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176 風神脚
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「…コータロー、今のって……」
カズサさんが目を丸くしている。
「本当に魔人だったんすかね。えらく弱かったんだけど」
「「「いやいや!」」」
総ツッコミを受けた。
「今のはどう見てもコータローがおかしかったって」
「そうだよ。今のは人間が出せるスピードじゃなかったぞ」
「あたし、目の前から人が消えるの初めて見たわーー見たって言うか、見えなかったんだけど……」
そこまで言われるか? 自分じゃそんな感じはまったくなかったが……
「魔人の動きが鈍かったんじゃないの?」
同意を求めてシルヴィアたちを見たが、三人共に目を逸らされてしまった。
シルヴィアたちまでこの反応ってことは、恐らく間違いないんだろうが、何で急にこんなことになったんだ?
「ねえコータロー、スキルはどうなってる?」
首を傾げながらツブラが訊いてきた。
「スキル?」
そう言えばそんなのもあったな。最近全然気にしてなかったけど。
早速ステータスを確認してみる。
するとーー
『風神脚』
と出た。
「おお」
なかなかカッコいいじゃないか。あの病気に罹患はしてないはずだが、なんだかくすぐられるものがあるぞ。
「何かあったの?」
「『風神脚』だって」
「「「おおー!」」」
どよめく。
「何かすごそう」
「神の名前がつくスキルってすごいんじゃない?」
「それならあの早さも納得だな」
みんなは褒めてくれるのだが、なんとなくピンとこない。自分の力のような気がしないのだ。
ふと左腕に重みを感じた。
顔を向けると、思い詰めたようなシルヴィアが俺の腕をつかんでいた。
「どうした、シルヴィア?」
「……」
上手く言葉にできない様子のシルヴィアは、小さく首を振った。
「そりゃあ不安にもなるわよね。本当なら戦いになんて出てほしくないのに、どんどん深みにはまってってるようにしか見えないもんね」
ユキノさんの苦笑混じりの言葉に、シルヴィアは小さく頷いた。
「と言われてもなあ……」
この状況で前線に出ないということはありえない。何と答えていいか、正直わからなかった。
「その話は後にしましょう。少なくとも今ここでする話ではないわ」
「ですね」
カズサさんの言葉に頷く。確かに敵地に等しい場所で余裕かましてる場合じゃない。
探索に戻ったが、そこから先はさくさく進んだ。時折加減を間違えて壁にぶつかりそうになったりしたが、ほとんどのケースで俺のスピードは圧倒的で、反応を許さぬ接近からのオリハルコンの剣の一振りでケリがついた。
「…すごいわね」
「俺たちの出番がないな」
スキルに馴染むために任せてもらったんだが、『風神脚』は想像以上にすごいスキルだった。これまで苦戦してきた魔人をまったく寄せ付けずに完封できてしまうのだ。
「こいつはすげえな」
これは間違いなく俺の戦闘力を数段上に引き上げてくれるものだ。戦闘力不足を感じることの多かった俺にとっては願ってもないスキルだった。
だから、俺は有頂天になっていた。万能感すらあった。
決してそうではないのだが、今の俺は力を振るうことしか考えられなかった。
カズサさんが目を丸くしている。
「本当に魔人だったんすかね。えらく弱かったんだけど」
「「「いやいや!」」」
総ツッコミを受けた。
「今のはどう見てもコータローがおかしかったって」
「そうだよ。今のは人間が出せるスピードじゃなかったぞ」
「あたし、目の前から人が消えるの初めて見たわーー見たって言うか、見えなかったんだけど……」
そこまで言われるか? 自分じゃそんな感じはまったくなかったが……
「魔人の動きが鈍かったんじゃないの?」
同意を求めてシルヴィアたちを見たが、三人共に目を逸らされてしまった。
シルヴィアたちまでこの反応ってことは、恐らく間違いないんだろうが、何で急にこんなことになったんだ?
「ねえコータロー、スキルはどうなってる?」
首を傾げながらツブラが訊いてきた。
「スキル?」
そう言えばそんなのもあったな。最近全然気にしてなかったけど。
早速ステータスを確認してみる。
するとーー
『風神脚』
と出た。
「おお」
なかなかカッコいいじゃないか。あの病気に罹患はしてないはずだが、なんだかくすぐられるものがあるぞ。
「何かあったの?」
「『風神脚』だって」
「「「おおー!」」」
どよめく。
「何かすごそう」
「神の名前がつくスキルってすごいんじゃない?」
「それならあの早さも納得だな」
みんなは褒めてくれるのだが、なんとなくピンとこない。自分の力のような気がしないのだ。
ふと左腕に重みを感じた。
顔を向けると、思い詰めたようなシルヴィアが俺の腕をつかんでいた。
「どうした、シルヴィア?」
「……」
上手く言葉にできない様子のシルヴィアは、小さく首を振った。
「そりゃあ不安にもなるわよね。本当なら戦いになんて出てほしくないのに、どんどん深みにはまってってるようにしか見えないもんね」
ユキノさんの苦笑混じりの言葉に、シルヴィアは小さく頷いた。
「と言われてもなあ……」
この状況で前線に出ないということはありえない。何と答えていいか、正直わからなかった。
「その話は後にしましょう。少なくとも今ここでする話ではないわ」
「ですね」
カズサさんの言葉に頷く。確かに敵地に等しい場所で余裕かましてる場合じゃない。
探索に戻ったが、そこから先はさくさく進んだ。時折加減を間違えて壁にぶつかりそうになったりしたが、ほとんどのケースで俺のスピードは圧倒的で、反応を許さぬ接近からのオリハルコンの剣の一振りでケリがついた。
「…すごいわね」
「俺たちの出番がないな」
スキルに馴染むために任せてもらったんだが、『風神脚』は想像以上にすごいスキルだった。これまで苦戦してきた魔人をまったく寄せ付けずに完封できてしまうのだ。
「こいつはすげえな」
これは間違いなく俺の戦闘力を数段上に引き上げてくれるものだ。戦闘力不足を感じることの多かった俺にとっては願ってもないスキルだった。
だから、俺は有頂天になっていた。万能感すらあった。
決してそうではないのだが、今の俺は力を振るうことしか考えられなかった。
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