、さわりを聞いただけの俺にもわかるんだが?」
「そこが頭の痛いところでな」
「情勢読めないヤツを上に立ててたらヤバいだろ。辞めさせちまえ!」
勢いで口走ったが、それが簡単にできれば苦労はないのだろう。ブライト王子の表情でそれが察せられた。
「悪ぃ……」
「いや、おまえの言ってることは間違ってない」
それでもブライト王子の苦労を斟酌しなかったことには変わりない。ひとつ罪滅ぼしをすることにしよう。
「じゃあその支援要請、俺たちが行くってことでいいのか?」
「行ってくれるか?」
「そうすれば顔も立つよな。ミネルヴァを王子の名代ってことにすればいいだろうし」
「助かる」
ブライト王子は深々と頭を下げた。
「いいさ。オルタナの名前が上がるように頑張ってくるよ」
「すまん」
こうして俺たちは初のダンジョン攻略に挑むことになった。
「え?」
カズサさんは慌てた様子を見せる。
「コ、コータローの気持ちは嬉しいけど、あたしはあたしだけを見てくれる人がいいかなぁ」
「へ?」
一瞬間抜け顔をさらしてしまったが、カズサさんが何をどう勘違いしたかはすぐにわかった。
「ち、違います! そういうことじゃないです!」
顔の前で手をぶんぶん振って否定する。
「カズサさんの言う通り、俺は立場的に恵まれてると思います。だから、召喚勇者の受け皿を作ろうと思ったんです」
「ああ、そういうこと」
カズサさんは微苦笑した。
「責任持つなんて言うからプロポーズかと思っちゃったわよ」
「すんません。紛らわしくて」
「で、具体的にはどうするの?」
「それはこれから考えます。でも、魔王との戦いに決着が着いた後、道を見失う人は出てきそうだよね。それは何とかしたいと思う」
「期待していい?」
「はい」
きっぱり頷いておく。まだ形にすらなっていないが、これは俺がやるべきことだろうと思うので、全力を尽くすことにした。
「救援要請?」
ある日にブライト王子の執務室に呼び出された俺は、そこで少々物騒な話を聞かされることになった。
「ああ。ファイマ王国でダンジョンの発生が確認されたそうだ」
「ダンジョン!?」
思わず大きな声をあげてしまった。ここでその単語を聞くとは思わなかった。
「知ってるのか?」
「魔物がたくさんいる場所ってイメージがあるけど」
「まあ間違ってはいないな」
ブライト王子は首をコキコキ鳴らしながら言った。その仕草や表情にも疲れがにじみ出ている。
「ダンジョンの中は魔物が育ちやすい。対処を誤ると強力な魔物が野に放たれることにもなりかねん」
「大変じゃんか」
「ああ。だからダンジョンが見つかったら可及的速やかに攻略することになっているんだが、今回ダンジョンが現れたファイマ王国はそれほど強い国ではなくてな……」
「ああ、なるほど」
なんとなくこの後の展開が読めたぞ。
「周辺の国に支援要請が届いたんだが、軍が派兵に難色を示してな……」
「は?」
思わず耳を疑った。
「何でそうなるんだ!? 国の枠を越えてあたらにゃならんことじゃないんか!?」
「その通りなんだが、軍のトップが強硬に反対していて話にならんのだ」
ブライト王子は苦虫を噛み潰した。
「軍のトップって言うと、あのクソ侯爵か」
ミネルヴァにつまらないちょっかいをかけてきたことで、俺の中で「評価に値せず」とレッテルを貼ってある男だ。
「それはファイマが解決すべきことであり我が国がリスクを負うべきことではない、だとさ」
「……」
開いた口がふさがらないとはこのことか。
口をパクパクさせると、ブライト王子は深いため息と共に肩をすくめた。
「そんなこと言ってる場合じゃねえってのは、さわりを聞いただけの俺にもわかるんだが?」
「そこが頭の痛いところでな」
「情勢読めないヤツを上に立ててたらヤバいだろ。辞めさせちまえ!」
勢いで口走ったが、それが簡単にできれば苦労はないのだろう。ブライト王子の表情でそれが察せられた。
「悪ぃ……」
「いや、おまえの言ってることは間違ってない」
それでもブライト王子の苦労を斟酌しなかったことには変わりない。ひとつ罪滅ぼしをすることにしよう。
「じゃあその支援要請、俺たちが行くってことでいいのか?」
「行ってくれるか?」
「そうすれば顔も立つよな。ミネルヴァを王子の名代ってことにすればいいだろうし」
「助かる」
ブライト王子は深々と頭を下げた。
「いいさ。オルタナの名前が上がるように頑張ってくるよ」
「すまん」
こうして俺たちは初のダンジョン攻略に挑むことになった。
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