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172 ゴング
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「そもそもダンジョンって何なの?」
素朴な疑問が飛んできたが、それは俺に訊かれても答えようがない。
助けを求める視線を一番あてになりそうなツブラに向ける。
しょうがないなぁ、という顔をしながらもツブラは解説してくれる。
「一言で言っちゃえば魔素溜まりよ。原因は様々だけど、そこに溜まった魔素が地形を変え、生き物を変え、ダンジョンへと育っていくの」
「え? じゃあダンジョンって自然発生するものなのか?」
「基本的にはそう。でも、昔の魔族は人為的にダンジョンを作り出すことができたみたいよ」
「…人為的にって、何すりゃダンジョンなんておっかねえもんができるんだよ?」
「あたしの知ってる話だと、大勢の魔族を一ヶ所に集めて大虐殺、強制的に魔素を大量発生させたってところね」
「うげ……」
とんでもなく胸糞悪い話だな。何のためにダンジョンを発生させたのか知らんけど、目的のためには仲間の命さえ使い潰すなんて俺には理解できない。
「じゃあ今回のダンジョンも魔族が作ったって可能性もあるわけ?」
ミネルヴァの言葉にツブラは頷いた。
「今魔族の活動が活発化してることを考えると、その可能性は高いと思うわ」
「うわあ……」
眉間にシワを寄せ、ミネルヴァは大仰に嘆いて見せた。
「でも、これが本当に魔族の仕業なら、一刻の猶予もないってことですよね」
シルヴィアが固い表情で言った。
「そうね。時間が経てば経つほどダンジョンは大きくなっていくわ。できるだけ早く攻略するに越したことはないわ」
「成長するの?」
「ダンジョンの中で死んだ人はダンジョンへと吸収されるって言うわね」
「…あんまりぞっとしない話だな」
「そうはなりたくないわね」
「さくっと片付けちまおうぜ。他の国からも精鋭が集まって来るんだろ」
「精鋭……」
シルヴィアの眉間に皺が寄った。
「…何だかすごく嫌な予感がするわ」
「嫌な予感って…そういうのはあんまり口にするなって」
大体ロクなことにならんから。
で、やっぱりそれはお約束のように実現するわけでーー
「「う」」
ダンジョン攻略のために集まった各国の部隊の中に、二度と合わせたくなかった顔があった。
「…ブロディ……」
そうか。レジーナの代表はこいつか。
考えてみれば、不思議でも何でもない。ダンジョンを危険視していればしているほど最高の戦力を送り込んで来るはずだもんな。この点に関してはちょっと後ろめたい。
こっちがヤツに気づくのとほぼ同時にヤツもこっちに気づきやがった。
嘲るような笑みを顔に貼りつけてこっちに歩いてくる。
来なくていい。つうか、来んな、バカ。
「これはこれは。どこの国の部隊かな。もしかして来る場所を間違えてないか? ここは女子供が遊びに来る場所ではないぞ」
「は?」
何考えてんだ、このバカ。いきなり全力でケンカ売って来やがった。
俺たちもビックリしたが、周りの人たちも目を真ん丸にしている。
ほとんどが呆気に取られる中、真っ先に立ち直ったのはミネルヴァだった。
「その言葉、聞き捨てなりませんね」
ゴングが鳴ったように聞こえたのは幻聴だっただろうか。
ただ、戦いの火蓋が切られたのは間違いないようだった。
素朴な疑問が飛んできたが、それは俺に訊かれても答えようがない。
助けを求める視線を一番あてになりそうなツブラに向ける。
しょうがないなぁ、という顔をしながらもツブラは解説してくれる。
「一言で言っちゃえば魔素溜まりよ。原因は様々だけど、そこに溜まった魔素が地形を変え、生き物を変え、ダンジョンへと育っていくの」
「え? じゃあダンジョンって自然発生するものなのか?」
「基本的にはそう。でも、昔の魔族は人為的にダンジョンを作り出すことができたみたいよ」
「…人為的にって、何すりゃダンジョンなんておっかねえもんができるんだよ?」
「あたしの知ってる話だと、大勢の魔族を一ヶ所に集めて大虐殺、強制的に魔素を大量発生させたってところね」
「うげ……」
とんでもなく胸糞悪い話だな。何のためにダンジョンを発生させたのか知らんけど、目的のためには仲間の命さえ使い潰すなんて俺には理解できない。
「じゃあ今回のダンジョンも魔族が作ったって可能性もあるわけ?」
ミネルヴァの言葉にツブラは頷いた。
「今魔族の活動が活発化してることを考えると、その可能性は高いと思うわ」
「うわあ……」
眉間にシワを寄せ、ミネルヴァは大仰に嘆いて見せた。
「でも、これが本当に魔族の仕業なら、一刻の猶予もないってことですよね」
シルヴィアが固い表情で言った。
「そうね。時間が経てば経つほどダンジョンは大きくなっていくわ。できるだけ早く攻略するに越したことはないわ」
「成長するの?」
「ダンジョンの中で死んだ人はダンジョンへと吸収されるって言うわね」
「…あんまりぞっとしない話だな」
「そうはなりたくないわね」
「さくっと片付けちまおうぜ。他の国からも精鋭が集まって来るんだろ」
「精鋭……」
シルヴィアの眉間に皺が寄った。
「…何だかすごく嫌な予感がするわ」
「嫌な予感って…そういうのはあんまり口にするなって」
大体ロクなことにならんから。
で、やっぱりそれはお約束のように実現するわけでーー
「「う」」
ダンジョン攻略のために集まった各国の部隊の中に、二度と合わせたくなかった顔があった。
「…ブロディ……」
そうか。レジーナの代表はこいつか。
考えてみれば、不思議でも何でもない。ダンジョンを危険視していればしているほど最高の戦力を送り込んで来るはずだもんな。この点に関してはちょっと後ろめたい。
こっちがヤツに気づくのとほぼ同時にヤツもこっちに気づきやがった。
嘲るような笑みを顔に貼りつけてこっちに歩いてくる。
来なくていい。つうか、来んな、バカ。
「これはこれは。どこの国の部隊かな。もしかして来る場所を間違えてないか? ここは女子供が遊びに来る場所ではないぞ」
「は?」
何考えてんだ、このバカ。いきなり全力でケンカ売って来やがった。
俺たちもビックリしたが、周りの人たちも目を真ん丸にしている。
ほとんどが呆気に取られる中、真っ先に立ち直ったのはミネルヴァだった。
「その言葉、聞き捨てなりませんね」
ゴングが鳴ったように聞こえたのは幻聴だっただろうか。
ただ、戦いの火蓋が切られたのは間違いないようだった。
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